かみのまにまに
「次は、二回戦だ、ゴラァ。位置につけぃ。」
相変わらず学年主任とは思えない言葉遣いだな。ちなみに、一回戦目は黛がただ無双していた。二十五枚中、二十四枚あいつがとっていた。そして、残り一枚は俺がとった。あれ、俺いらなくない。対戦相手の哀愁漂う背中は、見ないことにした。
と思ったが、負けたチームは勝ったチームの次の審判をするようだ。気まずい。
「さぁ、次も圧勝しようじゃないか、三上氏。」
「おい、負けた本人たちいるんだぞ。追い打ちしてやんな。」
「君、無意識に攻撃するんだね。」
その言葉を聞き、素早く首を二人に向ける。二人は、悲しげに苦笑をしていた。ごめん。
俺たちは、次の試合相手に意識を向ける。黛の圧勝発言に不愉快そうにむっとしている。俺も圧勝するということに関しては、否定しなかったため、より相手に不快感を与えたのだろう。俺の方がにらまれていた。
「んじゃあ、始めるぞぉ!」
二回戦が始まる。
一番初めの札は、相手にとられた。さすが、一回戦を勝ち上がってきた相手だ。
しかし、所詮素人に毛が生えた程度だ。われらが、黛には届かない。そのあとは、すべて、黛がとった。俺?聞くなよ…….。
「ふっ、今回も圧勝だね。」
「そ、そうだな。」
俺、なんもしてないから偉ぶれねぇよ。
「ちっ、コバンザメ風情が……」
試合相手に愚痴を言われる。コバンザメはやめて。俺、別に偉ぶってはないから。
勝てば勝つほど、俺の評価が下がる。なんてという負のスパイラル。
そして俺たちは、三回戦、四回戦も順調に勝ち、準決勝までこぎつけた。
「僕がいれば当然の結果だね。」
「俺だけ絶対に場違いだって。これまでにとってきた札、五枚だよ。本当は一回戦で消える男だよ。」
マジで気まずいってレベルじゃねーぞ、おい。
そんな俺の講義もむなしく、準決勝の舞台に立つ。
「三上君、黛君、よくここまで来たね。すごいよ。」
「やはり、西沢氏もここまで来たか。これは、厳しい戦いになりそうだ。」
なんと、決勝戦の相手は、西沢さん、村上さんのペアだった。いや、俺は黛におんぶにだっこの雑魚だ。褒めないでくれ。
しかし、西沢さんはこの舞台に上がれる実力があるのはわかっていたが、村上さんも同じくらいの実力があったのか。それは、よそうが……ん?村上さん、なんで、気まずそうに顔を背けているんだ?
「それじゃあ、準決勝を始める!」
顔を背けたことはよくわからないが、競技に集中する。
「う~か……」
「「はい!」」
はやっ。二人の手が重なる。この札は、わずかに黛のほうが早かった。
この後も二人の攻防が続く。そして、気づいた。村上さんは、俺と同じような状況に置かれているんだと。俺たちは、目を合わせ、その中には涙がたまっていた。隣では、二人が火花を散らしている。一昔前のお風呂のなぞなぞみたいなことになっている。
一進一退の攻防の末、十二枚対十二枚で最後の札が読まれる。コバンザメの二人は、完全に傍観の姿勢だ。
「こぉ~のぉ~」
うおっ、マジか。ここで俺の得意札。札は、俺の近くにあるが油断していた俺は、反応が遅れる。西沢さんがこちらに手を伸ばしてくる。黛は、俺がとると思って動いていない。くそっ、ここで取られたら、戦犯確定だ。いくしかない。考えるより先に手が動いていた。
バンっ。床をたたく音と同時に札が吹き飛ぶ。ほとんど差がない気がしたが、どっちだ。
審判が、俺たちの方に手を挙げる。
「ふっ、さすがだな。三上氏。僕たちの勝利だ。」
「えっ、勝ったの?」
実感のない俺に黛が答える。
「そうだとも。」
「勝者、三上、黛チーーーーム。」
うおぉぉぉぉぉぉぉー
熱気のある歓声が体育館に響き渡る。
「三上君、おめでとう。」
「あ、ありがとう。」
「私と同じ存在だと思っていたのに……。」
「は、ははは。」
いまだに頭の整理がついてない俺に、現実が突き付けられる。
「次は、決勝だ。期待してるぞ、三上氏。」
……俺まだ、このプレッシャーに耐えなきゃいけないのかよ。
あれっ、おかしいなこの話で百人一首の下り、終わる予定だったのに......。
そのせいでサブタイトルが適当に......
下のほうにある星を押してくれると作者が狂喜乱舞します。




