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55 sideB 漆黒の鎧と重力魔法

それはまるで鉄の人だった。見たこともない。すこしチルチルの鎧に似ているがそれよりも線は細い。


人のように手足が二本ずつ、それに顔のようなものがある。金属だろうか、光沢のある銀色の角ばったフォルムに黒い目のようなものが付いている。


「&%$&%$&#&%」


何か言葉のようなものを発すると、手をこちらの方に向けた。


「下がってるのだ!魔法が来るのだ!」


チルチルが叫んだとのほぼ同時に、ロボの手から炎が出てくる。


俺は咄嗟にミクを守るために自分の前に氷の壁を作る。


チルチルもロボに手を向けるが、すぐに鎧ごと炎に飲まれて見えなくなってしまった。


「お、おい!チルチル!」


その時だった。


グシャ、ガキッ、ギギギーと何か金属がひしゃげられるような音がした。次第にロボの炎が弱まり、真っ黒な鎧が炎の中で揺らめいているのが見えた。


「おい!チルチル!無事か!」


ガキンッと音が鳴り、炎が消えた。俺の目の前には、黒い鎧と、その前に金属塊が転がっていた。


「はぁ、なかなか潰す場所の調節が上手くいかなくて、全体的に壊してしまったのだ。これでは大した素材は得られないのだ。まあ、きっとこのロボは三文字ロボだから大丈夫なのだ。」


チルチルは、そうぶつぶつと何かを呟いていたようだった。俺はカチンときて空中を蹴り、チルチルにドロップキックをかます。


がっしゃーんと言う音とともに黒い鎧が尻もちをつく。


「おい、バカ、おめーは無事かって聞いてるんだ。中の状態わかんねーからよ、心配なんだよ!」


俺が怒鳴ると、黒い鎧の胸がプシューと言う音を立てて開き、チルチルが申し訳なさそうな顔をしながら出てくる。


「ごめんなのだ。この通り元気なのだ。」


そう言って、チルチルは話し始めた。チルチルの黒い鎧はこの塔のロボから得た素材で作っており、それは魔法を弾くというよりも、魔法から出た火や電気であろうと、自然に発生したものであろうと大抵は通さない特殊な金属のようなもので出来ているらしい。


つまり、物理攻撃しか効かない。それに加えて、俺のドロップキックや剣撃でも壊れないような物理への防御力である。


「つまりは、敵も火や電気を弾くのか?」


チルチルは頷く。


「けど、その個体によって、耐久限度があるのだ。さすがに防ぎきれる熱量や電気の規模には限界があるから、弱い個体だと、火で炙り続ければ、回路が過熱して、動作しなくなるのだ。」


よくわからねーが、魔法を使いまくれば倒せるということか。


「それで、俺とお前が戦った時、お前は動けなくなったのか。」


「そうなのだ。実は、その、えーと、しゅ、しゅ、る」


チルチルが突然どもるように戸惑い始める。


「シュルクと呼んでいい。」後ろからミクがそう言った。


すると、チルチルの顔がパーッと明るくなる。


「ミクはミク。」


コクコクとチルチルが頷く。


俺が訳も分からずミクの方を見ると、ミクも俺のことをジトッと見ていた。


ああ、そういえば名乗り忘れてたな。


「おい、チルチル。シュルクだ」


そう言って、チルチルの方を見る。


「しゅ、しゅるく」


チルチルが小さい声でそう呟く。


「おい、それより話の続きをしろ。」


「あ、そうなのだ。シュルクと戦った時の話なのだ。シュルクは電気の魔法が得意なのだ?」


俺は頷く。電気が一番得意だ。俺に相応しい速く強い魔法だ。


「おそらく、あの時、シュルクの電気魔法の電圧が高すぎて、絶縁加工してあるはずの鎧を通してどこかの回路に電気が流れてショートしてしまったのだ。」


???


「わからねえから、砕いて言ってくれ」


「要は、すごく強い電気魔法なら、ロボを倒すのに効果的かもしれないのだ。」


そしてチルチルはロボについて説明し始めた。


曰く、この塔にはロボが沢山いるが、その形は様々で色々な個体がいる強さもばらばらだが、共通点としてすべてのロボの後ろに文字が書かれているらしい。その文字数が小さくなればなるほど、強い傾向があるそうで、今の個体はその文字が三文字だったらしい。


「これは数字。」ミクがそのロボの背中を見て言う。


「訳せるか?」ミクはこくんと首を縦に振る。


「一 九 四」


その瞬間、再びビービーと大きな音が上からする。俺は咄嗟に階段の上の方に駆けていく。


「おい、チルチル!急いで鎧に戻れ!」


準備をする暇もなかった。チルチルは今生身だ。そして、チルチルは鎧以外の防御手段を持っていない。魔法が独学のせいで、基本属性の魔法は全く使えないのだ。


俺が戦うしかない。早めにロボとエンカウントするため、階段を駆け上る。


音が近くなる。


そして、音のなるところにたどり着いたとき、目の前には先ほど見た同じロボが立っていた。


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