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41 旅路の中で

ショニーさんとゴエさんと一緒に旅が始まった。


それぞれの町で旅慣れているショニーさんたちが、宿探しやおいしいご飯屋さんを教えてくれるので、まるでツアーに参加している気分だった。


たまに獣が出てくることはあったが、ゴエさんは獣と戦い慣れていて僕らが出る幕は全然なかった。


久々に野宿になった日にみんなで焚火を過去ながら晩御飯を食べる。


「そういえば君たちは南の海を渡ってどこら辺に行くんだい?」ショニーさんが何気なく聞いてきた。


僕は、南西にいる大刀の魔人という人を訪ねるというと、二人はスプーンを地面に落とし、あからさまにあっけに取られていた。


しばらく思考停止していたらしいゴエさんが意識を取り戻し僕に聞く。


「ど、どうしてそうなるんだい」


僕の魔力量では魔人に教わるのがいいだろうと、知り合いに紹介してもらったと経緯を話す。


「たしかに、ジークの魔力を魔人級と呼ぶのかもしれねえが、それにしたって大刀の魔人ってのはどうかと思うぜ」


ゴエさんたちは大刀の魔人についてあまり良い印象を抱いていないみたいだ。


「あの、僕たちはその方について何も知らないのですが、何か知っていますか?」


ゴエさんに聞くと、いろいろ教えてくれる。その人は結構有名人らしい。


曰く、山を切れるほどの大刀を手に、戦場を暴れまわる、その姿は戦鬼と呼ぶにふさわしい巨人。

曰く、傍若無人、唯我独尊、暴虐非道、残忍酷薄すべてを凝縮させたような怪物。


噂は確かに良いものではなさそうだった。


何度か国に捕えられ、投獄されるも、国はそのあまりの力を抑えきれるはずもなく、今はただ指を銜えて見ているしかない状況らしい。


なんでも魔人は世界に十数人しかいないと言われており、ここニホン国では彼だけだそうだ。そのニホン国最高戦力をどうこうできるはずがない、ということだった。


「まあ大陸に行くと、ほかに何人かいるらしいがな。魔王国とかには数人いるらしいぜ。とにかく魔人ってのはどいつもこいつも頭のねじがぶっ飛んだやつらばっかりって話だ」


そう言って、ゴエさんは何人か知っている魔人の名前を挙げる。その中に魔王国の現魔王も入っていた。


僕はガローを思い出し、唇を噛む。


ほかにゴエさんが挙げた魔人は、鮮血の魔人や漆黒の魔人などおどろおどろしい二つ名ばかりだったが、ここより西の大陸にいるらしく、名前を知っているだけらしい。


「それにしても、大刀の魔人のところに行くのはやめた方がいいんじゃないでしょうか。私たち商人の間でも、その魔人の近くを通るのは避けた方がいいと言われているくらいです。」


ショニーさんが心配そうに僕たちを見た。


僕は首を振る。


「信頼できる人から紹介してもらったのでとりあえずはその人を信じてその大刀の魔人という人物を訪ねたいと思います。」


二人は納得したようなしていないような顔をしていて僕は少し気まずくなって話を買える。



「そういえば、ショニーさんとゴエさんってどういうご関係なんですか」


そう僕が聞くと、ニナもそれが気になってました!と体を乗り出して話に入ってくる。


今までの話でつまらなそうにしていたのに、いきなり食いついたので僕は内心かなり驚く。ニナもそういう話が好きなのかもしれない。


ショニーさんは頭をかきながら答える。


「え~と、同じ村出身の腐れ縁なんだよ。」


するとゴエさんも呆れた顔で話を続ける。


「ったく、こいつが商人やりたいって言って村を出るから、死なねーように一緒に来てやったらこのざまだよ。」と言ってやれやれと首を振る。


二人の本当に信頼し合って仲の良いことが伝わってくるような少しうらやましく思った。


そのあと、ニナがゴエさんにいろいろ質問していたが、話の内容はよく聞こえなかった。


時折ゴエさんが顔を赤くしたり、怒ったりしながら二人で仲良く話していた。


僕とショニーさんは何か盛り上がる女性陣を傍目に見ながら、ニコニコしていると、気を使ってくれたのだろうか、ショニーさんが口を開いた。


「ジーク君の出身はどこなんだい?」


僕はここニホン国だと思うが、親がいなくて自分でもわからないと答えると「そういえばそう話していたね。ごめんね、気が利かない話題を振ってしまって」としょんぼりする。


嘘ではないのだが、ショニーさんに気を使わせてしまった気がしてチクリと心が痛んだ。


僕は大丈夫ですと言って首を振り、ショニーさんたちの故郷について質問する。


その夜もたくさんいろんなことを彼らは教えてくれて本当に楽しかった。




その後も彼らとはいろいろな街を渡り、目的の港町マコマイまであと三日というところだった。


それは突然起こった。


その日もいつものように馬車を走らせていると、ゴエさんがショニーさんに馬を急がせろ!と叫んだ。

ショニーさんは少し驚いてから、頷き、馬のスピードを上げた。


馬の体力を考えても、こんなことするのは何かから逃げるためであろう。


マコマイの町に近づくにつれて、交易の商人を狙った盗賊が多くなるという説明はショニーさん達から受けていた。しかし、最近は少し沈静化していて多分大丈夫だろうという話だったが、運が悪かったのかもしれない。


緊張が走る。


どうやら本当に後ろから謎の集団が僕らの馬車の後ろをつけているらしい.


その瞬間、ひゅんと馬車の横を矢が飛んだ。


それが始まりの合図かのように次々と矢が飛んでくる。


「これはまずいな。かなり規模が大きい。お前らは矢が当たらないようにかがんでおけ」ゴエさんが後ろを見ながらそう呟く。その顔は緊張と不安の入り混じったものだった。


ゴエさんでもそれほどに焦る規模の盗賊団に僕たちは狙われてしまったのかもしれない。



「ぐわあああ」


突然、御者の席から悲鳴が聞こえる。


僕は慌てて御者席のショニーさんを見ると、彼の足に矢が刺さっていた。



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