70話 あとでちゃんと説明って、まだ?
「じゃあお兄ちゃん、いってきまーす」
「うふふ、よい1日を」
一緒に登校したいという要望で、途中まで美羽ちゃん達と一緒に登校。松葉杖のノロノロ移動・俺に合わせたら小学校に早く着くと断ったが、問題ないらしい。
昨晩は両親含めた5人でカードゲーム、会社の不満を小学生に愚痴る父、アイロン掛けを教える母、寝る前ストレッチを皆でしたりと、本当に賑やかだった。そして美羽・萌香ちゃんは予備の布団で一緒に寝てもらいました。至極当然という流れで俺の部屋で。自分以外の寝息がすぐ傍から聞こえるのは、ちょっと落ち着かなかったです。
「さてと、じゃあ俺は駅に……」
あれ? なーんか背中から気配が?
そう思って振り返ると、美羽ちゃん達と一緒の時は居なかった筈の、昨日まで一緒に登校していた小桜さんが、ゼロ距離でピタッと張り付いていました。
「うわああああああああああああああ」
驚きで絶叫をあげてしまい、体勢を崩して尻餅をついてしまった後、小桜さんが手を差し伸べてくれたけど終始無言で、いや、小桜さんは常に無口だけど、こんな威圧感?は初めてだ。
「あの? 小桜さん?」
ぷいっ (そっぽを向く)
「えっと、俺の母さんから事情聞きましたよね?」
そう言って右側にいる小桜さんの方を見たら、無言で左側に移動する。
「今朝も、美羽ちゃん達と一緒に登校するので今日はいいですって、連絡しましたよね?」
そう言って左を向いたら、今度は無言で右側に移動してしまった。
怖い、怖いです小桜さん!!
何で俺の死角をキープなの?
それから俺は弁解を続けたけど、小桜さんはクルクルと俺の周りを回り続け、そんな抗議?が治まらないまま、高校に到着となりました。……………長かった。
小桜さん的には、羽生君本人からの説明をずーーっと待ってました。




