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~ベルローズ編②~




「ベルローズっ!!君の行動は目に余る!!君とは婚約破棄させてもらおうっ!!!」



卒業パーティーの日。わたくしはついに憧れの『婚約破棄』からの『破滅』を迎え、華々しく、美しく散る時が──



「では、私がベルローズを貰おうかな」



来たとおもったら、微笑を浮かべたレオンハルト殿下の登場で、その場の雰囲気が一変してしまった。



「あ、兄上!?なぜ、このような悪女を──」


「ベルローズは何も悪事を働いていない。高位貴族令嬢として、堂々と振舞っただけだ。それに、お前の横に居る男爵令嬢をいつ、ベルローズが害したんだ?」


「それは、彼女が虐められたと涙ながらに語ってくれました。他の者からの証言も──」


ええ!!わたくし、力の限り虐め抜きましたものっ!!


胸を張るわたくしに、レオンハルト殿下はにこやかに微笑んだ。そして、冷たい視線をオーディン殿下へ向けたのだ。



「マナー教師さえ雇えずにマナーの欠片すら持っていない彼女にしっかりとした教師を雇い入れ教育を施したり、夜会にデイドレスを着用してきた彼女にそれぞれの用途に合ったドレスを贈ったのもベルローズだ。階段が水で濡れ滑りやすくなっていた箇所に気付き、とっさに彼女を転倒から防ぐために階段から降りて貰っていたと、清掃係の報告も受けている。それのどこが虐めなのかな──?」



ぐうの音も出ないレオンハルト殿下の追及に、オーディン殿下は俯いてしまった。


待って、わたくしは、そのようなこと、意図してませんわっ!!!



「彼女ほど思慮深く、慈悲に溢れている令嬢はいない。私の妃にするのは、ベルローズしか有り得ない」


「はっ……!?」


「愚弟と婚約破棄し、私の妃になってくれるね?」



わぁぁぁ──とパーティー会場が沸き、皆が祝福ムードになった。わたくしの華々しい『破滅』の道がっ、このままではっ──!!!



「逃げられないよ、ベルローズ。ずっと、この時を待っていたのだから」



耳元でレオンハルト殿下が囁かれ、そのまま横抱きに抱えられてしまった。



まさか──


わたくしが幼い頃に……



『『悪役令嬢』はね、婚約破棄されて、断罪されて、『破滅』しますのよっ!!!華々しく散りますの!!!』



そうレオンハルト殿下に宣言した時から、殿下は──。







必死に逃げましたけれども、レオンハルト殿下が逃がしてくれるはずもなく。


わたくしは縦ロールと分厚い化粧を奪われ、レオンハルト殿下の妃となってしまった。



武装を解かれたわたくしを見て、オーディン殿下は


「嘘だろ……、こんなに綺麗だったなんて……」


と呆然と呟いていた。オーディン殿下は王位継承権を失い、王家の所有する田舎町の領地で、男爵令嬢と共に生涯を過ごすことになった。(追放タイプの破滅でうらやましいですわっ!!!!)



わたくしは──



「愛しているよ、私の薔薇姫──」




後に、大陸を統一し、このマークガスト王国を確固たるものにした伝説の国王と呼ばれることになる、レオンハルト・マークガスト国王の伴侶として、あろうことか幸せな最期を迎えてしまうこととなる──。




「あ、諦めませんわ……!!『悪役令嬢』の『破滅』を見届けるまでは──」




わたくしの魂は成仏することなく現世に留まった。しかし──



『愛しい薔薇姫。迎えに来たよ』


『ひっ!!!嫌ですわ、わたくしは、天には召されません。『悪役令嬢』の『破滅』を見届けて満足したら、レオン、貴方のもとへといきますわ!』


『困ったお姫様だ。わかったよ。では、私はゆっくり見守ろう。君が満足したら、悠久の時を共に過ごそう。そうしたら二度と逃がさないよ』


『ええ!!わたくしが満足しましたら、ですが!!』



またもや夫であるレオンに捕まりそうになってしまった。今度こそ、わたくしは自分の信念を貫きたいのですわ。レオンに捕まってしまっては絶対に無理なことは、この数十年で身に染みていた。



『さあ!『悪役令嬢』の素質がありそうな者を見つけ出し、必ずや『破滅』に導いてみせますわ──っ!!!!』




そんなわたくしが、何度目かに見出した『悪役令嬢』候補に翻弄され、再びレオンに捕まる未来など──



知る由も無かったのである──。






『もう離さないよ、私の薔薇姫』


『いや、ま、まだ、諦めませんわ──っ!!!必ずやロザリナ、貴女を『悪役令嬢』として『破滅』に導いてあげますわーーっ!!!!』


『きゃんきゃんきゃんっ!!!!』



レオンに加え、犬っころまでわたくしを邪魔してきますが、絶対に諦めませんから!!!!




「あー、またベルローズが喚いているわ。いい加減諦めてくれていいのに……」


「どうしたんだ、ロザリナ」


「いいえ!私は絶対に『破滅』せずに幸せになります!」


「───?」






END








最後までお読みいただきありがとうございました!!

ベルローズ編のリクエストをいただき、生前!?からのベルローズの物語になります。

さすがレオン、暴れ馬、ベルローズの手綱をしっかり操れていたようですね笑


本編を沢山の方にご覧いただけ、ご評価、ブックマーク、いいね、感想、誤字報告などいただき、誠にありがとうございました!

これからもどうぞ宜しくお願い致します♪♪

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― 新着の感想 ―
[一言] 流石ラスボスレオンハルト!!凄いな!?? 大陸を制覇した男は伊達じゃないですね。 守護霊ワンちゃんが元気そうでなにより。
[良い点] ポメちゃんが可愛すぎますっ! ガイザード様の獣化にポメラニアンではないかしら!とツッコミ入れるところで吹き出してしまいましたw そしてレオンはさすがですね、完全に手綱を握っています……!…
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