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56 sideB 地下エレベーター


牽制がてら、ロボットに向けて雷の魔法を放つ。大きな落雷がロボットに落ちる。


一瞬周囲がまばゆく照らされて、爆音と衝撃が波状に伝播する。


だが、しかし、どうやらその程度の威力ではどうにもならないらしい。相手のロボットは無傷で、何もなかったかのようにこちらに向かってくる。


俺は空中を蹴り、ロボットの炎を避けつつ、頭上を飛び越えて、後ろに回り込む。

そして、咄嗟にロボットの背面に触れ、雷の魔法をゼロ距離でぶち込む。


バチッと音がして、ロボが膝から崩れ落ちる。


「ふう、何とかやれるな。」


そう呟くと同時に後ろから、チルチルが叫ぶ声がする。


「シュルク!いったんそいつから離れるのだ!」


瞬間ロボが赤い光と轟音を放ち、爆発した。


俺は咄嗟に飛んで距離をとる。


「すまん、チルチル助かったぜ。」


チルチルが言うには、ショートが何とかで場合によっては敵を倒す際爆発してしまうことがあるらしい。


その日、さらに何体かロボを倒した後、その場でキャンプをすることにした。一向に変わる気配のない周りの環境のせいで時間感覚も無くなってしまいそうだ。


チルチルは持ってきた時計を見る。


「ダンジョンは地下都市と違って朝晩が設定されていないのだ。時間感覚のために、時計は必須なのだ」


三人で飯を食って、消耗した体力を回復するために、横になる。


慣れない環境で、寝るときも緊張を解くことができないので精神的にも結構消耗するな。俺は今日の戦いの反省をしていた。明日はもっと効率的に敵を倒せるといいのだが。


ちなみにチルチルの不可思議な魔法は俺では使えなかった。魔法はイメージが命なのだが、どれだけ見ても、チルチルの魔法は何をイメージすればいいのか分からなかった。


試しに、何かを潰すようにやってみても魔法は使えず、チルチルに聞いてみても


「こうグワーとやるのだ。すると、ゾワワーとなって……」


何の役にも立たず、結局使えずじまいだった。


俺の武器は変わらずこの雷の魔法ってわけだった。それでも、チルチルと二人がかりで処理すればある程度の数でもさばくことはできたし、チルチル曰く敵は今日の敵より強くなることもないらしい。もっと言うならば、最初の方が強く、数が多いそうだ。


それはまるで、地下から地上に出ることを防ぐためではなく、逆に地上から地下に来る人々を退けるためかのようだと思った。


固い床で何度か休憩を挟みつつ、三人で階段を上に昇ってゆく。


チルチルの時計で三日目の日、案外あっさりと、一つの扉の前にたどり着いた。


その扉には取っ手のようなものはなくて、ただ強固そうな銀色の、のっぺりとした扉があるだけだった。触れてみると、ひんやりとした金属の感触だった。


「これどうやって入るんだ?」


俺はその扉をみて呟く。


そうすると、チルチルは鎧の中から出てきて、何かを手に持って言う。


「これを使うのだ。」


チルチルの持っているものはダンジョンカードだった。ただそれは俺たちが大会でもらったのと違い、金属のようなもので出来ている、銀色ものだった。


「普通のダンジョンカードは一回この施設に入るのに使ったら、消えてしまうのだ。けれど、この固いダンジョンカードは消えずに、色々なことに使えるのだ。」


ミクによるとそれには「玲玲リンリン工学研究所 上級研究員証」と書いてあるようだった。


チルチルがそのカードを扉の近くにかざすと、扉はピピピッと音を立てて、滑らかに開く。


中にはいくつもの絵と、椅子、そして何やら書類が散らばっていた。


俺たちは恐る恐る中に入っていく。


「中に敵のロボットがいないだけ助かるな。」


チルチルが言っていた通り、その部屋の絵、チルチル曰くモニターと言うらしいが、それにはその施設の全体像のようなものが書いてあり、現在位置は地上からすぐ下のようだった。


俺もチルチルもそれくらいしかわからなかった。


だが、ミクは違う。そこらへんにある資料や、モニターの文字を読み漁っていた。それでも、少し解読に時間がかかるということで俺たちはしばらくその部屋で休むことにした。


その部屋はミク曰く「モニター監視室」の一つらしく、主にこのダンジョンの警備を担っていたらしい。今はなぜか人はおらずもぬけの殻だ。


そして、ミクがあらかたの資料を解読、整理し終えたのはそれから丸一日後だった。


「膨大だった。」


少し疲れた顔をしてミクはその資料から分かったことを話し始めた。


まず、この施設は「玲玲リンリン工学研究所」の一部で間違いない。そしてこの塔は地下まで伸びていて一番下は地下2階。上層は地上と交通しており、発展を遂げている地下都市が地下一階。さらにその下に一つ階層があるとのことだ。これがいわゆるチルチルが行きたがっていた地下のダンジョンの入り口なのだろう。


そうして建物の構造をさらに解析することで、ミクはこう結論付けた。


この塔は塔ではなく、地上から地下に降りるための何らかの装置であると。



それを聞いてチルチルが呟く。


「なるほどなのだ。つまりこの塔はエレベーターのようなものなのだ。」


俺たちが不思議そうな顔をしているとチルチルは、詳しく説明してくれた。エレベーターとは、この地下都市でもたびたび見かける、古代装置の一つで上下に移動することができる装置らしい。


「で、その装置はどうやったら使えるようになるんだ?」


俺がミクにそう聞くとミクは少し資料とにらめっこしながら、答える。


「乗り場に行かないと乗れない。」


ミクが言うには、俺が地下都市から塔に入った最初のホールは地下一階に当たるようでその乗り場の一つだったらしい。


つまりはこの塔は、移動方法が二つあるのだ。一つは、階段を使うルート。これはダンジョン扱いされるくらいだから、ロボなる敵がいる。もう一つは、エレベーターという移動装置を使うルート。おそらくこちらが正式ルートだ。


俺たちはとりあえず地上に出てその乗り場を探すことにした。


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