28話 読書女子の魅力
小桜さんが俺の部屋に入った瞬間、感嘆という感じで見渡している。
「殺風景な部屋ですみません」
勉強用ミニテーブル・クローゼットがあるだけで、テレビ・パソコン・ゲームもないが、窓・扉以外の壁には全て本棚が設置、全方位が本・本・本なのである。
そして小桜さんは持っていた荷物を落とし、食い入る様に本棚のタイトルチェックを開始、そんな仕草を俺は眺めているのだが、ムード皆無である。男の部屋に異性が1人で来たら、お互いドキドキする筈なのに……、まぁ、こんな部屋にした俺が100%悪いんだけどね。
それから小桜さんが1冊の本を取り出してから、こっちを見てきた。
「もしかして、それを読んでみたい?」
コクコク(首を縦に振る)
「じゃあそこの座布団を使って下さい」
俺も適当にチョイスして、2人で読書を開始する。傍から見ればアホな行為に見えるかもしれないが、本好き同士が狭い空間で一緒に本を読む。その静寂が心地よくて、安心できる。これも一緒に遊ぶ行為の1つだ。
それに読書女子を眺めるのは、いいものだ。
当の本人は読書に夢中で視線に気付かないので見放題。因みに今の小桜さんは、体育座りをする様なポーズで本を読んでいて、ちょっとだけたくし上がった制服のスカート、魅惑的な太もも、それを読書の合間、たまーに眺めるのは、乙なものである。
そんな時間が30分経過した時、急に小桜さんが立ち上がった。
やばっ、凝視しなかった筈だけど、気分を害したかな? そう思ったんだけど、小桜さんは俺ではなく自分の荷物に駆け寄ってから、
「…………………………たっ、退院、おめでとう!」
「あっ、ありがとう、ございます」
絞り出したかの様な声でお礼を言われた後、慌てて小さな箱を差し出され、どうやらケーキ箱みたいだ。
////////(顔を手で覆う)
それからの小桜さんは俺に頭を下げっぱなしで、どうやらお見舞い品をほったらかして読書に耽った自分が許せないらしい。
「いや、渡すのがちょっと遅れただけですから」
ブンブンブンブン(首を横に振る)
マズい。このままじゃ小桜さんが自虐モードのままだ。小桜さんの表情がどんどん陰っていくし、どうにかしないと。
「じゃあ折角なので、一緒に食べましょう。俺、ケーキ大好きなので」
美味しそうなケーキを出せば、きっと和む筈だ。そう思ってケーキ箱を開いたのだが、
ぐっちゃり
俺が玄関で倒れた時に駆け付けたり、この部屋に入った時に荷物を落としたりして、小さな箱に詰められていたケーキ達は、残念な融合を遂げちゃってました。
すみません、昨日の夜はお酒を飲んでからの帰宅で、執筆無理でした。




