家
気付けば時間も結構経って、日が傾き始めていた。そろそろ解散しないといけない。あれだけ暑かったのに夕方になれば涼し……くないな。クソ暑いわ。
多分明日も明後日も来そうだけどやっぱりサヨナラする時は寂しいな。
両手を握られてショッピングモールの出口へ行く。
私は1人が怖い。でもそれ以上に人が怖かったりする。何考えてるか分からないし、どう思われてるのかも分かんないからね。
でもね、例外があって、この繋いだ手が私をとても安心させてくれる。
一緒にバスに乗って、疲れた表情を見せない2人に見送られ家の前まで着くと2人は我先にと家に入り込んだ。そして自分の家の前で置いてけぼりを食らった。
「あれ?」
振り返ってバイバイしようと思ったら横を通り過ぎられて私の家に私より早く入ったぞ。忘れ物かな?
ママは帰ってきてたみたい。
台所でご飯の準備をしていたのかエプロン姿で玄関まで迎えに来ていた。
「ママさん!任務完了です!」
琴子がビシッと敬礼をふざけてすれば、ママも上官役よろしく、うむと頷いている。距離感が友達なんだよな。
「見てください!紗奈の可愛さをより引き立ててくれる服です!」
呆れてママを見てると真横から血迷った言葉が聞こえてくる。
「ちょ、チョット!?な、なな何言ってんの!?」
知らないらしいけど美人が人を褒めるとそれは1周回って皮肉だからね?
それに、何回も可愛いとか言うな!こんな引きこもりヒキニート手前の女が可愛いもんか!
「あら、良かったわね。どれも可愛らしいわ、2人ともありがとうね」
褒めて、褒めてと言わんばかりに琴子。
琴子程じゃないけど誠もキラキラした視線を私のママに送っている。
どういう状況だよ、これ。
ママが2人の頭を撫でている。嬉しそうな2人。
今気づいたけど黒幕ママだよね。
合鍵なんて渡して多分スマホで連絡入れて2人を家に入れるようにしたの。いや、まあ、そりゃ今日は楽しかったですよ。でも、でも。なんだかなあって気持ちです。
「あ、そうだ。これつまらないものですが」
誠がそう言って鞄から菓子折りをママに渡す。
「量が増えて申し訳ないですけど、私も」
誠に続いて琴子も同じようにママに渡す。
「代わりって訳じゃないんですけどお泊まりしても…」
「是非、是非!この子ったら部屋から全く出てこないのよ。みんなと一緒ならそこまで自堕落にならないだろうし紗奈をよろしくね」
「はい、こちらこそ末永くよろしくお願いします」
その返事だと結婚の了承に聞こえるね。
「荷物は?」
私が泊まるにしてはあまりにも軽装だなと思っているとインターホンがなる。
私が1番近くだったから出てみると誠パパがいた。それも大荷物で。
誠パパは自衛官で体格がものすごくいい。どことなく誠に似てたりする。要するに美形だ。
「やあ、紗奈ちゃん。しばらくぶりだね。誠は居るかな?」
「お、父さん。ありがとう」
「ほら、琴子ちゃんの荷物もあるから。誠、ご迷惑はかけるんじゃないぞ」
「もう、分かってるって」
「誠パパ、ありがとうございます!」
「いいんだよ、いつも誠と良くしてくれてありがとうね」
なんだろう、私抜きで盛り上がるのやめてもらっていいですか?




