エピローグ
あれから数ヶ月、入院でお世話になった森谷さんの招待状が届いて、俺と小桜さんは結婚式に出席した。生まれて初めての結婚式は全てが驚きの連続で、真っ白なドレスに身を包んだ森谷さんは本当に綺麗で、幸せそうだった。
「別人みたいに綺麗だったね、森谷さん」
コクコク(首を縦に振る)
「って、結婚したからもう森谷さんって呼べないのか」
名前が、呼び方が変わるってどういう事なのだろう。男でも変わるケースはあるけど、大体変わるのは女子の方だ。呼び方が変われば、一体何が変わるのだろう。
「ねぇ小桜さん、さっきの…」
ぷいっ (そっぽを向く)
「って、ごめんなさい。……その、美夜」
俺は小桜さんに、最近やっと告白をした。
その時に小桜さんは何も言わずに、俺の手を握ってくれたのだ。
お互いの指と指を絡め合う、恋人繋ぎで。
そういえば小桜…、美夜は恋人になった途端、やたらと名前呼びに拘っているけど、これも1つの変化か、或いは変わろうとしているのだろうか? 俺としては、小桜さんを小桜さんと呼べなくなるのはちょっと寂しいけど、諦めるしかないか。
この縁がどこまで続くかは分からないけど、ずっと続いてほしいし、続けていく為の努力は惜しまないつもりだ。無口で、おっちょこちょいで、優しくて、義理堅い美夜が、どうしようもなく愛おしいから。
「美夜、これからもずっと一緒にいようね」
コクコク(首を縦に振る)




