多様性をお大事に
「今日授業はここまでだ。日直、号令。」
「きりーつ、気を付け、礼」
「「「ありがとうございました。」」」
ようやく数学の授業が終わる。なんでこんなに長く感じるのだろう。そして眠くなるんだろう。ちなみに担当は、われらの担任月見里先生だ。あの人のやる気のなさそうな声のせいで眠くなるのかもしれない。
次の授業は体育か。この学校では、男子が教室、女子が更衣室で着替えるらしい。そのため女子が、教室から出ていく。
「三上、今日の体育はサッカーだって。頑張ろうぜー。」
テンション高く話しかけてくる御手洗。
「御手洗はサッカー好きなのか?」
「いや。体育で体動かすのが好きなだけだ。」
なんだ、ただの運動馬鹿か。
「よっしゃ。今日もいっちょやったるか。」
「影沼、その身なりでそのセリフは合わねーだろ。」
ほんと、こいつのキャラどうなっていんだよ。
「こんな体系だからって甘く見るなよ。こいつは、気配が薄くて神出鬼没だからな。奇襲とかいろいろできる。」
幻のシックスマンか。バスケじゃねーんだよ。
「というかこの体系だからと侮っているな。貴様みたいななんも鍛えてなさそうな奴なら、フィフティフィフティで勝てる。」
じゃあフィフティフィフティで負けるじゃねーか。
「ふっ、信じていないな。なら勝負といこう。腕相撲で。」
やばい。めんどうな流れに。
バサァ「見せてやろう俺の強さを。」
なんで脱いだ。脱いだらひどさが増したな。
「どうした。お前も脱げ。」
なんでや。とか言っても話進まなそうだな。仕方がない。結局着替えるもんな。そして、俺も脱ぐ。
「ほう。三上氏、意外にいい肉体をしている。」
そりゃ毎日軽く筋トレしているからな。健康のために。
「じゃあ、僕が審判をしよう。」
そう名乗りを上げたのは、今日体育見学の黛だった。そういえばお前見学だったな。
俺たちは、机の上に肘をつきお互いの右手をつかんで黛のスタートコールを待つ。
「両者、準備はいいかな。では、位置について、よーい……ファイト。」
たがいに力を入れる。うおっ、こいつ見た目に反してそれなりに強い。
しかし、なんも鍛えてなさそうな奴にフィフティフィフティで勝てる程度なので少し鍛えている俺には造作でもなかった。特に盛り上がることなく俺が勝つ。
「ぐおぉぉぉ。三上氏強いではないか。だが、僕は四天王の中でも最弱。次のこいつに勝てるかな。」
横を見ると御手洗がアップをしている。あと脱いでた。
「やるな三上。だが、ここまでだ。ここでお前は負ける。」
やるなってまだ一人目だろ。しかも、そこまで苦労していないし。
俺と御手洗の手をお互いにつかむ。なんか、御手洗にぎにぎしてるけど。まぁ、いいや。黛のスタートコールを待つ。
「運命の二回戦。この勝負でこの世界の運命が決まる。両者、準備はいいかな。では、位置について、よーい……ファイト。」
なんか突っ込みたくなる口上だったが、そんな暇なく勝負が始まる。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
うるさっ。叫ぶならもうちょっと静かにやれ。
御手洗は、予想通り影沼とは違い普通に強い。なんかさっきよりうまく力が入れられないような気がするが。
結果は奮闘したが、御手洗の勝利。
「よっしゃーーーーーーーーーー。」
喜んでいる御手洗をよそに影沼と黛が何か話し合っている。
「御手洗、お前ずるしたな。」
「えっ」
「なっ、何のことだ?」
御手洗の目が明らかに泳ぐ。
「おまえ、始まる前から三上の手を自分のほうに寄せて握っていただろ。あれじゃあ、三上力を入れづらいだろ。」
「はぁ」
御手洗に目を向ける。御手洗は、目をそらして口笛を吹いている。
「お前ふざけんなよマジ。」
「気づけない間抜けのほうが悪いんだろ。」
俺たちが、近づいて組み合っていると、教室のドアが開く。
「わりぃ。忘れものしたから邪魔するぞ~。」
月見里先生が、入ってきて俺たちと目が合う。
「先生は、多様性があっていいと思います。」
そういって、先生は教室から出ていく。俺たちは、顔を合わせ、現状を整理する。そして、
「「違うんです。誤解なんですーーーーーーーーーーー。」」
特に書くことはない。
下の方にある星を押してくれると作者が狂喜乱舞します。