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何事もほどほどに

 私はいまケイにマッサージを受けている。鍛錬で自分の限界に挑戦してみようと、軽い気持ちでケイと同じ内容の鍛練をしてしまったのが、体に過度の負担を与えてしまったようだ。


 脚は筋肉の部分全体が緊張状態になっているとかで、普通に歩くだけでも違和感と多少の痛みがついてくる。


 おまけに、腕の筋肉まで筋肉痛を起こしてしまい、ペンを握ることも一人で食事をするのもままならない体となってしまった。



 このことがケイにばれてしまった時は珍しく怒られてしまった。保健室の先生にも、元々私の体が弱いことが城から伝えらえていたようで、注意を受けてしまった。


 これまでレイラさんの訓練も耐えた自分の体を過信したのは私の落ち度だけど、ケイにあそこまで言われるとは思ってもみなかった。


 そのせいで私はケイとの間に気まずい空気を感じている。


 ケイも話しかけてくれないし、そんなにいけなかったかしら…………



「ケイ………勝手にケイと同じ鍛錬をしてごめんなさい。私、早くケイに追いつきたくて………」



 ケイは手を止め、私の肩を掴んで目線を合わせた。



「いいかい、ユリア。私はユリアを愛しているっていつも言ってるよね。あれは好意的な意味だけじゃなくて、ユリアが何よりも大事な存在ってことも含めて言っているんだよ?私はユリアに支障が出るようなことはしたくないし、させたくない。ユリアが私に追いつこうと頑張るのは嬉しいし全力で応援したい。でも、もう二度と、無茶な真似だけはしないでほしいっ………!」



 こんなに真っ直ぐに、私の事を思っているとわかった上で怒られたのはケイが初めてかもしれない……。


 それなのに私は、勝手なことをしてケイを困らせてしまった。せっかく私の気持ちを伝えたばっかりなのに、自分で台無しにしてしまってるじゃない……。


 私は本当にどうしようもない人間だわ……。



「今回の一件に関して、ユリアには私からひとつ罰を与えたいと思います」




 そうよね………罰くらい…………




 ん?罰?




「今度の夏休みに私と旅行に行って、そこでデートをすること。ユリアには拒否権はないから…………ふふっ」


「ケイっ…………!だいすきっっ!!!!」





 バァンッッッ!!!!





「ジャマするぞぉーーーーー!!!!」

「ユリアちゃん!あそびにきたーよぉ……………」





 あ……………




 イヴちゃんとリルが部屋に入ってきた時、私はケイをベッドに押し倒しているような体勢になっていた。


 私はすぐに状況説明をしようとした。


 しかし、二人は一瞬固まってゆっくり下がるとドアを閉め、廊下を走っていく音だけが聞こえた。




「行って……………」

「え?」



「早く2人を捕まえてぇええーーーーーー!!!!!」





      ☆





「いや~まさか本当にジャマしてしまうとは思わなかったんだ。すまん!」

「二人はその…………もう、キス…………とかしちゃったんだよねっ……」

「キスなんてあたりまえだろ!それどころか毎晩ベッドで―――――」



 私はイヴちゃんの口を塞いだ。

 これ以上の虚言を増やさないため。

 そして、キスというワードを言うのにも頬を染めてしまう純粋なリルの心を守るため…………




「イヴちゃん。それ以上は…………わかるわよね………?」

「ひぃっ………!」



 イヴちゃんに微笑みかけると、顔が一気に青ざめた。



「ん?ケイちゃん、ユリアちゃんどうしたの?」

「リルさんはまだ知らなくてもいいことですよ…………」

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