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小桜さんは義理堅い  作者: 奈瀬 朋樹
第3章:謎のご褒美編
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45話 遠すぎる初登校

遂に中間テスト・そして初登校となった朝、左足が包帯グルグルのサンダルだけど、他はビシッと制服で決めて家を出たら小桜さんが待っていて、しかも今までのもっさりじゃないアンダーリムの眼鏡で、それが制服姿と相俟って、知的で物静かな女子高生って感じになっている。


「おはようございます。小桜さん」


コクコク(首を縦に振る)


そうして小桜さんが俺と並んで歩きだしたのだが、女の子と一緒に初登校なんて夢みたいだ。今の小桜さんは美人と評しても問題ない見栄えに進化済みで、この境遇につい口が緩みそうで、最高の気分だ。きっと最高の初登校になるだろう。



   ~10分後~



「ぜぇっ、ぜぇっ、………おぇっぷ」


我が家から駅は徒歩10分の距離で、本来ならとっくに到着だが、まだ半分しか進めておらず、しかも体力が底を尽きかけている。


「松葉杖の移動が、ここまで大変だったとは」


松葉杖の移動には腕の力が必要で、それなりに体力を消費。勿論スピードは遅くて、ちょっとでも加速すれば疲労増し増しだ。他にも横断歩道は青に変わった時に移動(走れないから)、普段なら気にならない段差の注意、そして周りの歩行者に対する気配り等で、もうヘトヘトです。


少しは散歩するべきだった。GWはテスト勉強ばっかりで殆ど外出せず、小桜家への移動も全て車だったから移動に不慣れなままで、たかが10分の移動で汗だく状態、松葉杖で体重を支えている両脇も痛くて、途中から動きが雑になって太ももに松葉杖がぶつかりまくりで、もうダウン寸前のボクサー状態だ。


ふきふき(汗を拭いてくれる)


小桜さんは途中から俺の荷物を持ってくれた後、頻りにハンカチで汗を拭いてくれたり、自動販売機で水を買ってくれたり、俺の前後を動き回ったりという俺の専属歩行マネージャー?となり、とっても有り難い限りだけど、自分が情けないです。


「小桜さん。もう俺を見捨てて、先に行った方が」


フルフル(首を横に振る)


「でも、このままじゃ遅刻しちゃう」


フルフル(首を横に振る)


あぁ、小桜さんはココで見捨てられる性格じゃないか。だったら頑張るしかない。俺はともかく、小桜さんが遅刻はダメだ。なので体力残量を無視して突き進み、ようやく駅前に到着できたのだが、そこには心臓破りの坂を遥かに凌駕する絶壁が立ち塞がっていたのだ。


「階段、かぁ」

松葉杖の移動は慣れればそんなに体力は使いません。ですが周りは常に気を使うそうです。

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