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小桜さんは義理堅い  作者: 奈瀬 朋樹
第1章:入院生活編
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24話 お見舞い福袋セット

「あの、その大きな紙袋は一体?」


小桜さんが到着と同時にその紙袋を渡されて、確認してみたら、どうやらクラスからのお見舞いの品々らしい。回復は順調で明日から松葉杖の練習なのに、今更? だけど折角のご好意を粗末にできない訳で、とりあえず中身を見てみよう。


「まずは千羽……、いや、このサイズは百羽鶴か」


通常の折り紙用紙(150mm×150mm)を1/4にカットした折り鶴だ。病人に利くって俗説があるけど、意外と鶴の首部分は折らない方がいいってのは知られていない。首を折る=不吉って理由で。だけどそんな些細な迷信はどうでもいいし、実際貰うと嬉しいな。それに百なら手間も減るし、受け取る側としても重すぎなくて丁度いい。


「そして次は、クロスワード、ナンプレ(数独)のパズルセットか」


これは暇潰しにって事だろうけど、残念ながらテスト勉強で忙しいから暇じゃないです。このう●こ漢字ドリルは気になるけど。


「次は、ツナ缶。……何故?」


何故ここでツナ缶!? 普通は桃じゃないの? 退院後に自宅で食べるけどさ。


「次は、ワンダースワン! うっわ懐かしい!」


携帯ゲームって発想は分かるけど、チョイスが謎過ぎる! てゆーか、何で今時高校生が持ってるの? 雑誌か何かで存在は知ってたけど、実際に見るのは初めてだよ。


それからも紙袋を漁ったけど、缶ジュース、ラノベ、ジャンプ、じゃがりこ、飴1個と、何かもうこの紙袋に手当たり次第に詰め込んだ感しのラインナップだ。


「小桜さん、折り鶴はともかく、皆勢いで紙袋に色々突っ込んでませんでした?」


小桜さんは何も語ってくれなかったけど、目を逸らしての無言で答え丸出しだよ。どうやら俺のクラスメイトは相当愉快な仲間達みたいだ。それから百羽鶴は小桜さんが部屋に飾ってくれて、食べ物以外は紙袋に戻そうとした所で、


「あ、毛糸玉と編み棒だ」


確かにベッドの上でやれる事だけど、編み物なんてやった事ないし、やる気にもなれない。だったら、


「小桜さん、これいります?」


????(首を傾げる)


ぶっちゃけ体のいい在庫処分だけど、こういう物は使いそうな人に渡すのが無難だ。そうして毛糸玉を小桜さんに渡したんだけど、それを小桜さんがまじまじと見つめ続けている。


ううーん、ちょっと強引過ぎたかな? でも今更引き取るのもアレだし、失敗だったかなーと思案していたら、顔を上げた小桜さんが、



「ありがとう」



それは淀みのない綺麗な言葉とはにかんだ笑顔で、人にプレゼントをした場合ケースとしては当たり前の反応だけど、今までの寡黙っぷりからのギャップに唖然としていたら。


////////(顔を手で覆う)


小桜さんが照れてしまい、そんな姿にこっちまで急激に恥ずかしくなってしまった。


異性のプレゼントって、こんなにドギマギしちゃうものだったのか!? さっきのは野郎友達に何かをあげる感じで渡しただけで、それでこの威力なら、もし俺と小桜さんがカップルになったら……、って何でこんな妄想してるんだ俺!? アホかっつーの!!


それからはお互い何か言おうとしては黙り込むという反応を延々と繰り返していたらお見舞い終了時間になってしまい、今日の勉強は全くできませんでした。

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