流れもあへぬ紅葉なりけり
「俺ならさ、風呂屋で女子風呂入っても違和感ないと思わないか?」
「お前マジで真顔で何言ってんの。」
「確かに。」
確かにじゃねーよ。真顔で言うことでもないし。教室で、俺と影沼、小島で雑談をしていた。
「だって、俺の身長なら入っても合法だと思わないか?」
「合法じゃねーよ。別に身長によって、アウト、セーフ決まってないんだよ。」
「だから、俺は、実際に入ろうとした。」
お巡りさん、こいつです。
「俺もその雄姿に賛同するぞ。」
お巡りさん、こいつもです。
「でもよぉ~、番頭のおばちゃんに止められたんだよな。」
おばちゃん、GJ。学校から犯罪者が出なくてよかった。まぁ、インタビュー受けた時『いつかやると思ってました。』と言いたかったけど。
「だからさぁ、混浴に入ったんだ。」
こいつ、あきらめねぇ。
「それでそれで、どうだったんだ?」
影沼もテンション上げて、質問するな。というか、テンション上がっても顔色変わらんな。
「中には、おばあちゃんたちしかいなかったんだよなぁ。」
「そんなに甘くないか~。」
明らかにテンションを下げるな。
「いやぁ~、入ってよかった~。」
「「えっ」」
「よーし、ホームルーム始めるぞー。」
月見里先生が、教室に入ってきたため、その場で解散になった。
「今日もお疲れー、今日は連絡があるぞー。」
ん、何の連絡なんだ。
「知ってるやつはいるかもしれないが、来週に百人一首大会がある。ペアは適当に決めておいてくれ。んで、俺に教えろ。以上、不審者とかには気を付けて帰れよー。」
百人一首大会とは何ぞや?聞こうにももういないし。もうちょっと説明しろ。
「百人一首大会とは何ぞや?という顔をしているね。僕が説明しよう。」
「頼む。」
最近、けがが治った黛が話しかけてきた。そんなに顔に出てたか。
「毎年この時期に行われている学年別、クラス対抗で行われている百人一首の大会だ。二人一組のチームで戦う。ちなみに、百人一首はわかるかな。」
「大丈夫だ。」
百人一首のかるた。またの名を歌がるた、小倉百人一首と呼ばれる。百人、百個の短歌を選んだ秀歌撰の百人一首。それを上の句と下の句に分け、読まれた上の句から札に書かれた下の句をとるというものだ。
「当たり前だが、多く札をとった方が勝ちだ。そして優勝チームには、本カード千百円分と購買から超究極極旨焼きそばパン(スーパーアルティメットベリーデリシャスやきそばパン)が贈呈され、優勝チームのクラスには、購買のパン一個無料券が一人一枚もらえる。」
超究極極旨パンだけ異様に気になるな。ちなみに本カードは、全国の本屋で使える商品券のようなものだ。
「しかし、学年別でやるとはいえチームは七十組以上いるだろ。時間かからないか?」
確かこの学校の二年は、一組から四組で百五十人程度だったと思うが。人数が少ないなっと感じたから記憶にある。
「あぁ、だから準々決勝まで二十五枚まで読まれる。一人二十五枚ずつ自分の前に札を並べる。そして、前半組と後半組に分かれて、体育館で一斉にやる。前半組がやっているときは後半組が、後半組がやっているときは前半組が審判をする。まぁ、審判って言っても、札を確認したり、どっちが速かったかを判断するぐらいだけどね。わかったかい?」
「あぁ」
おもしろそうだな、やる気出てきた。
「それで、三上君。パートナーの件だが、僕と組まないかい?」
「お、おう。いいぞ。」
こいつから誘われるとは思わなかった。
「実は、君以外のクラスのみんなはパートナーが決まっているようでね。僕は、けがをしていたから出られるかわからないからって誘われなかったのだよ。さみしいだろう。」
えっ、俺誰からも誘われて……。隣の西沢さんを見る。
「み、三上君がライムのグループ入ってなかったから。パートナーの件は、前から連絡とりあってたんだけど、三上氏に連絡行ってないのに気づかずにみんな決めちゃった。」
気まずそうな表情で言う。そんな顔しないで、こっちが泣きたくなる。
「だけど、黛君、去年強かったから安心して。」
それ、フォローになってないです。しかし、黛は強いのか。意外な表情で黛の方を向く。
「ふっ、ここまで期待されると本気を出そうじゃないか。君を優勝まで導いてあげよう。」
鼻につくような言い方だが、この件は、頼らせてもらおう。
「ところで、三上氏。」
「なんだ?」
「君は、百人一首をどれだけ覚えているのかい?」
ふんっ、そんなわかりきったことを聞くなよ。
「安心しろ。」
一拍おいて
「何一つとして、覚えていない。」
その言葉を聞いた黛と西沢さんの顔が引きつっていた。
あくびしながら書いてます
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