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想いを知る

「ふんふふ~ん♪……およ?あの子は……」


        ・

        ・

        ・

        


「はぁ……お姉ちゃん…………んんっ!?!?」


「ん~ちっさくてかわいい~♡」


「リ、リル王女っ!?」



 ベンチに座っていたところを後ろから抱き着くと、エミルちゃんは身をよじらせて立ち上がった。

 うんうん、いい反応をする。いたずら心がくすぐられる私好みの反応だね!


 でも、外見に見合わず育つところはちゃんと育ってるんだね……。



「おいおい、ここ(学園)では王女とか無しだぜ~?エミルちゃん♪」

「は、はあ……」

「どーしたの?元気ないようだけど」


 エミルちゃんは俯いて、またさっきまでの表情に戻った。


「聞いていただけるんですか……?」

「うんっ。エミルちゃんが悲しい顔してるのに放っておけないよ!」

「ありがとうございます………実は……」


       ・

       ・

       ・


「私、諦められないんです。本当に大好きな人だから……ただの姉妹という関係だけでは嫌なんです……もっと特別な関係になりたいんです……」



 エミルちゃん、拳を強く握ってる。顔を見ても悲しそう……。


 わかるよ……私だって姉ちゃんのことが好きで、大好きで、今まで何回も何回も好きってこと伝えてきたんだもん。

 

 でも、エミルちゃんは凄いよ……。ケイちゃんのことを考えると胸が苦しくなるくらい大好きなのに、()()()()()を考えられるんだもん。


 こういうところは、やっぱり姉妹のケイちゃんに似ているのかな……。


 

「ねえ、エミルちゃん。私もそれ協力してもいいかな?」

「そんなっ、リル王……リル先輩のお手を煩わせるなんて出来るはずがありません!」

「お願いエミルちゃん!私も姉妹を好きになった一人として、エミルちゃんを応援したいんだよ!だめ……かな?」


 エミルちゃんはしばらく困った顔をして、ため息をついた。


「…………わかりました。先輩に、それも学園内とはいえ、王女様にここまで頼まれて追い返すようでは、罰があたるというものです」


 その割にはいつもユリアちゃんといる時は威嚇する猫みたいに逆立ってるよね……。


「ユリアちゃんはいいんだ……」

「あの人は別です!!!」



 ユリアちゃんがかわいそうだよぉ~!

 でもエミルちゃんは、言い方を変えると大好きなケイちゃんをユリアちゃんに取られてる立場にあるんだよね。

 私も姉ちゃんが結婚するって聞いた時、ショックが大きすぎてどうしようかと思ったもん。

 

 ごめんユリアちゃん、ここは目をつぶって……!


  

「リル先輩……?」

「……?あわわっ、何でもない、何でもないよ~……あははぁ……」


 心の中でユリアちゃんに謝ってたら体が動いちゃってた。いつも考えてることが表に出ちゃうよ~……

 

 はっ、エミルちゃんが心配そうな目を向けている……!ここは年上の先輩として、しっかりしないとだよね!

 私は両手をぎゅっと握って気合を入れた。


「エミルちゃんは今度デートする約束してるんだよね?」

「はい。そこで、私の今までの全てをぶつけるつもりです……」



「一応聞くけど、覚悟、決めてるんだね……」



 奥で揺らめく瞳を向けながら、エミルちゃんは小さく頷いた。

 

 こんなに健気で一途な妹に惚れられて、ケイちゃんは幸せ者だね……。


 だからこそ、ケイちゃんに確かめないと……




     ☆

 



「やっほー、ユリアちゃん。いきなりでごめんだけど、ケイちゃん少し借りてくねー!」



 呆気にとられたユリアちゃんを残して、私はケイちゃんの手を引っ張って建物の人気のないところへ連れてきた。



「リルさん、突然どうしたんですか?」

「ねえ、ケイちゃん。エミルちゃんがケイちゃんのこと好きっていつも言ってるけど、ケイちゃんはエミルちゃんのことどう思ってるの??」

「エミルですか……?唯一の姉妹として愛していますよ……」


 

 ケイちゃんは笑顔で言った。


 そっか……。



「わかった!ユリアちゃんとの時間邪魔してごめんね!じゃねー!」

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