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やるべきこと

「今回は以上です。次回は半月の日に……」



 その一言を最後に壁の向こうの気配はなくなった。

 

 深夜の人気がない場所で、こうして時々城の人間と連絡を共有している。

 日中にユリアも同席させて行うこともできないことはない。


 それでも国絡みの情報となるとどうしても機密としての扱いになり、結果的にこういう無難な方法になってしまう。


 最初の頃のユリアは、私の睡眠時間が削れるのを案じてこのやり方に反対してたっけ。

 あの頃から私に好意的になり始めたんだった。



 最近のユリアは昔ほどの恥じらいはなくなり、照れながらキスに応じてくれるようになった。


 それはそれでいいことだけど、ユリアの恥じらう姿を見る機会が少なくなるのは少し寂しい気持もある。


 ユリアが恥ずかしさであたふたするような新しい絡み方でも考えてみよう。



 まあとにかく、ユリアのことはまた改めて考えるとして…………。


 今はこれだ……。



 渡された紙に書かれていたのは、学園の外の情報。


 

 まず、ここリーリオン学園に対して厳重な警戒がなされているということ。


 現在のリーリオン学園には、ユリアも含めて四人の王女たちがいる。

 これは過去からの歴史において類のない現状だ。


 ここにいれば王女たちを一手に守りやすい。

 しかし、逆を言えばここが狙われる危険性も高いということ。


 そうなると必然的に私が前に出る必要がある。

 念頭に入れてかなければならない。


 

 次に、王都にいた有力貴族の娘が失踪した事件。

 

 なんでも、次期当主になる予定だったこともあって、貴族の間では混乱状態らしい。

 まあこれは覚えておくくらいで大丈夫そうだ。


 

 最後、サンカレッド連邦国の現女王様が旅行に行くことになり、急遽カトレアさんが女王の権限を代理で受け持つことになった、と……。


 よってカトレアさんはしばらくの間は国に戻るということになる。

 ということは、イヴや中等部のミリーって子もか……。


 というか現女王様は突然立場を放棄してまで旅行に行くなんて、どれだけ自由奔放なんだ……。


 でもカトレアさんも似たようなところがあるし、そこは親子の似た何かがあるのだろう。


 

 

 ここまで言い渡されても私のやるべきことは変わらない。

 

 ユリアを護ること―――――。


 これさえ間違わなければ、関係する全ての物事を守ることに繋がるから…………。



          

          ☆

          



 あんまり寝付けずに、目が覚めてしまった……。


 登校までまだまだ時間が余っているし、何をしようか……。


 勉強には特に困っていないし、鍛錬も朝はゆっくり休めとユリアに言付けされてしまったし……。


 


 …………あとは、あれしかない。



         ・

         ・

         ・



 お、そろそろかな……。



「………………んっ…………はぁ~…………ん~?」



「…………ユリア、おはよう…………」



「ん~~…………んんっっっ!?!? ケイ!!!どうして!!!!!」



 ユリアははだけた胸元を隠し、私から距離を置いた。


 そうそう。この反応がたまらなくかわいい。

 

 

「ユリアの寝顔、天使のようにかわいいね」


「うるさいうるさい!!!ケイのばかーーーーーー!!!!」


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