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小桜さんは義理堅い  作者: 奈瀬 朋樹
第4章:仲直り編
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85話 進展

「はぁ、ぜってー貧乏クジだ」


あの発情彼氏モドキが生意気こいたせいでイライラが収まらず、バレー部で発散、後輩に殺人スパイク連打してたら校庭エンドレスランニング命令。ほんとついてねぇ。


負い目・シガラミってのは本当に面倒だ。

謝っても許されない、消せない過去はある。

それに小桜本人はともかく、父親は俺を快く思ってる訳ねーし、ほんと面倒臭ぇ。


「いっそ俺様が男だったら、全部面倒見るって手もあったのになぁ」


小桜とは高校で再会して友達に戻ったが、親友には戻れなかった。小桜は今でも俺様の事を親友だと思ってるかもしれねーが、俺には無理だったから。それに今はもう小桜の隣に居るのは俺じゃねーし、車にはねられた程度で骨折する軟弱野郎で、しかも悪い奴じゃねーからタチが悪い。


だったらもう、俺様はお役御免じゃねーか。


このまま適当に2人を祝福して、高校卒業したらクールに去る。ほんと貧乏クジだ。そんな愚痴を垂れ流しながらの下校を終えて自宅到着。自分の部屋に入るなり制服を脱ぎ捨ててパンイチになってから弟のTシャツだけを羽織ってから、


「おいーっす。ただいまじーちゃんばーちゃん。夕飯まで俺様が構ってや……」


居間に移動したら、4人で麻雀中の光景があった。

俺様の爺婆・後輩野郎と、小桜の4人が。


「やるな若造、麻雀得意か?」

「入院中に年配の方々と不真面目ナースに鍛えられたので」

「お嬢ちゃん、それは今出しちゃ駄目よ」

ワタワタ(ルール本を見ながら焦りまくり)


「あっ、檜山先輩お帰りなさい」

「おうまどか、今いい所だから、ちょっと待…」



「フンッ!!!!!」



突然の卓袱台返しに、牌が部屋中に散乱する。


「あーあー、折角じーちゃんが勝ってたのに」

「うるせー糞爺!! 何で呑気に麻雀してんだよ!!」

「お前の友達が尋ねてきたから、戻るまで相手してたんだぞ。いやー、お前の友達が尋ねてくるなんて何年ぶりか?」

「ああもう面倒臭ぇ!!」


そう言い放ってから、檜山先輩が俺の胸ぐらを掴んでから


「をい、これはどういう事だ?」

「えーっと、先輩と家で遊びたいなーって、でも先輩来なさそうだし、けどこっちから行くのはアリかなーって」

「ナシだ馬鹿野郎!! 左足へし折ってやろうか? あぁん?」

「てゆーか先輩、服装がラフ過ぎ…」


グキッ (首が強制的に曲げられる)


檜山先輩の胸元が目に入った瞬間、後ろから伸びてきた小桜さんの手によってのた打ち回ってる間に、2人が見つめ合う。


「…………………………来た」


「お、おう」


「…………………………だから、来て」


「お前の家にか?」


コクコク(首を縦に振る)


「いや、でも……」


じーーー(見つめる)


「うっ、いやでも……、お前の親父さん等が……」


無言の圧力に檜山先輩がタジタジで、この均衡状態に檜山先輩の叔父叔母が共に笑ってから、


「行けまどか、親友の頼みじゃろ?」

「この子でしょ、まどかが昔大暴れしたのって」


「ちょっ! バラしたのか!?」


「ああ、この子が心配でガリ勉・大暴れした後に後悔・散々愚痴を聞かされた事も全部な」


「ちょっ! なっ、はああああああああああああああ!?!?」


檜山先輩が素っ頓狂な叫びをあげてから、床に転がってる俺を叩き起きし、ドスの効いた声で凄んでくる。


「てめぇ、よくもバラしやがったな」

「いや、これは御二方が勝手に」

「うるせー!!! 言い残す言葉はねーか!!?」


拳を構えながらの言葉に、俺は授かった言葉を伝える。


「小桜お父さん、改めてお礼を言いたいって言ってましたよ」


檜山先輩は小桜家で暴れて、家庭を崩壊させたのを後悔しているけど、それで小桜さんは救われたのだ。だからもう1人の当事者の意見も確認したのだ。これで小桜父が檜山先輩を良く思っていなかったのなら諦めるしかなかったけど、本当に感謝していて、身を挺して娘を助けてくれて、重荷を背負わせてしまった事を謝りたいと言っていた。形式的な謝罪は過去に1度しているが、改めて感謝を述べたいから連れて来てほしいとまで言われてしまい、その結果がこの強行策である。


けど、流石にこれは急過ぎた。これじゃ無理矢理説き伏せるのと同じで、檜山先輩の気持ちを完全に無視してる。だから足の1・2本折られても仕方がな…


「ふん!」

「ぐえっ!!」


檜山先輩の拳が、俺の腹にめり込む。そして第二波が振り下ろされそうになった所で小桜さんが割って入った後、


こつん


軽く小桜さんの頭が叩かれた後、檜山先輩が立ち上がって、自分の部屋に戻ろうとしたが、その前に、1つ質問をしてきた。


「今度の日曜、空いてるか?」


コクコク(首を縦に振る)


「そっか……、じゃあ久々に、行ってやるよ」




それから俺と小桜さんは檜山家の方々に改めて謝罪とお礼を伝えて、家を後にした。

2人で、手を繋ぎながら。

すみません、展開が超急ピッチですが、これ以上長くするのは蛇足と判断しての事で、次が最終回です。

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