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くさぁ

「わぁ~。キリンさん大きいー」


「良子ちゃん、楽しい?」


「うん!」


 満面の笑みで不藤先輩に答える良子ちゃん。

 俺たちは、あの後動物園に来ていた。キジトラ柄の猫はあそこから帰っていった。入ってすぐの所にいるキリンを見ている。背が低い良子ちゃんを不藤先輩が持ち上げて見やすくしている。なんで、俺じゃないのかって?それは、俺が持ち上げた時良子ちゃんが『痛い』……そういわれたら終りだよ。もう。

 手持無沙汰な俺は、柵にかけられている板に書いてある文字を読む。


「ほう、キリンの餌やりできるのか」


 一回百円でできるそうだ。


「やってみたーい」


「わかった」


 良子ちゃんが、やってみたいそうなので餌を打っている販売所で、二人分買う。カットされたリンゴを渡される。俺は、二人の所に戻り、良子ちゃんに餌を渡す。


「はい、どうぞ」


「ありがとう、お兄ちゃん」


 良子ちゃんに感謝される。初めて会った時からの成長を感じる。内心涙を流しながら良子ちゃんを見る。不藤先輩に抱っこされ、楽しそうにキリンに餌を上げる良子ちゃん。こう見ると本物の親子だな。俺は、リンゴを食べながら感慨にふける。

 すると、キリンが急に首をこちらに回してきた。嫌な予感がするぞー。


「ぺっ」


「あぶなっ」


 キリンが唾を吐いてきた。俺は、紙一重でかわす。そして、キリンが聞いたことのない嘶きを発する。すげぇ切れてんじゃん。


「あはははは」


「三上君、大丈夫?」


「はい、大丈夫です」


 良子ちゃんは、楽しそうに大笑いで、不藤先輩は、心配してくれる。


「次に行こう。次に」


「あぁ、ちょっとまって」


「あははははは」


 俺は、すぐに離れたく二人を置いて次に行く。


「すげぇな、これ。むっちゃ興奮する」


 俺は、展示されている二匹のカンガルーを見ている。二匹が、向かい合って相手の出方を見ている。こぶしにグローブを付けて。

 なんでつけているのか、何のために戦っているのか、そんな小さなことはどうでもいい。二匹の獣がこの戦いに真剣である、それだけで興奮する。

 大勢の観客も固唾をのんで見守る。


「カンガルーさん、動かないね」


「ふっ、いい構えだ。隙がない」


 互いにその姿勢を崩さない。だが、均衡とは突然に崩れ去るものだ。左側のカンガルーのおなかの袋から子供が出てくる。親カンガルーが一瞬目を落とす。その隙を右側のカンガルーがすかさず顔面にブローをぶち込む。左側のカンガルーは倒れる。


「汚ねーぞ」


 右側のカンガルーにブーイングの嵐が降り注ぐ。当のカンガルーは右腕を上げ、勝利のポーズを決めていた。


「カンガルーさん、大丈夫かなぁ?」


「やつも戦士だ。そんなやわじゃねーよ」


「三上君は子のカンガルーの何がわかるんですか?」


 俺たちは、その場を去る。俺の頬に一筋の涙が伝った。



「おさるさん、すごーい」


「おさるさん、すごいね」


「たし、かに、すごい、な。うん」


 俺たちは、猿の展示場所に来ていた。そこにはサルが五匹いて、一匹のボス猿がほかを率いている感じのようだ。

 その団結力を用いて、俺にう〇こを投げつけてきていた。俺は、それをよけていた。


「すごい、よねー、いき、ぴったりで。かしこ、いよねー」


 はや一分ぐらいこの攻防をやっている。その間、玉切れの雰囲気は全くしない。こいつら、どんな胃と腸をしているんだ。生物として常軌を逸しているだろ。


 そんなこんなで、俺たちは様々な動物をみて回った。二人とも楽しそうな感じなのでとてもよかった。

 最後にグッズ売り場に来た。


「ねぇ、みてー、おさるさんのぬいぐるみ」


「返してきなさい」


 オレ、ソイツラ、キライ。

 俺は、店内の商品を見ながら歩き回る。その中の一つの商品を目を止める。


「これを買うか」


 俺は、その商品を二つ持ち、レジへと向かう。


「ねぇ、みてー、キリンさんのパペット」


「返してきなさい」


 オレ、ソイツモ、キライ。


 結局、良子ちゃんは、パンダのぬいぐるみを買った。俺は、買った商品を二つずつ包装してもらった。それをカバンに入れる。




「たのしかったー」


 俺たちは、動物園を出て、帰宅する。俺は、二人と公園まで連れ添った。その別れ際である。


「三上君、今日はありがとう」


「本来の人数より、すごく少なかったけどね」


「ほかのみんなには、また次の機会にでも誘うよ」


「俺に次はないってことですか……」


「もちろん、三上君も一緒に」


 不藤先輩が、慌てて訂正する。かわいい。


「お兄ちゃん、恵お姉ちゃん、今日はありがとう」


 パンダのぬいぐるみを抱きしめ、花が咲いたような笑顔で感謝をされる。


「と、良子ちゃんと不藤先輩に俺からのプレゼントがあるんだ」


 そういって、カバンから袋を二つ取り出す。


「はい、どうぞ」


「ありがとう、お兄ちゃん」


「わたしまでいいの?」


「もらってくれないととんでもなく落ち込みます」


 俺は、悲壮感を漂わせていう。


「ありがたくもらうから。落ち込まないで」


「お兄ちゃん、あけていい?」


「構わないよ」


 良子ちゃんは、袋を破るように開ける。もうちょっと丁寧に開けてくれないかなぁ。


「わぁ、タイガに似てる」


 袋からはあのキジトラ猫に似た絵柄が刺繍されているハンカチが出てくる。


「タイガ?」


「うん、あの猫ちゃん」


 あの猫、タイガって名前がついたのか。


「とてもかわいいデザインですね」


「不藤先輩のも同じものですね」


「ありがとう。大切に使わせてもらうね」


「ありがとう」


 こんなに感謝されると勝った甲斐がある。


「それじゃあ、俺は帰ります」


 そういって、俺は踵を返す。


「ばいばーい。お兄ちゃん。またねー」


「バイバイ、三上君また学校でね」


「はい、それでは。バイバーイ」


 三人で手を振って別れる。


「ただいまー」


「お帰り」


 母さんがキッチンで晩御飯を作っている。


「あんた、なんかう〇こくさいわよ。早く風呂入ってきなさい」


 なんか、視線感じるな―と思ったらそうだった。なれってこえーなー。


 寝ぼけ眼で書いてます

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