閑話 少女と魔獣
物語の本筋には影響しません。
ある日、幼子と老人がこの森を通って中にやってきタ。どうやら何かから逃げてきたようダ。しばらく様子を見るとどうやら中に住むようらしイ。
それはいけなイ。
ここは大切な場所なのだから守らねばならなイ。もはや帰る者もいないとわかっていても大切な場所なのだかラ。どうやって追い出そうカ、力で追い出すのが楽ダ。
あの老人は強そうダ。
だから、老人がいないうちに家を壊せばよいではないカ。そうしたら彼らもあきらめて出ていくだろウ。
家に向かっタ。
家の中には幼き少女がいるようダ。すまない幼子、わが役目なのだ、許セ。外の物音で老人が帰ってきたと思ったのだろうカ、少女が出てきタ。
その時少女は我を一目見ると我に尋ねタ。
「大丈夫?あなたとても寂しい顔してる。
私もね、最近お父さんやお母さんと離れ離れになって寂しい。けどまだガローがいてくれるの。
それでもやっぱり寂しいけど……。
あなたはもっともっと寂しそう。」
幼子は少し考えたのち、
「ほら、大丈夫だよ、元気だして。こうやったら寂しくないんだよ。」
そう言って私の足に抱きつク。
我は戸惑いつつも為すがままにされル。
なんと小さいのだろウ、なんと温かいのだろウ。人間はこの温かさをたしか優しさと呼ぶのだったナ。そう言えばロアンも我を優しく温かく包み込んでくれタ。
懐かしい、大切な思い出。
我はしばし考え思いつク。
友を呼ぼウ。
我はこの大切な森の守り人をせねばならぬガ、友はそうではなイ。彼は帰らぬ「彼女」を思い出の地でただただ待っているだけであル。彼らも友が見ていれバ、変なことをしても友が止めてくれるであろウ。それにこの幼子の眼は友が待つ、もうとっくにいなくなってしまった「彼女」に似ていル。きっと友も気に入るだろうウ。
そしてこの幼子の寂寥が少しでも癒されることを願っテ。
「ありがとう、優しき姫ヨ」
そうして我は森に帰っタ。
*
どうやら友と幼子たちが森に入ってきたようダ。
今日は皆が騒がしイ、どうやら幼子と老人以外の者がいるらしイ。おかしイ、ここ最近あの老人と幼子以外に森を抜けたものはいなイ。
まあ友がいるから大丈夫だろウ。
それにしても皆がさわがしイ。
……うム、一応見に行くとしよウ。
久しぶりに友の顔もみたイ。
彼らが近づくにつれてだんだん懐かしいにおいがしタ。
忘れもしない、この懐かしい匂イ。
自分でも徐々に駆け足になっているのがわかル。
胸が高鳴ル。
そして、見つけタ、やっと出会えタ。ロアンの願いガ、思いガ、託された少年ダ。
彼女の願いが叶うことをずっと待っていタ。それもきっともうすぐなのかもしれなイ。
思わず少年を抱きしめタ。
まるでロアンにまた会えたかのようだっタ。
あの時の幼子は少しばかり大きくなっていたが、相変わらず優しき心ダ。心優しい彼女にふさわしい眼を持っていル。
これも運命なのダ。
きっと彼らが歩む道は辛く険しいものだろウ。
だから友ヨ、我に変わってどうか彼らの行く先を見守ってほしイ。
友とまた会える日までこの思い出の場所は我が守っておこウ。




