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小桜さんは義理堅い  作者: 奈瀬 朋樹
第3章:謎のご褒美編
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49話 おっぱいのついたイケメン

「おぅ小桜、連れて来たぜー」


ワタワタ(焦る)


昼休みになった途端、女ヤンキーが襲来して拉致られちゃいました。何を言っているか分からないと思うが、俺も状況がさっぱり分からないです。


「小桜さん、この人は一体?」


「……………………………………………まどかちゃん」


「だからちゃんはヤメろって! おい後輩、俺様の名前は檜山まどかだ。敬意を込めて檜山先輩って呼べよ!」


「分かりました檜山先輩。すみませんが降ろしてくれませんか?」

「ああ、そうだな。わりーわりー」


そうして中庭のベンチに降ろされたけど、それまでは肩に担ぎ上げられての移動で、借りてきた猫の如く、大人しく縮こまってました。


女子なのに豪快な檜山先輩は、凛とした顔立ち、言動もワイルドで制服も着崩したりで、美人というよりイケメンと評する方が、いや、おっぱいのついたイケメンって感じだな。


「重かったですよね?」


「あの担ぎ方なら重くねーし、救助隊の運搬方法らしーぜ。確か名称は……」


「ファイヤーマンズキャリーだ。そこで自らが回転すればプロレス技のエアプレーン・スピンに変わる」


「あぁん? なんだこのイケメン眼鏡は?」


「始めまして、失礼ながら後を付けさせてもらいました。羽生の友人の織田です。置き去りだったお弁当と松葉杖を持ってきたので、一緒に食べましょう」


そんなイケメン営業スマイルに檜山先輩は眼を飛ばし、睨み合いが勃発。


「お呼びじゃねーんだよ。てめーはそこらへんの女子ナンパして食ってろ」

「じゃあ、檜山先輩を口説いていいですか?」


「ほっほーう、彼氏持ちの俺様に宣戦布告か。いい度胸だ!」


この騒動に小桜さんはワタワタしっぱなしで、俺は手はともかく足が出ないので収集が付かないまま、昼休みの半分以上が消費されてからの昼食となりました。


   ◇  ◇  ◇


「つまり、小桜さんの親友として挨拶がしたくて、親睦も深めたいから拉致られたと?」


「おうよ! 困ったら頼ってくれていいぞ!」


そんな意気揚々な宣言に、渇いた笑いしか出てこない。まぁそれはこの際いいとして、横にいる小桜さんは至って普通で、無理に連れて来られた感は全くない。だけど何てゆうか。


「意外な組み合わせですね。正反対な性格に見えますが」

「おぉ、復活したか織田。大丈夫か?」


口論の末、俺同様に担がれてエアプレーン・スピンでダウンしていた織田が何食わぬ顔で聞いてくる。


「小桜とは同中で、勉強で世話になったからな」


コクコク(首を縦に振る)


「小桜はいい奴だぞ! 馬鹿で部活に明け暮れてた俺様を、席が隣ってだけで勉強教えてくれて、腹減って死にそうな時は弁当分けてくれたりで最高だぞ!!」


義理堅い小桜さんらしいなぁ。それにこういう友達が傍にいれば結構フォローしてくれるし、案外いいコンビなのかもしれない。


「じゃあその明け暮れた部活では、ちゃんと活躍できたんですか?」


「いや、途中退部だ」


「駄目じゃん!!!」


先輩だけど、つい全力ツッコミを入れてしまい、更に織田が畳みかけてくる。


「檜山先輩、もっとお淑やかにしたらどうです? その方がモテますよ」


「大きなお世話だ! それに彼氏いるつってんだろーが!!」


「でも、その彼氏だってお淑やか彼女の方がいいですよね? それに可愛く振る舞えば、まどかちゃんって…


ガシッ!(胸ぐらを掴む)


「てめー、今度は担いだ後、プールにブン投げてやろうか?」

「いやー、それは流石に」



キーンコーンカーンコーン



そんな口論を檜山先輩と織田が続けて、俺と小桜さんが眺めて適当に相槌をしてたら予鈴が鳴り、あと5分で教室に戻らないと……。


「って、あと5分で戻るの!?」


1年クラスは3階、松葉杖で時間内は不可能だ。


「織田、悪いが背負ってくれ!」

「全く、しょうがな…ぐはっ!」


檜山先輩に殴られて織田が沈黙。また担がれちゃいました。


「俺様が連れて来たんだ。俺が送り届けるのが筋ってもんだろ」


「いや、これ以上女子に担がれての移動は恥ずかしいので勘弁して下さい。てゆーか、何でそんなに体力あるんですか?」


「俺様がガキの頃、弟のサッカーにずーっと付き合ってやったからな。行くぜ!」

「小桜さーん」


この嘆きに小桜さんは困った表情を返すだけで、小桜さんは義理堅いけど、押しに弱い。

羽生・小桜コンビは大人しいので、友人はこんな感じにしました。今後も時々登場予定です。

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