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会場の熱気

「さあさあ始まりました、乙女の闘志が熱くぶつかり合う交流戦っ!!今年の対戦相手は毎年多くの優秀な騎士を輩出していることでも有名な、あのブレンノヴァイス学院です!会場には激戦となること必至の闘いを一目見ようと、例年の倍以上の観客が詰め寄せています!司会はわたくし、フラン・バーレンが勤めます。あ、どもどもーお久しぶりですー。あ、応援どもでーす。それでは両校とも準備が整ったようですので早速……代表者、入場ですっっ!!!」

 



 司会による入場の合図とともに出ると、観客からの会場の空気を揺らすほどの歓声が私の心臓の高鳴りをさらに刺激した。


 こんなに大勢の注目に晒されるのは国のパレード以来だ。


 それもあって人前に立つのは慣れっこだと落ち着いて気構えていたけど、その落ち着きも数年経った今では緊張に変わっていたようだ。



 一方的に向けられる視線や声に体中がこわばってしまう。


 落ち着こうと思えば思うほど会場の熱気に圧倒されて焦りと緊張が高まる。


 呼吸が荒くなってきた……。


 どうしよう、これからだというのに頭が真っ白になって集中できない。


 このままだと戦うどころか剣さえ扱えるか……!



 

「っ……!?」 


「ちょっと緊張しちゃったかな?」




 ケイは震えていた私の手を握り、そのまま深呼吸するように指示した。


 深呼吸をしている間も手を繋いだまま、吸って……吐いて……と手伝ってくれたお陰で呼吸も普段通りまでに戻せた。




「ユリアは一人だけじゃない、私たちもいるよ。緊張するのはそれだけ大勢の人の期待に応えようとするユリアの優しさがあるから。私はそんな優しいユリアが好きだよ」




 緊張で観客の声は聞こえなかったけど、ケイの声だけははっきりと聞こえた。


 こんな時でもケイは変わらずいつもの優しいケイだ。

 改めてケイがいつも傍にいてくれて本当によかったと実感する。




 相手の選手も全員登場し、ケイに視線を下げていたのを前方に移す。


 そこには当然だけど今朝出会った子がいた。


 向こうも私に気づいたようでこっちに手を振っている。随分と余裕そうだ。


 今朝は油断していたようだし、もしかしたら舐められている…?もし戦うことになったら、全力でいってやるんだから!




「…………そっか、君もいたんだ……」




 ケイは相手の選手席に目を向けると、何か呟いて口元をニヤつかせていた。

 戦うのが楽しみとでも言いたげだ。


 ケイは温厚な性格だけど、たまに前姿勢な一面を出す時がある。

 こういう普段見られないケイも、私は気に入ってたりする。




「両校選手が出揃ったところでルール説明を行います。

①選手は軽装箇所以外を攻撃してはいけません。

②剣以外の武器の使用は禁止です。

③勝敗は審判が続行困難と判断した時点で決まります。

④試合は一対一で行われ、それ以外の介入の一切は認めません。

⑤これらを一つでも違反した場合は即失格となります。

以上を絶対遵守のうえ、両校選手は存分に実力を発揮してください!ではでは、第一戦の~……開始ですっっ!!!!」

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