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36 夜の訪問者

「も~~~~」


入り口の外では曇天が僕らに覆いかぶさっていて、昼であるのにまるで夜のように暗かった。雨音が地面を叩く音が僕らを囲む。


星も月も見当たらない憂鬱な雨の中、外に出るわけにもいかず、ニナが暇を持てあます。


このおよそよくあるガレージほどの大きさの狭い空間ではあまりにやれることが少ない。


それでも僕らはのっぺりとした土のかまくらの薄暗い中で、三日ほど雨が止むのを待っていた。


ニナと他愛もない話をしていると、ふと、ニナが気になることを言う。


「そういえばジークって体から魔力が漏れ出ているよね。それ疲れないの?」


自分では意識したことがなかった。特に実害はないのだが、どうやら少しニナが気になるようで試しに止められるかやってみる。もしかしたら、このせいで無駄に体力を消費するということもあるかもしれない。


僕は魔法の発現様式を頭の中でイメージしながら、全身の毛穴を閉じるイメージで魔力菅を閉じられないかやってみる。


するとニナがキャッキャと、笑っていた。薄暗い土かまくらの中で淡い光を放つろうそくの火に照らされた彼女のまばゆい笑顔はとても無邪気で愛らしかった。頬を赤らめて笑う彼女を見ると、太陽のような温かさを感じる気がした。


僕が不思議そうな顔をして彼女を見るも、彼女はツボにハマったのかけらけらとずっと笑っている。


「ど、どうしたのさ。」僕は訳が分からずに彼女にそう聞くと、彼女は目尻の涙をぬぐいなたら言った。


「す、すこし漏れは少なくなったわよ。でもジークの力んだ顔がおかしくっておかしくって」



僕はそれから数時間魔力が外に漏れ出ないように四苦八苦してニナからお墨付きをもらえるほどに魔力を抑えることができるようになった。なんだか、体が軽くなった感じがあるし、コツを掴んでしまえば無意識でも魔法が漏れ出すことはなかった。



その日の夜、食料も無くなりかけているので、明日も雨が止まなかったら、町を探しに出ようと決めて僕らは早めに寝た。



寝付いてから少しして、ポロが僕をゆすって起こした。ニナは寝ているようだ。


「どうした、ポロ」と目をこすりながらそう呟くと、ポロが外を見る。


僕もつられて外を見ると、何やらいくつかの光がある。それによくよく見るとこちらに近づいてくるようだ。


僕は危険を感じる。僕は一応ニナを揺すって起こし、剣をとる。


ここは僕がニナとポロを守らねばならない。手に汗が滲んで、緊張で手が震えた。


彼らはどんどん近づいてくる。室内だと戦闘になったときに僕が魔法を使いにくいし、かまくらが崩落してしまっては大変だと思って僕は外に出る。


その光の元に対して勇気を出してこちらから行動を起こす。


「すみません、どうしましたか!」僕はできるだけソフトな言葉づかいで相手を刺激しないように声をかけた。


向こうはどうやら驚いているようで、子供だ!子供がいるぞ!と叫ぶ声が聞こえた。


二人の男女がこちらに駆けてくる。


男の人が優しい声色で「坊や、ご両親はその中かい?」と僕に聞くので僕は首を振り、中にいるのは犬と女の子だけだという。


女の人は怪訝そうな顔をして僕らを警戒している雰囲気が漂っていた。僕は素直に僕らのいたところで親代わりのおじいさんに育てられていたが、彼が亡くなってしまったので、知人のつてをたどって僕らの面倒を見てくれる人の元へ行こうとしているということを言った。


そう言ってから、僕は少しまずいなと思った。


もし彼らが、盗賊や人攫いであったら僕らは格好の獲物だ。身寄りもいない子供たちだけなのだから。何か危険なことに巻き込まれもするかもしれない。そう思って僕は一通り話してから、警戒して剣に手をかける。


女の人が僕に「その土の建造物はどうしたんだい」と聞いてきたので、一応警戒をして、元からあったので利用させてもらっていたと言った。


彼女は訝しんだ顔でふーんと言って黙ってしまった。


隣の男の人をちらとみて僕は驚く。


それは最初雨が降っているからだと思ったが違った。


その男の人は目から溢れんばかりの涙を流していた。。


そのくしゃくしゃの泣き顔が、持っている電灯に照らされ、髪や頬を濡らしながら、僕の方を見て言う。


「ひっく、坊や、辛かったろうね、ひっく、寂しかったろうね、ひっく。もうだいじょうぶだからね」


横の女の人はそれをみて、やれやれといった顔でため息をつく。


その人たちはどうやら商人の一団だったらしい。

僕の話を聞いて泣いてた人がリーダーで商人のショニー、気の強そうな大きい女の人が護衛のゴエ、そして雇ったという三人を合わせての五人で、町から町に商品を運ぶ途中だったらしい。


彼らも雨の中夜を明かすために、どこか雨宿り場所を探していたらしく、そこでやっとこの土の謎かまくらを見つけて、今日ここで寝泊まりできないか見に来ると僕らがいた、という流れらしい。


僕は少し考えたが、今日はとりあえず、ここに五人を泊めることにした。平和ボケしているのかもしれないが、見た感じ悪い人ではなさそうだし、彼らを見捨てるほど非情にもなりきれなかった。


なによりニナも悪いことを企んでいる顔ではないと言っていたのが決め手だった。


僕らは明日出ることを彼らに伝えて一応警戒として僕とニナ・ポロが交代で日が昇るまで彼らを警戒することにした。


ニナとポロの見張りが終わり僕の番になり、ポロがゆさゆさと僕を起こす。


僕は寝ぼけながらもニナとポロにお休みをいい、上体を起こす。


どうやらあの五人はすやすや寝ているようだ。


悪い人たちでなくて本当に良かった。


が、起きていたらしい女の人がこちらを見た。護衛のゴエさんだ。


すくっと起きてこちらに来る。僕は警戒して、いつでも氷魔法を使えるように準備しておく。


彼女はゆっくりと両手を挙げた。

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