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第五話:二人の少女

 酒場から出ると空には星が煌めいていた。


「宿まで気を付けて戻れよ」

「はい! ありがとうございました!」


 ギルドの前へと出るとスカイさんは怠そうに片手を上げてその場を立ち去る。

 

「それじゃあ僕達も戻ろうか?」

「その前に、ちょっと散歩でもしませんか──」


 辺りはもう暗く街並みを楽しむ事などはできないがフリアラの散歩について行く。

 理由は簡単。フリアラの言う事に背くとなんだか殺られそうな気がしてならないからだ。

 今にもスキップし始めそうなくらいご機嫌な彼女の後ろをトボトボと付いて歩く。


「ディズさん。今朝は本当にすみませんでした。改めて謝らせてください」

「そ、その事なら本当に大丈夫だから」

「まさか生死を彷徨うほど酷いダメージを受けるとは思っていなかったので」


 え? 僕ってそんなに危なかったの?


「スカイさんが電撃石の扱いに慣れていたので何とかなりましたけど、うわごとで母さん、母さんと言い始めた時はもうダメかと思いました」


 何やってんだ僕は!

 うわごとで母さんを呼ぶとか恥ずかしすぎる!


「──ディズさん。こんな私ですが、これからも旅に連れて行って下さいますか?」


 フリアラは何を言っているんだろう。そんなの迷う必要ないのに。


「当然さ。これからもよろしくね。僕ももっとやる気出して頑張るよ」

「そうですね。期待していま──」


『お願いです! 助けて下さい!』


 フリアラの言葉を遮るかのように何処からか女の子の声が聞こえてきた。


「フリアラ、今の聞こえた?」

「ええ。街の正門の方からでしたね。行きましょう!」


 正門に着くとそこには衛兵に対して涙を浮かべながら頭を下げている二人の少女の姿が。


「お願いです! 助けて下さい!」

「お願いします〜!」

「だから何度も言ってるだろう! 俺は警戒任務で忙しいんだ。ちっぽけな村の事なんて知らねぇよ!」

「どうされたんですか?」


 フリアラが衛兵に詰め寄る。


「冒険者か。丁度よかった、悪いが俺の代わりにこの二人の話を聞いてやってくれ──」


 衛兵の『冒険者』という単語に反応した二人は僕達の方へと駆け寄ってくる。


「村が大変なんです〜!」

「村が? 一体どうしたのですか?」

「村がモンスターに襲われて大変なの! でもイル達の村には戦える人が誰もいないから、すぐ近くにあるプレーヴォに助けを呼びに行けって──」


 それは一大事だ。


「なるほど、事情は分かりました。ディズさん、私達が村に──」

「あいたたた……急に腹痛が……」


 モンスターの数も分からないのに、無策で二人突っ込んだら命を落とすかもしれない。

 可哀想だけどここは耳を犠牲にしてでも逃れたいほどの痛覚が……!


「ふ、フリアラ! ごめんって! お願いだから耳を引っ張らないで……!」

「早く助けに行きますよ! あと衛兵さん、加勢はお願いできませんか?」

「すまないが今夜詰所に居るのは中で仕事をされている兵士長殿だけでな。念のため確認はしてみるが、恐らく手は空いていないだろう。近隣の村が襲われている以上、万が一に備えてこの場所から長時間離れるわけにはいかないからな」

「分かりました。では行きましょう! 二人は村まで案内したいただいてもよろしいですか?」

「「はい!」」




「私の名前はイル。こっちは妹のスル」

「よろしくお願いします〜」


 イルちゃんとスルちゃんはプレーヴォの近くにある村、タシャ村に住んでいるらしい。


「それより、なぜモンスターが村の中に入って来たのですか?」


 本来モンスターが村や街の中に入ってくる事などありえない。

 なぜなら守護天使の像を設置する事により、加護を受けた場所は結界が張られるから。

 どんなにちっぽけな村でも犯罪が横行している街であっても像は必ずあるというのは常識だ。


「それが、守護天使の像が何者かによって壊されていたの」

「守護天使の──像が……?」


 そんな罰当たりな事をする輩がいるのか。

 ヘクナさんにそこそこ罰当たりな発言をしている僕が言えた事じゃないけど。


「モンスターが村に入って来た時に初めて気付きました〜」


 ──さっきから気になるんだけど妹のスルちゃんは緊急事態だというのに随分とのんびりしてるな……


「あ──あれは……!」


 前方を見るとぼんやりと赤い──

 赤いと言うより橙の光が見え、空には暗くても分かる程真っ黒な煙がモクモクと立ち昇っている。


「村が……!」


 それは村中の家が燃えている光景だった。


「おばあちゃん! ウェル! ノル!」


 その光景を目の当たりにし一段と走るスピードを上げるイルちゃんとスルちゃん。

 その後ろを僕達も必死でついて行く──


〜本日のトピック〜


ステータス編


冒険者にはステータスというものが存在している

RPGなどでは自身の能力がHPやMP

ATKなどといったもので数値化されるが

この世界では己の身体能力が全てであり

数値化される事はない


腕力によって扱える武器が違えば

魔力によって扱える魔法も違う

モンスターからの攻撃を喰らえば死ぬ事もある

自身の素早さが早ければ敵より早く攻撃できたり

魔法やスキルを繰り出す速さが変わるわけでもない


だが天使から受ける加護により冒険者各々の長所が

より一層強力になったり短所が補われている


冒険者になった際に貰えるカードには自身のステータスが記載され主に身分証明書として使用される

そこに表記されるのは

名前・年齢・性別といったものから

所属しているフレール・加護を受けている天使

クラス・使用できる魔法やスキルなど様々である


余談だが冒険者の登録をする者の中にはRPGのような数値は無いのかと喚き散らす者もいるらしい

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最後までお読みいただきありがとうございました。

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