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小桜さんは義理堅い  作者: 奈瀬 朋樹
第2章:小桜姉妹編
31/94

29話 準備完了?

ガバッ!!  ガシッ!!


即座に小桜さんが立ち上がるのと同時に、俺はその足(黒いハイソックス)を掴んだ。


「待って小桜さん! 何処に行く気ですか!?」


そう言った後、小桜さんはぐちゃったケーキ箱を見据えて、財布を取り出してくる。


「いやいや、いいですって! ちょっと形が悪くなっただけで食べられますから!!」


箱の中には6つのケーキがあったけど、ショートケーキの苺が分離セパレート、だけどチーズとチョコレートケーキは合体ドッキング、そして店員さんにお願いして書いてもらったであろう『退院おめでとう』プレートは、俺の左足と同様にバキッとヘシ折れた惨状になっている。


フルフル(首を横に振る)


だけど小桜さんは譲らずに玄関に向かおうとして、俺は小桜さんの足をガッチリと掴んで制止させる。なんかもう女子に女々しく食い下がる情けない男って構図にしか見えないだろうけど、こっちは左足骨折中の身で踏ん張れないし、このままじゃ小桜さんが出ていっちゃう!


「じゃあ小桜さん、悪いと思うなら今すぐ台所に行って、お皿と飲み物を用意して下さい。飲み物は何でもいいですから。お願いします!」


勢いで土下座をして、どうにか小桜さんの制止に成功。それから台所に向かった後、俺は即座にケーキ箱の分解を開始。時間との勝負だ!



   ◇  ◇  ◇



小桜さんが戻ってきてから、修繕したケーキを見せた。ケーキ箱にあった紙ナプキンを広げ、その上に4つのケーキを置き、取れた苺・合体したケーキも可能な範囲で修復済だ。勿論、直接ケーキには触っていない。


「2個は無傷だったので、両親用に確保しました。あとは残りは2人で食べましょう。見てくれはアレですが、味は変わってません。それに俺は、小桜さんと今すぐ一緒に食べたいです」


どうだ? ここまでお膳立てすれば、買い戻しに行き辛い筈だ。てゆーか、ちょっと潰れたくらいでケーキを捨てるなんてあり得ないし、更に追加オーダーは食べ切れないです。そんな思いで小桜さんを見つめ続けていると、


コクコク(首を縦に振る)


申し訳なさそうに頭を下げてくれて、どうにか納得してくれた様だ。それに台所に行った事で冷静になれたのかもしれない。


頭を下げる小桜さん 冷静になれたらしい


「じゃあ一緒に食べましょう」


小桜さんも最初は委縮してたけど、やっぱりケーキは美味しくて、すぐ和みムードに変わってくれました。それに4つを半分こで味わえて、結果オーライだろう。そうして一緒にケーキを食べていたら、急に深呼吸を始めた小桜さんが、


すっ(紙を差し出す)


差し出されたのは可愛くラッピングされた封筒で『招待状』と書かれている。なのでその内容を確認してみると。



===================================

羽生夕 様


明日の朝10時、我が家に来てください。

最高のおもてなしとプレゼントをします。

がんばって満足させます。

===================================



それは小桜さんの字じゃなく、子供が書いた様な可愛い文字だった。


「もしかして、妹さん?」


コクコク(首を縦に振る)


「ああ、なる程。分かりました。是非、行かせていただきます。それに休日なら、親が車で送ってくれるだろうし」


この了承に、何故か小桜さんが固まってしまった。まるで何かを見落としに気付いてしまったかの様な反応で、それから恐る恐る尋ねてきた。


「…………………………車、………色は?」


「えっ? 青っぽいシルバーですけど?」


コクコク(首を縦に振る)


??? 小桜さん家にはNGカラーがあるの? だけどこういう謎っぽい質問って、追及すると地雷・微妙な空気になりやすいから、スルーしておこう。大丈夫っぽいし。


それから深々と礼をした後、小桜さんが帰ろうとしたんだけど、玄関で買い物から帰ってきた母と接触、やったらニヤニヤしてから退院祝い家族パーティーに招待、だが俺が反対した後、じゃあせめて一緒に料理をって提案に小桜さんが押し切られてしまい、小一時間ほど母と小桜さんが一緒に料理、根掘り葉掘り質問されまくってから、小桜さんが帰っていきました。


その後「小桜さん、結構料理上手かったよ。良かったね」と茶化されちゃいました。うるせーよ!!!

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