ハードショッピング お宝探し
「れ、冷静になって、先ずスマホで、連絡取ろう」
鞄からスマホを取り出して紗奈に電話をかける。すると自分の鞄から着信がなった。
「「………………。」」
何も言わず電話を切った。
「まあ、後ろに戻れば居るでしょ」
今の沈黙で逆に冷静になった琴音が来た道を引き返す。誠も黙ってそれに続く。さっきの失態を無かったことにして。
当然の様に居ない紗奈。
すぐに切り替える。2人の利点だ。
「行きそうな場所は……ベンチ?」
「服屋はないとして、ゲーセンもないな、人いるし、本屋か?」
酷い言い様だった。しかし、悲しいかな事実なのも否定できない。どちらにしろ、紗奈という人間が迷った時にしそうな事を考えなければならない。万が一怪我や変な虫が近づいたりしたらと思うと、ゾッとする。連れ出した手前そういったことは絶対にあってはいけない。これは2人の共通認識だった。
「手分けしよう。私は三階から下に降りて探すから」
「私はこのまま一階からあがりながら探す?」
琴音は、分かってると言わんばかりに誠を見返す。
「ああ、流石だ。じゃ、よろしく!」
誠はエスカレーターを走りながら速攻で三階を目指す。髪のセットとか、服の乱れなんて、少しくらいどうって事ない。それくらいには実は焦っていた。自分が、しっかりと携帯を持たせておけば、もっと早く解決出来ていたことだ。
少し舞い上がっていた。紗奈と一緒、それもお買い物で楽しくなって注意散漫だった。
誠は琴音といた時は隠していたが、かなり、焦っていたし、責任も感じていた。決して琴音を責めることはしない正義感の強い誠は、人に聞き、店を走りながら見て周り、探した。
三階には本屋がある。1番行きそうな場所だと、アタリを付けたらから自分が三階を買ってでた。それも、外した。
紗奈とはぐれてから30分は経ってる。嫌な過去を思い出す。その日に引きずられないように前に前に足を進める。
「はあ、はあ、クッソォ……何処にいるんだ?」
本当は泣きそうな心を叱咤して、二階に降りる。
視界に一瞬だけ、何か気になるものがあった。もう一度首をぐるりと回してエスカレーターから見渡した。
紗奈が居た。知らない男ふたりに詰め寄られて困り顔だった。誠は安堵と同時に怒りも湧き上がっていた。
この怒りが誰に向けた何に対するものかは分からないけどそんな事は些細なこと。今はまず、あの虫けらを駆除しなきゃね。




