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2章:触手と姫騎士(3)

 真白さんからの答えは、「飛んで本部まで来い」というものだった。


 雑ぅ!


 姫騎士の速度なら、そうそう捕捉されることもないだろうという話だ。

 学校で騒ぎになるよりはたしかにマシか。




 教室に戻った僕を見た黄宮が眉をひそめた。


「赤石さんが迎えに行ったはずだけど、会わなかった?」

「気分が悪いと言って早退したよ」

「あなた……何をしたの?」


 これほど警戒心を顕わにする黄宮を初めて見たかもしれない。

 いつもの余裕の笑みが、少しだけ鳴りを潜めた。


「別になにも?」


 逆に僕は、余裕を見せつけてやる。

 これだけでも大きな一歩だ。


「はーい、席についてー」


 教室に流れた不穏な沈黙を破ったのは、担任の女教師だ。

 若くて美人、スタイルも良く、人気も高い。

 タイトのミニスカートと、白いブラウスがトレードマークだ。

 ブラウスから透けて見える黒いブラとたわわなお胸が、男子から大人気である。

 たまにブラウスの隙間からブラが直接見えるので、授業中の男子はみなその回数を数えている。


 だけど僕はこの担任が嫌いだ。


 女教師は教室の不穏な空気を感じ取ったらしく、一瞬室内を見渡した。

 しかし、何事もなかったかのように、出席を取り始める。


 トラブルを避けたいのか、はたまた他の生徒達のように、黄宮に抱きこまれているのか。

 いずれにせよ、僕の敵であることに変わりはないからだ。


◇ ◆ ◇


 せっかく登校したものの、2時間目の途中で真白さんから連絡が来た。

 訓練の準備ができたので本部に来てほしいとのことだ。


 ということで、学校まで迎えに来たリムジンに乗って向かったのは空港だ。

 校門ではやたらと注目をあびてしまったが、それは思い出さないことにしよう。


 空港の地下には、何かあった時のための施設がかねてから作られており、それを害異対が本部として使っているらしい。


 そうして案内されたのは、体育館ほどの大きさをした四角い部屋だった。

 窓はなく、分厚く固い壁で覆われている。

 ビルの三階分はありそうな高さの天井付近の壁には、強化ガラスを隔てたモニター室が見える。

 そこには真白さん他数名がこちらを見下ろしている。


『せっかくの学校だったのに悪いわね』


 真白さんの声が、室内に備え付けられたスピーカーから響く。

 こちらにいるのは、僕と赤石だけだ。

 なお、赤石は制服姿に戻っている。


「かまいませんよ。それより、動きにくくてしょうがないんですが」


 僕の体には、心拍数やら脳波やらを計測する電極がとりつけられていた。

 胸や手首、そしてこめかみにまで。

 何かのテレビ番組で、スポーツを科学的にどうのこうのとやっていたのを思い出す。


『データを取るためだから我慢して。じゃあ早速始めましょうか』


 完全防音に見えるけど、僕の声は聞こえているらい。体につけられた電極のどれかから拾っているのだろうか。


「何をすればいいんです?」

『キスと口での変身時間はざっくりしたデータを取れたから、次はナカかな』

「「へ?」」


 僕と赤石はぽかんと口をあけた。


「まさか、ここでしろなんて言わないですよね?」


 ガラスの向こうからめっちゃ見られてるんだが。


『でも一回出してて量が変わってると正しいデータがとれないかも。それならもう一回口のデータで、量による違いを見た方がいいかな』


 聞いちゃいねえ!


『ちゃんとベッドは用意したから大丈夫』


 舞台の奈落のように開いた床から、キングサイズのベッドがせり上がって来た。

 税金でなんて無駄なもの作ってるんだ。

 手で運びこめばすむだろうに。

 それならいいってことではないんだけどね!




ここまでお読み頂きありがとうございます。

続きもお楽しみに!


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