可愛い
件名:外出について。
労力を伴うこと以外の外的要因が多数存在する。
昨今の夏事象は朝から暑い。とうとう地球はバグったらしい。
地球専門のエンジニアがいたら早く解決して欲しい。
クーラーが朝から必要なくらいに暑い。昨日の外出は……まあ、あの二人とだし楽しかったのは認めよう。
しかし、2日連続ともなると私的に体力と精神へのダメージが大きい。
結論、何とかして2人を留める。
誰か早急にこの問題を解決できる案プリーズ。
PS.友人の行動を制御したいが、制御したい人しか友人は居ない。
「紗奈?どうしたのボーっとして」
琴子が私の前にフレンチトーストを置いて物凄い近い距離で顔を覗いていた。
もはやキ、キ、キキ、キスが出来るくらい近かった。
「どわぁ!な、何でもない!」
びっくりして仰け反った拍子に椅子から転がり落ちてしまった。めっちゃ腰痛い。
なんで可愛い同性の女の子にドギマギしなきゃならんのさ!めっちゃ顔綺麗なの!
「おいおい、大丈夫か?」
誠がやれやれといったふうに席を経ち私に手を差し伸べてくれた。
ありがたく手を取って立ち上がる。私より少し大きい手は逞しく見えても柔らかくて、やっぱり女の子なんだよなーと思う。
「う、うん。大丈夫、大丈夫」
「本当か?結婚に迷ってるのか?」
「????」
ガタッ
誠の言葉に咄嗟に反応出来ずにいると台所から何か落とす音が聞こえた。
そっちに首を向けるとわなわな震える琴子が居た。もうめんどくさい雰囲気がてでる。
この茶番付き合わないといけないかなー。
多分、琴子の次の言葉は、
「私の紗奈を奪おうなんてなんてはしたない!この、泥棒猫!」
おおー、思ったことそのまま言ってくれた。
迫真さも相まってドラマの現場にいるみたいだ。
取り敢えず拍手しとこ。
パチパチパチと乾いた音だけがリビングを支配して誠も琴子も何事も無かったかのように席に着いた。
「……いただきます」
「「いただきます!!」」
何となく沈黙が嫌で合掌すれば、2人とも後に続いて合掌した。
琴子はキラキラした目で私を見てくる。
えーと、何なに。『どう?美味しい?褒めて!褒めて!』そう瞳に書いてある。
パクリと1口大に切れてるフレンチトーストを口に運べば甘さが口いっぱいに広がって幸せな気持ちになれた。
「ん〜、美味しい!」
素直な感想を述べれば琴子はこの上ないガッツポーズを決めていた。可愛い系の女の子には物凄く似合ってない。
「ホントだ、美味しい」
誠も同じことを思ったようで王子様スマイルを見していた。
あーあ、この顔学校でしたらファンクラブの子達が速攻で集まりそうだ。
なんなんだよファンクラブって。意味分からん。
学校の子を担ぎ上げるのは安上がりだからか?
分からん。
分からんから私はこの二人しか友達居ないんだろーな。
ま、フレンチトーストみたいな甘い時間は友達特権で少しだけ優越感あるけどね。
……今のなし。なんだよフレンチトーストみたいな甘い時間って。
まあ、あながち間違ってないけどね。
「美味しいね、誠」
「ああ、大したもんだよ」
「へっへーん!もっと褒めていいのよ」
「よっ、日本一!」
「可愛いー」
「いい嫁になりそうだな!」
「えー、可愛い!」
「家政婦にむいてる!」
「うん、可愛い!」
「うんうん、って紗奈はさっきから可愛いしか言ってないんだけど!?」




