03話 パーフェクト自己紹介
名前: 小桜 美夜
年齢: 16歳
身長: 161cm
体重: 53キロ
誕生日:12月28日
スリーサイズ: 85/54/79
趣味: 読書
住所: XX県XX市XX区XXXX X-XX-X
携帯: 080-XXXX-XXXX
メール:XXXXXXX@XXX.XX
将来の夢:未定
etc
…
……
………
どうしよう。
ガチ情報っぽい。
特にスリーサイズが見たまんまで、失礼と分かっていても見比べてしまう。それによく見れば顔の輪郭が整ってるし、地味な眼鏡を取って髪を整えれば結構な美人になりそうで、磨けば光る素材って感じだ。
そしてようやく分かった。
彼女の名前が、小桜美夜という事に。
「えっと、小桜さんでいいですか?」
コクコク(首を縦にふる)
「じゃあ……、俺も書きますね」
こうなった以上、書くしかない。そう腹を括って項目を埋めていく。
名前: 羽生 夕
年齢: 15歳
身長: 166cm
体重: 57キロ
誕生日:6月15日
スリーサイズ:
あれ? 俺のスリーサイズっていくつだ? 男だから気にした事がない。何か参考になる情報がないか周りを見渡すと、小桜さんのスリーサイズ情報が目に入る。
どうせ男のスリーサイズなんて興味ないだろうし、適当でいっか。
ええっと、小桜さんの胸がパッと見それなりに大きくて85だから、ペッタンコな俺は80くらいだろう。それで小桜さんのほっそりウエストが54で、俺も太ってないけど男だから+3ってとこだな。尻も同じく+3で。
スリーサイズ: 80/57/82
まぁ当たらずとも遠からずってとこだろう。
そのまま住所や携帯情報を全部埋めて、小桜さんにプリントを渡す。
「どうぞ。あと小桜さんの情報もお返ししますね」
正直口惜しいけど、仕方がない。ないのに、
????(首を傾げる)
当の本人は不思議そうな顔をしている。
「いや、男として大変興味がありますけど、名前や年齢はともかく、体重やスリーサイズ情報を握ったままというのは……
バッ!!
えー、今更自分が書いたプロフィール食い入るように見てるよ。人間、緊張やテンパりで視野が狭くなる時があるけど、それなの?
この推理は正解だった様で、小桜さんが妙にワタワタしていて、それから俺と目があうと、二散歩後ずさった後、豪快に転んでしまった。
「ちょっ! 大丈夫でっ!」
つい駆け寄ろうとして胴体を動かそうとした瞬間、体の軋みがそれを制止させる。
それから小桜さんがすぐに立ち上がって眼鏡のズレを直した後、心配そうに駆けより、そしたらまた照れてワタワタ動作と、もう色々とパンク寸前になった所で。
ペコペコ(頭を下げまくる)
と、結局一言も喋らずに、自分の鞄を抱きかかえて逃げちゃいました。
それから静寂が訪れた後、スリーサイズはともかく、携帯アドレスは控えておけばよかったなーと、ちょっとだけ後悔しました。
※成人男子の平均スリーサイズは「86/72/85」だそうです