短編 お化け屋敷デート
新小説『お化け屋敷をリフォーム』を投稿したので、その題材に沿った短編を書いてみました。時系列は85話よりちょっとだけ後です。
小桜さんとお化け屋敷デートをすることになった。
因みにこれは嫌がらせではなく、普通におすすめなデートプランだ。お化けの恐怖・ドキドキが吊り橋効果を誘い、過剰なスキンシップも許される。異性の仲を深めるにはうってつけな場所なのである。
そして小桜さんはホラー好き、本人も興味津々という反応でOKしてくれた。
くれたんだけど……
ガクガク ブルブル(怯えている)
青ざめた顔で身を震わせなら、俺の背中にコアラの子供の如く全力で抱き着いている。
いや、これはこれで勿論アリだけど、予想と違うというか、そもそも今はお化け屋敷の前、つまり行列に並んでいる最中で、このまま中に入って大丈夫かな?
「小桜さん、怖いなら止めます?」
フルフル(首を横に振る)
「いや、でも」
フルフル(首を横に振る)
俺の背中でグリグリと顔を横に振り続ける小桜さん(涙目)なのだが、小桜さんって結構意地っ張りだからなぁ。けどココで無理矢理中止するのも違うというか、それにホラーは怖いもの見たさという表現もある訳で、小桜さんはそこに分類されている可能性がある。
「分かりました。でも無理は駄目ですよ」
コクコク(首を縦に振る)
まぁ、本人が否定しない以上、突き進むしかないか。
因みにお化け屋敷のカップル率は本当に高く、行列の半分がカップル。そこら中でイチャイチャしっぱなしで、彼氏の腕を掴んだり、もう抱き着いていたりと、羨ましい限りな光景が全方位に展開されている。
むにっ(背中に柔らかい感触)
まぁ、その中で密着度だけなら、俺と小桜さんはトップクラスですけどね。
『きゃ~、私こ~わ~い~』
『ははっ、安心しろ。俺が必ず守ってやる』
けど前の列で並んでいるカップルのスタンダードなイチャイチャ?の方が良かったというか、度を超えたスキンシップは嫌われるって聞くし、反応に困るなぁ。そうして行列が進み、遂に順番が来て前に進もうとしたら、
「ぐえっ! 小桜さん痛い痛い痛い!!」
抱き着きがパワーアップ、折角左足が治ったのに今度は胴体が折れちゃいそうで、しかも動き難い。真後ろの抱き着きだから歩幅を合わせるのも困難で、二人三脚以上の難易度。この状態でお化けが出て来たら、絶対に逃げられない。
だが、それでもココは強がらなきゃいけない場面だ。
だって俺は男で、小桜さんともっと仲良くなりたいから。
「小桜さんは俺が守ります。だから行きましょう」(にこっ)
コクコク(首を縦に振る)
怯えているせいで俺の顔を一切見ずの頷きだったのが残念だけど、もう格好悪いところは見せられない。しっかり小桜さんを守らないと。
そうして俺と小桜さんが、お化け屋敷に足を踏み入れる。
このお化け屋敷の怖さと、リニューアルに至る数々の経緯を知らないままで。
この続き(お化け屋敷の中)は気が向いたら書いてみます。新小説も読んでくれたら嬉しいです。




