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62 大刀の魔人の弟子

青年と目が合う。


「お兄さん、目が覚めたか。」


青年は、僕よりもずっと身長が高く、がっしりとした体格をしていた。髪は濃い紺色だった。


そしてなりより、その服装だ。袴に羽織、そして帯。マゲを結っていたならば、まさしく侍であっただろう。


彼はややふてぶてしい顔で、こちらにゆっくりと歩み寄ると膝をついた。そして地面に手をつくと、ゴンッという音を立てて、頭を床に擦り付ける。


「今回はほんっとうに迷惑をかけた。」


土下座だった。


「や、やめてください!ほ、ほら!頭を上げてください!」


僕は訳がわからなくて、戸惑いつつ彼に声を掛ける。それでも彼は顔を上げることをしなかった。


「わ、わかりましたから。僕も何が何だかわからないので事情をお話ししてくださいますか。とりあえず、頭を上げてください。」


僕が上体をベッドから起こしながらそう言うと、彼は頭を下げたまま、ちらとこちらを見る。額が真っ赤になっていた。


「すまない。まずお兄さんが意識を失ってから、起きることまでのことを話そう。お兄さんは昨日街の外れの広場で倒れていて、それで治療と安全のためにここに連れて来させてもらった。


ここは街の衛兵所で一応安全なはずだ。俺もいるし、それに衛生兵もいるから、ある程度応急処置もできるからな。」


僕は部屋を見渡す。その部屋は、それほど大きくなく、ベッドが一つと、椅子や机がいくつか並んでいるだけだった。机の上には、いくつかの瓶や、水が置いてある。


昨夜はニナがつきっきりで看病してくれたらみたいで、疲れてしまったのだろう、床に座った状態ベッドにもたれかかり、僕の足に頭を乗せ、寝息を立て始めてしまった。ポロもベッドの上で丸くなって目を瞑っている。


僕はニナの頭を撫でながら、青年の話を聞いていた。彼は優しく微笑みながら僕を見る。


「本当に無事でよかった。俺は寝るように言ったんだが、彼女は結局、三日三晩ほぼ寝ずに看病をしていた。君が起きなければ、彼女まで倒れてしまうのではないかと、とても心配だった。」


ニナはスースーと寝息を立てているので、僕は彼女に毛布をかける。


「そういえば、自己紹介が遅れたな。俺はカンザ・ムサシという。この町の住人ではないんだが、仕事でここに滞在している。」


そう言って彼は左手を出す。仕事とはどんな仕事なのだろう、彼の服装から、日本的な何かを感じた僕は彼の経歴がとても気になっていた。


「ムサシさんですね。僕はジン・クドウです。ジークでいいですよ。僕達は旅の途中でこの街に立ち寄りました。」


僕もとりあえずは自己紹介をして握手をする。


「ジーク、いい名前だ。俺のこともムサシでいい。


それで、本題に入ろうか。三日前、君を襲った者についてだ。まず、その者の特徴で覚えていることはあるかい。一応、彼女、ニナからも聞いて見当はついているのだが、彼女も一瞬見ただけだと言っていたからね、確認のために教えてほしい。」


僕は僕を襲った少年のことを思い出しながら、ムサシに少年の特徴を話していった。


「なるほどな。背丈ほどの大刀を持った無邪気そうな少年か。間違えねえ。そいつは俺が追っているやつだ。


くそっ、今回のお兄さんたちも俺のせいで怪我をしたようなものだ。本当にすまねえ。」


ムサシはもう一度、床に頭をつける。


「や、やめてください。結果的にはそこまで酷いことになりませんでしたし。それより、ムサシさんはどうしてその少年を追っているのですか?」


彼は申し訳なさそうな顔をしながら、頭を上げる。


「あいつは俺の親みたいな恩のある人に大怪我を負わせたんだ。その人がヤツにたくさんのことをしてやったにも関わらず恩を仇で返す形でな。




そうだ。お兄さんたち、この町で何か情報を集めていたんじゃないかい。例えば、魔人についてとかね。」


僕はどうして彼がそれを知っているのか少し疑問だったがとりあえず頷いだ。


「いや、なんてことない、ただ、お兄さんたちの情報の集め方が少し良くなかった。あまりに堂々と情報を集めすぎたのさ。」


青年は少し真剣な目つきになり、小さな囁くような声で言う。


「お兄さんたちの事情は知らないが、魔人、特に大刀の魔人のことを安易に聞きまわることはあまりいいことじゃない。悪目立ちをしてしまうんだよ。この際だ、お兄さんたちは知らないで大刀の魔人を探しているようだから、教えよう。


大刀の魔人は現在ニホン国においては政府と対立する勢力のトップなんだ。ニホン国は現在彼をS級犯罪者として指名手配しているほどさ。一般人が関わっていいことがある人物じゃあない。」


僕はその言葉に絶句する。まさか、ミラレスが紹介してくれた人が犯罪者であるなんで思わなかったからだ。


ゴエたちも、大刀の魔人は危険視していたが、まさかそこまでの危険人物だとは思わなかった。


青年は一呼吸おいて、言葉を続ける。


「そして今回お兄さんたちを襲った奴は、その魔人の元弟子の一人だ。」


体調を崩してました。皆さんも、このご時世、体調にはお気をつけください。

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