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23 終わりを告げて、

彼の元に行くと、ガローがこちらを見た。


どうやら意識はあるようで内心ほっとする。


「ガロー、大丈夫!?何があったの!」

僕がそう聞くと、彼は何か話そうとするも、ゴホッと血を吐く。


急いで鞄の中から本を取り出す。彼に触れると以前ニナが熱を出した時と同じように診断の赤い文字が出る。

それに触れると、しばらくして診断の下に文字が並んだ

『出血性ショック』『内臓損傷(気管、肺、魔臓、肝臓、脾臓、小腸、膀胱)』

『血管損傷(多数)』『骨折(肋骨、右大腿骨、左右上腕骨)』『前腕損傷(左右)』


多すぎる。

改めて近くでガローのことをよく見ると、両手の腕から先がない。


僕はどの項目を読んで何から処置すればいいか見当がつかなかった。


とりあえず目に入ったところには傷口を圧迫とあったので手当たり次第に出血部位を布で縛ったり、手で押さえたりして止血を試みる。


「ニナも!ガローの血が出ているところを押さえて!」


僕がそう言うと、彼女は泣きながらも頷き一緒に彼の傷を手で押さえる。


しかし、血は一向に止まらない。


これではだめだ、ミラレスを連れてこなければ。でも、どう考えても間に合わない。


考えろ、考えろ。


そこで一つ思いつく。確か以前読んだ本の記述だ。そこには『魔臓から、魔力菅が血管のように全身に伸びている』と書いてあった。


つまりはもしかしたら、()()()()()()()()()()()()()()、魔()()()()()のではないか。


だとしたら、足からも出る、そう考えた。


迷っている時間はない、僕は足に力を込めて火を出す。すると、思った通り足から火が出た。そのまま浮き上がるも、バランスが取れずにその場で一回転して勢いよく転んでしまう。


くそ、もう一回だ、集中するんだ。


そう頭の中で呟き、目を閉じてイメージをする。ゆっくりと体が浮く感覚があり、目を開けると空中にいた。


「すぐ戻る!!!」ニナにそう叫ぶ。


このままスーパーマンのように飛んでいこうと思ったが、うつ伏せの状態、つまり水平姿勢だと浮遊する力がなくなるため、バランスがとりにくいと思ったので、空中に直立した体勢で背中から火を出して町の方に向かって飛んでいこうとする。


背中から火を出すと、強かったのか勢いよく僕の体は前に押し出されすごいスピードで進んでゆく。


すさまじい速度なのか、周りの景色があっというまに過ぎ去ってゆき、すぐに目の前に大きな町が見えてきた。


やばい、止まることを考えてなかった。


このままだと街壁か地面にぶつかって死んでしまう。


でもガローを救うために、死ぬわけにはいかない。


町の門がもうすぐそこに見えた時、門から少し陰になっている城壁の堀の中の水を見つける。


そこに向かって思い切って飛び込む。飛び込む直前に自分の前の方向に火を出し、威力を弱めようとしたが、結構な威力で水に突っ込むこととなった。


僕は水中深くに沈み込み、上も下もわからない。


それでも水面を探る。掘りは下が真っ暗で、対照的に水面の方は太陽がキラキラ輝いていて、そっちの方に向かうと水面から頭が出た。大きく空気を吸い込む。


僕は水から上がると、急いで門の方に向かう。


門の前まで来て僕は通行料を持ってきていないことに気が付いて焦るが、どうやら通行料は大人だけがかかるものらしい。


門番の人は呑気に「お~お~、そんな素っ裸で、さては堀で遊んでたな。危ないからダメだぞ」と笑って僕を諭した。


どうやら火を出したせいで、上半身の服と靴が燃えてなくなっていて、上半身が裸になっていた。


しかし、僕はそれどころではなくて、門番にお礼を言うとすぐに、ミラレスの店に向かう。


行きも切れ切れで店について扉を開けると、ミラレスがこちらを見る。


「どうしたのですか、ジーク君。そんな真っ青な顔して。びしょ濡れですよ。」


僕を見たミラレスがびっくりした様子で僕の方に駆けてくる。


僕は息が整わないまま


「ミラ、ガローが、ガローが、死んでしまう。」


と伝えると、ミラレスは


「ジーク君、いったん落ち着いて」と僕の目を見て言う。


「落ち着いていられない!ガローが死んじゃうんだ!」


「ジーク君、落ち着いて、話をしながら歩きましょう。」

僕はもうしびれを切らして、ミラレスの手を掴んで扉の外まで出す。


「えっ、ジーク君、ちょっと」


「ミラ、しっかりつかまって」


ミラレスを持ち上げる。お姫様抱っこで彼女を抱きかかえた。


「ジークっ君っ、どうしたんですか」


「いいから僕にしっかりつかまって」


僕は足から火を出し上空に浮き上がる。


彼女は唖然としていたが、状況を理解したのか僕に強く掴まる。


町全体が眼下に広がる。森はあっちの方向か。僕はミラを抱いたまま背中から火を出し、森の方向に向かった。まるで新幹線のような速さで進むため、話す余裕もなく、ミラレスも黙って僕につかまっていた。次第に家が見えてくる。


やばい、今回は手も体の前面もミラレスを抱えているせいで止まるための火が出せない。僕ができるだけ大声で「ミラ、止まれない!」というと、彼女はそれをすぐ理解してくれたのか頷いた。


家に近づき、火を弱めて、ガローたちのところにたどり着く。


落ちる直前、ミラレスが何だが、空気のクッションのようなものを出して、衝撃を吸収してくれた。


地面に降りた後、僕とミラレスはガローに駆け寄る。


まだ意識はある。ガローが僕たちをみて何か話そうとする。


「ポルトさん!話さないでください、ニナちゃん、代わります。あなたは布と縄を持ってきてください。できるだけ清潔なものを、濡らして持ってきてください。」


そしてちらと周りを見ると、


「ジーク君はあそこの女の子と男の子の様子を見てきてください。ある程度把握したら私に状況を教えてください。」


そう僕に言った。


僕は一瞬何を言っているかわからなかったけれど、周りを見渡してみると少し離れたところに女の子と、男の子が倒れていた。


訳が分からなかったが、言われた通りに二人のところに走っていった。

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