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月にくちづけをする  作者: 輝夜
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プロローグ

<プロローグ>


 遥か昔、海に浮かぶ1つの島の人里離れた竹林に、どこからか赤子が産み落とされました。その顔立ちはまだ赤子ながらあまりに美しく、まるで光を放っているかのようでした。その赤子を見つけたお爺さんは、家に持って帰り、夫婦で、自分たちの子供のように大切に育てることにしました。その子は育つにつれてますます美しくなり、たとえ夜でも輝いて見えることから、「輝夜」と呼ばれるようになりました。目は氷よりも透き通り、肌は雪より白く、髪は夜闇を織ったかのように黒くて、夜空にぽつんと浮かぶ月の、光の断片1つよりももっと、儚げな雰囲気をもっていました。

 

 もちろん結婚の申し込みは後を立たず、ついにはその噂は島の王にも届くことになりました。紆余曲折を経ながらも逢瀬を重ねた彼らはお互いを深く愛し合い、尊び、幸せに過ごしていました。

 

 しかし、その後何年か経って、輝夜は月の姫であり、月に戻らなければならないことがわかったのです。努力もむなしく月の住民たちに連れ戻されてしまった輝夜でしたが、別れの時、王にあるものを渡しました。輝夜が渡したものは、不老不死の薬なるものでした。輝夜は王に、また会える日まで、何百年でも待っていて欲しいと伝えたのです。輝夜がいなくなった後、王は悲しみに沈み、何百年も待てるわけがないと言って、あろうことかその薬を捨ててしまったのです。


 この物語は後に竹取物語と呼ばれ、日本最古の物語として知られることとなります。

しかし実は、これの内容とおおよそ同じ出来事が、この物語の成立の少し前に起こっていました。


 ただ、1つ異なる点を挙げるとすれば、ときの王はもっと、我慢強かったということでしょうか...。






 それから何百年、何千年が経ったでしょうか、ある一つの大戦が終わった少し後、世界中を1つの大ニュースが飛び交いました。「人類、宇宙空間に進出す」と。そのニュースを聞いた1人の男は、老いを感じない頬の肌を真っ赤にして、浮世離れした面持ちを大きく乱して、呟きました。

「宇宙.....行けるの…?」


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