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私なりの考え

 私は必死に自分を抑えた。

 いつものように冷静を欠いて、ケイを困らせない様に…………



 ケイが1年間、学園からいなくなると聞いた時は頭が真っ白になった。

 頭の中を整理しようと待つように言っても話し続けるケイに、最初は思わず大声を出してしまった。

 その瞬間のケイの表情は酷く辛そうだった。


 その後私は平静な態度を振舞っていたけど、実際は気が動転していた。

 だって私はここに来てからケイとほぼずっと一緒で、離れても1週間もないくらいだった。


 それが今度は1年間いない。次に私たちが再会できるのは三年生になってからだ。

 その間、私はどうなってしまうのか。通常通り学園生活を送れるのかという不安もあった。


 けど、何よりも、これまで私がケイに言いにくい状況を無意識に作っていたのが気がかりで悔しかった。



 その日以降の私たちの間には妙な気まずい壁ができた。

 ケイがここを離れる前に一通り鍛錬を教えてくれたけど、近づいたり触れたりすると一瞬の間が生まれ、互いに距離を置く。


 休み時間は別々に行動し、放課後は時間をずらして鍛錬の場所にしている林の奥に向かう。

 寮の部屋では会話はするけど、ぎこちない話し方でその度にまた変な空気に包まれる。


 私たちが一緒に過ごしてきて、こんなに居心地が悪く感じたのは初めてかもしれない……。

 喧嘩をしたわけでも、一方的に憤慨しているわけでもないのに、ケイとの距離が日に日に遠く感じていく。


 私たちはこの状態のまま離れてしまうのだろうか…………




「……………それで私に相談しに来たのね」



 私は状況を改善する方法が思いつかず、思い切ってクロエさんに相談を持ち掛けてみた。



「私、夏休みが終わった辺りから何か違和感のようなものは感じていたんです。でもその時はまだはっきりわからなくて、妙にやる気が溢れてるくらいにしか見えてなかったんです……。でも実際は、思い詰めてたせいで発散のために助っ人や勉強に打ち込んでて。私、そんな状況にまで追い込ませた自分が情けなくて…………」


「はぁ……あなたたちって結構不器用なのね。そんなの簡単じゃない、一度距離を置けばいいのよ。無理に改善しようとするから上手く噛み合わないのよ。お互いに離れたところで熟考するの。そして自分だけじゃ詰まった時に、人の手を借りなさい。幸い、あなたはお友だちが多いじゃない」



 いつも相談相手がケイだったから勝手に視野を狭めていたけど、友だちならそういうこともできるんだ……。

 だったら…………!



「クロエさん!しばらくクロエさんたちのお部屋にお邪魔してもいいですか!!」

「は、はぁ!?どうしてそうなるの!!」

「やっぱりだめ、ですよね…………」



「……………………少しの間だけだから」

「ほんとですか!!ありがとうございます!!」

「ちょっと近っ……!分かったから、手を振るのやめなさいっ!」

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