人は見た目によらない
休み時間。トイレで用を済ませ、教室へ入ったとき。オールバックの男子生徒にぶつかった。
「おおっと、すまん」
「こっちこそ....って三上か」
がたいがいいオールバックの男子生徒はこっちをむいた。一番前の席にいるやつだ。名前は…
「自己紹介まだだったな。俺は、御手洗隆だ。よろしくな」
御手洗、おてあらいとも読めるな。さすがに失礼か。
「そして僕が、影沼景士です。」
「うわぁ。幽霊出てきた」
急に御手洗の陰からロン毛の顔の血色の悪い奴が出てきた。悪霊退散、悪霊退散。
「幽霊とは、失礼な。あと手を合わせるのやめてください」
なんだ、ただの影沼か。急に出てくると心臓に悪いからやめてくれ。ていうかその風貌ではきはきしゃべるんだな。
「まぁ、初対面で景士にビビらないやつはいないからな。俺ともどもよろしくな」
「よろしく。仲良くしてくれると嬉しい」
なにか、変な返事をしてしまった。
「いいぜ、でも俺たちと仲良くしたいなら……」
なんだ、登竜門的な何かがあるのか。だが、この学校初めての男友達一号二号のため。何でもやってやるぜ。
「焼きそばパン買って来いよ」
「わかりました!」
俺は、踵を返して、教室をダッシュで出る。
「ちょっ、待って冗談だから!冗談っ」
「うわぁ。隆ったら初日から転校生いじめるとは。マジサイテー」
「でも、ああ見えてかわいいところあるのよね」
「そうそう、女子と手が当たったり、目を合わせるとあわあわするところとか」
「うるせぇ。あと景士いつの間に女子の輪のところにいるんだ。しれっと会話に混ざんな!」
教室を去る後ろでそんな会話が聞こえる。
階段の付近まで行って、あることに気づいた。そして、教室に走って戻る。
「悪い、購買の場所わかんねー。誰か教えてくれ」
「冗談だから、頼むから行かないでくれ」
そんなこんなで休み時間が終わってしまった。
まだ、一日は終わらねぇぜー