表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小桜さんは義理堅い  作者: 奈瀬 朋樹
第4章:仲直り編
83/94

77話 それがいいの?

小桜家御一行とスポーツショップに到着した。


やっと左足骨折が完治して足の包帯をパージ、松葉杖も返却、自分の足だけで歩ける喜びを噛み締めた後、美羽ちゃんと約束した運動をすべく日曜日である今日の朝に近所の公園で体を動かしに行ったのだが……。


ちょっと走っただけで息が切れ切れ、両足太ももが鉛の様に重くなっていき、だけど美羽ちゃんの前で格好悪い姿は見せられないと無理したら、左足がつって歩行不可という醜態を晒してしまったのだ。


その後、付き添いで来てくれた小桜さんに肩をかりながら小桜家に戻り、足が回復した後に小桜お父さんから4人でスポーツショップに行こうと誘われ、到着した次第だ。


「うう、別に体操着でも問題ないのに」

「まぁまぁ美羽ちゃん、今後も運動を続けるなら買って損はないよ。必要な出費だから」


俺と小桜さんは高校ジャージ、美羽ちゃんも小学校の体操着という姿で公園に行ったのだが、この姿で運動を続けるのはよろしくないだろう。


「あとお兄ちゃん、足大丈夫?」

「うん、ほんとごめんね。久々に走ったから足がビックリしちゃって」

「……ごめんなさい」

「ああっ、美羽ちゃんは全然気にしなくていいから! 元々インドアで運動不足だった俺が全部悪いから!!」


本気で謝ってきた美羽ちゃんに全力フォローを入れる。足がつった時も左足がまた骨折したのではと超心配されちゃったし、言動には気を付けないと。


そんなこんなで小桜お父さんから好きな物を好きなだけ買っていいという大盤振る舞いな言葉を頂いたのだが、美羽ちゃんは特売コーナーに直行。成長期だから高い物は駄目って主張に、安くてもいいけど長く使うものなら自分が気に入ったものを選ぶんだよってアドバイスを伝授、あとは小桜お父さんに任せました。


そして小桜さんは何処に行ったのかとショップ内を歩いて、すぐに見つかったけど、小桜さんの手には、複数のスポーツブラが握られていた。


「ええっと、俺も自分の探さないと」


ガシッ (襟首を掴まれる)


すぐに後ろを向いて退散しようとしたら、小桜さんに捕まってしまった。なので恐る恐る振り返ると、複数のスポブラを見せつけてきた。まるで俺に選んでほしいと言わんばかりに。


「いや、そういうのは女性店員さんに選んでもらった方が」


フルフル(首を横に振る)


小桜さんが積極的だ! と、最初はそう思ったけど、今の拒否は俺に選んでほしいというより、店員さんの助けを借りるのが嫌って反応だった気がする。


「もしかして、店員のアドバイスが苦手?」


コクコク(首を縦に振る)


まぁ、小桜さんの性格ならそうなるか。


美羽ちゃん・小桜お父さんも駄目っぽいし、俺が選ぶしかないみたいだ。大丈夫、これが下着売り場のブラジャー選びなら完全にアウトだけど、スポーツショップのスポブラ選びならギリギリセーフに違いない。周りの人も少ないし、どうにか耐えられる居辛さだ。


そう覚悟を決めてから小桜さんに合いそうなスポブラを選んだのだが、最大の難題に直面する。スポブラのサイズだ。


都市伝説によれば、巨乳は走るとゆれて痛いから、しっかりと固定する必要があるらしく、そして小桜さんはそこそこ大きい方なので、ちゃんとしたものを選ぶ必要がある。なので小桜さんに適したサイズっぽいのを3つ選んでから、試着室に押し込める。


「このネット記事によると、スポブラはちょっときついくらいが丁度いいそうです。なので着用した後に、体をひねったりジャンプしたりして確認して下さいね」


コクコク(首を縦に振る)


スマホでググった情報で納得させ、試着室のカーテンが閉まるのと同時に、重い溜息が吐き出される。


し、心臓に悪い。


男なら誰しもが憧れるちょいエロ漫画のベッタベタなシチュエーションだったけど、公共の場で邪な気分になるのは無理でした。周りの目が気になってしょうがなかったよ。


そう痛感しながら女性コーナーの入り口まで退避した後、展示中のマネキンに視線が移る。


青いスポブラにショートパンツ一体型のレギンスパンツ、その上にジャージというオーソドックスなものだが、展示品だけあって各衣類とのマッチングが良く、何よりも開いたジャージから垣間見えるお腹部分には、健康的なエロさが感じられる。


運動着に露骨なエロは邪魔だけど、これくらいなら十二分にアリだな。こんな程よい露出の運動着で汗をかく小桜さんの姿を見たら、心の中でニヤッとしてしまうだろう。そんな妄想をしていたら


ポン  (肩に手を置かれる)


「うおっ! って小桜さんか」


試着チェックが終わった様だが、意味深な視線が注がれている。

いや、俺はマネキン見てただけで、何一つやましい行動してないからね。


そんな毅然とした態度を貫いていたら、小桜さんが小さく頷いてから俺の背中を押し、男性コーナーを指差してきたので、どうやらお役御免らしい。


「ええっと、俺のウェアを小桜さんが選んでくれたら嬉し…」


と誘ってみたけど、台詞が言い終わる前に小桜さんが移動しちゃいました。


……失敗だったかなぁ。


女心は難しいと痛感しながら、てきとーに自分の運動服を選んでから美羽ちゃんグループと合流、そして会計を済ませていた小桜さんと合流して、お買い物終了となりました。

大変遅くなりましたが連載再開です。これから毎日更新で駆け抜ける予定ですので。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ