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小桜さんは義理堅い  作者: 奈瀬 朋樹
第4章:仲直り編
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79話 ロシアンルーレット

「「左足完治おめでとう」」


松葉杖なしで初登校の月曜昼休みに檜山先輩・織田から祝福されちゃいました。小桜さんは無言だったけど、表情が和らいでいるからOKだ。そして檜山先輩は落花生せんべい・織田がプチシュークリームをくれたので、お弁当と一緒に4人で食べている時に檜山先輩が尋ねてくる。


「もう走ったりできるのか?」

「できますけど全力疾走はまだ……、体育も暫くは流す感じで」

「ふーん、じゃあ日常生活に支障なしって感じか?」

「はい、松葉杖なしで進めるって最高です」


自分の足で気兼ねなく移動できる。そんな当たり前を2ヶ月も失っていた身としては、健康の大切さを強く実感している。


「ほっほーう、じゃあ小桜のサポートはもう不要か?」

「いや、今後も小桜さんとは一緒に登校・勉強できればと思っているのですが」


コクコク(首を縦に振る)


檜山先輩の茶化しに小桜さんが頷いてくれて一安心。そして何となく小桜さんと顔を見合わせていたら、織田がやれやれって感じの溜息を出してくる。


「小桜先輩、これかれも羽生を宜しくお願いしますね」

「おい、変な催促するな」

「羽生、こういうのは変に遠慮しない方がいいぞ。てゆーか、お前らもうお互いの家に行き来する仲だろ?」

「まぁ、確かにそうだけど」


傍から見れば意味深な関係に見えても、きっかけが交通事故・出会った場所が病院、つい先程まで左足骨折という特殊条件だからね。けどそれももう終わりで、改めて小桜さんとの距離感を図り直さないと。


「そっか、おまえ小桜の家に行ったのか」

「はい、檜山先輩はないんですか?」

「いや、あるけど……、暫く行ってない」

「あっ、もしかして俺に遠慮してました? だったらすみませんでした。じゃあ近い内に行ってみ」



「いや、いい」



予想外の返答に俺と織田が固まっていたら、檜山先輩が慌てて訂正する。


「いや! 別に小桜が嫌いって訳じゃ全然ねーから! こいつとは中学からの付き合いで世話になったし、俺ってヤンキーっぽいから小桜妹に警戒とかされるだろ! 会った事ねーけど!!」


確かにそうかもしれないけど、檜山先輩らしからぬ謙虚な姿勢だ。それに小桜さんが何の反応も示さないのが、余計に意味深感を醸し出している。


「まぁ、檜山先輩がそう言うのなら……、けど俺に遠慮しなくていいですからね」

「おうよ!」


そうしてこの空気を払拭するかの様に自分が持ってきた落花生せんべいをむさぼり、そして最後の1個になったプチシュークリームを檜山先輩が口に入れた途端、



「ぶほっ!!!!」



急に檜山先輩が吐き出し、小桜さんが慌ててハンカチを差し出す。


「うげっ、何だコレ! 超辛ぇ!」


原因はプチシュークリームらしく、それを持ってきた織田を見てみると、


「いや、遊び心でロシアンシューにしたんだが、そんなに辛いの? 前に友達とやった時はそこまで派手なリアクションは…いだだだだだだだだだだだ!!!!!!」


「すぐに死ぬか、苦しんで死ぬか、好きな方を選べ」


絞め技を決めながらの2択に、織田が喘いでいる。自業自得だな。


「てゆーかハズレは2つだった筈! 俺は食べてないし、檜山先輩はそれが初ですよね!?」

「なっ!?」


この言葉に檜山先輩が絶句、そして俺もハズレは引いてない訳で、じゃあ…


「小桜さん、もしかして我慢してました?」


…………(無反応)


「ふんっ!」

「あいったーーーー!!!」


苦しんで死ぬが選択され、織田がのた打ち回る中、檜山先輩が声をかける。


「小桜、大丈夫か?」


…………(無反応)


「………そっか」


小桜さんは無言だったけど、檜山先輩は納得。

この話は強制終了となりました。

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