パンと権力と暴君と
「この好奇心が吉と出るか、凶と出るか。」
俺は、購買でメロンパン スイカ風味を買ってきた。メロン×スイカとかいうわかるようでわからない組み合わせだ。これ売れてんのか?
そんなこと考えながら教室に戻り、自分の席の方を向くと席に金髪の女子が座っているのが見えた。俺の方程式では、金髪の女子=ヤンキー。終わった。と、思ったが西沢さんと話している。友達なのか。実は、普通にいい奴のではないか。そう思い、内心ビビりながら話に行く。
「あのぅ~、そこ僕の席なんですが。」
「あぁん」
威圧されました。方程式を信じればよかった。そして、足が震えだした。
「三上、どうした?」
後ろから救世主、御手洗の声が。いけっ、御手洗、やっちまえ。
御手洗は、金髪を見て、踊りた表情をする。
「お前はっ」
「あぁん……てめぇ」
何、因縁とかあるの。俺の席で何もするなよ。やるならほかでやれよ。
「三組の宍浦明美」
「お手洗い」
お手洗いに吹き出しそうになるが、我慢する。
状況を察した御手洗が宍浦に
「そこは、三上の席だ。どけろ。」
「あぁん、いいだろ別に。」
俺は、二人がにらみ合っているあいだに西浦さんの近くに移動する。静かに話す。
「あの二人、仲悪いのか?」
「いやぁ、仲が悪いっていうか……」
西沢さんが話そうとしたとき、隣から、
「じゃぁ勝負としよう!」
「上等だ、やってやる!」
なんかよくわからん落としどころになってんな。本人いないのに話進んでるし。
「内容は、王様ゲームだ。」
なんでや!王様ゲームは、勝敗決まらねーだろ。
「王様ゲームと聞いて」
「俺も参加しよう。」
「面白そう。私も参加する。」
なんか参加者増えた。あと影沼、お前ずっと御手洗の後ろにいただろ。どうにかしろよ。
「柚香も参加してな。」
「わかった。」
俺の席~。
そして王様ゲームには、俺、西沢さん、影沼、一人称俺の小島、しれっと初登場村上さん、宍浦、トイレこと御手洗の7人の参加者ですることになった。
「ルールは簡単。ここに先が、番号か赤く塗られた割りばしがある。赤く塗られた割りばしを引いた奴が王様で番号を指定して命令を出す。そして、王様の命令は~」
「「「ぜったい!!!」」」
「では、一回目。」
「「「おうさまだ~れだ!!」」」
全員が割りばしを引く。
俺は、引いた割りばしを確認する。くそっ、赤くない。
「はじめは、あたしのようだな。」
宍浦が王様のようだ。嫌な予感が……
「四番のやつ、家に帰れ。」
初手からえげつなさすぎるだろ。俺の番号は六番。セーフ。
四番は誰かと隣の小島に目を向ける。小島の手が震えている。
「俺、帰ります。」
小島―――――。お前の仇は必ず取ってやる。いや、よく考えたらお前関係ないな。前言撤回するわ。ていうか、この戦いって何。
「小島を倒したからって、イきるなよ。奴は、四天王にも入れなかった雑魚だ。」
前から思っていたけど、四天王の残り二人は誰だよ。
小島が教室を出て二回戦が始まる。
「「「王様だーれだ!!」」」
割りばしの先が赤い。つまり
「運が俺の見方をしたようだな。俺が王だ。」
「よくやった三上、ぶちかましてやれ!」
「できればエッチぃやつを!」
いつ俺がお前たちの見方になった。あと影沼、心の声を抑えろ。
「俺の命令は……」
------ゴクリンコ------
みんなの唾を飲み込む音が聞こえる。
「俺をクラスのライムに入れてくれ。」
ライムとは、LIROOMの略であり、メッセージのやり取りや音声通話などができるアプリケーションである。そう、俺はこのクラスどころか、この学校の誰一人として交換をしていないのである。
「わりぃ、三上、忘れてた。」
「ごめん、三上君。」
「ついでだから、あたしのも交換してやるよ。」
「連絡先、ZE~RO~www」
みんなの目が優しい。宍浦もお前のことを勘違いしていたようだ。影沼、お前は後で缶詰にしてやる。
みんなと連絡先を交換し、影沼の名前を缶詰に変えた。そして、三回戦だ。
「「「王様だーれだ!!」」」
くそ、今回は赤くない。
「王様は、私のようだね。」
西沢さんか。これは安心だ。
「じゃあ、五番の人は、購買に売ってあるメロンパン スイカ風味を買って食べること。」
「あのまずいと評判のやつか。あれ買うやつの気は知れんぞ。」
このパンまずかったんかいーーーー。明らかに凶と出てしまった。情弱な自分を恨んだ。ふと、横に目を向けると影沼が下を向いていた。
「このパン、まずかったの。」
おめぇーもかよ。
「しかも、もう一つ買わなきゃいけないのかよ。」
そのうえ、五番はお前かよ。
影沼の明らかに落ち込んで教室を出ていく背中を見て、かわいそう……なんて思うわけないだろ。さっきのことまだ覚えてるからな。あと、この展開になるのを眺めていただろ。それも許さないからな。ざまぁみろ、バーカ。
「四回戦と行こうか。」
パンを二つ抱えている影沼が、まだ落ち込んでいるがゲームは進む。
「「「王様だーれだ!!」」」
今回も俺ではない。
「今回は、私のようですね。」
初がらみの村上さんだ。この人どんな命令するか、全然想像つかんぞ。
「では、一番の人が二番の人に……」
よし、違う。
「告白して、二番の人はそれをこっぴどく振る。」
結構えげつない!けど、おもしろい命令だ。さて、誰だ。周りを見渡す。御手洗と宍浦だけが、割りばしを見ている。そして、お互いに目が合う。
「「絶対嫌だー」」
これは面白い二人に当たりましたねぇ。二人は、親の仇を見る目で互いに見る。
「くそう、覚えてろよ~」
そんな文句を言いながら告白するようだ。王様の権限ってすごい。
「よ、よし行くぞ。」
「こ、こいや。」
二人とも、頬を引きつらせながら言う。
「ほ、星がきれいだね。でも、もっときれいな星を僕は知っている。それは君さ!僕と付き合ってください!」
「きめぇんだよ!てめぇ!!」
バチィーーーン!
ビンタのいい音が響く。
「なぁ、今、星見える?」
「み、見えないね……」
「薬物でもやってんじゃねぇの。」
「否定できないね。」
俺たちは、窓際で星が見えないと無表情で話し合っていた。
「あっ、終わりました?」
そして、何事もなかったように戻る。御手洗が、魂が抜けているが気にしないでおこう。
「御手洗君が倒れたから、明美ちゃんの勝ちかな。」
西沢さんがジャッジする。勝利条件が限定的だろ。
「よっしゃーーー」
宍浦が片手をあげ、勝利をかみしめる。そして、満足して席に座る。
………………………………
「俺の席はぁーーーーー」
俺の慟哭が教室に響いた。
少し遅くなりました。許してちょ♡
ちなみに、御手洗と宍浦は、腐れ縁の幼馴染です。
下のほうにある星を押してくれると作者が狂喜乱舞します。