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小桜さんは義理堅い  作者: 奈瀬 朋樹
第2章:小桜姉妹編
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34話 すぐに伝えられなかった、ありがとう

※こういう描写は今回だけですので

「もう暗くなってきたから、そろそろ帰るね」


その後も3人で雑談をしていたら、あっという間に時間が過ぎてしまった。だけど会話は殆ど俺と美羽ちゃんで、小桜さんにも何度か話題をふったけど、相槌が返ってくるだけで、やっぱり複数人の会話は苦手で、聞き専になっちゃうらしい。


それで松葉杖に手を伸ばそうしたら、さっきまで楽しそうだった美羽ちゃんが改まった様子に変貌して、それから俺と一定の距離を取ってからの正座で、頭を下げてきた。


「お兄ちゃん、ありがとうございました」


小学生(幼女)からの土下座は、ただただ申し訳ないというか、こっちの方が心苦しい気持ちで一杯になるだけだったけど、それでも美羽ちゃんの頭が上がらず、言葉が続けた。


「美羽を助けてくれて、だけどすぐ会えなくて、ごめんなさい」


「いや、そんなの全然構わないよ。こうしておもてなしも用意してくれたんだ…


最初は美羽ちゃんなりの誠意の見せ方だと思ったけど、俺の声は全く届いてない様子で、絞り出したかのような声だけが続いていく。



「あの時、助けてくれて、全部真っ白で、でも赤くて、怖くて、ちゃんとありがとうを、でも気持ち悪くて、怖くて、また赤い…………………あ……、……………おえええええっ」



「美羽ちゃん!!!!」


急に吐き出し、怪我した左足を無視して駆け寄ろうとしたら、それよりも早く小桜さんが動いて、美羽ちゃんを抱きしめた。その後も美羽ちゃんの具合は良くならず、小桜さんの服がどんどん汚れていくけど、そんな事はどうでもいいという様子で、小桜さんは優しく・そして力強く抱きしめ続けている。



「ごめ……、ありが……、ごめんな……、ありがどう…………」


「……………………よく言えたね。………お姉ちゃん、ちゃんと見てたよ」



それからの美羽ちゃんは、泣きながら「ありがとう」「ごめんなさい」だけを言い続けて、俺はその光景を、見守る事しかできなかった。


この後、美羽ちゃんの泣き声にご両親が駆け付けたけど、こんな惨状なのに全く動揺せず、ただ俺に「今日は来てくれてありがとう」と伝えてから、美羽ちゃんの精一杯だったおもてなしが終了した。

これで2章内の伏線は全部出し切ったので、回収していきます。1つでも読者に驚き・納得感を与えられたら嬉しいです。

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