表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小桜さんは義理堅い  作者: 奈瀬 朋樹
第1章:入院生活編
24/94

23話 病院の都市伝説

※ホラー要素有り

「『死体洗いのアルバイト』って本当にありますか?」


「そんなのないよ。ただの病院あるある都市伝説だから~」


消灯前に森谷さんが来たので聞いてみたら、やっぱりな反応である。小桜さんのホラー小説にそういう話あったけど、やっぱりか。まぁ、当然……


「でも『死化粧』なら、看護師がやってるよ」


「ええっ!? その、聞いてもいいですか?」


「う~ん、結構怖いというか、生々しい話になるけど、大丈夫?」


「……………大丈夫です。無理なら途中でストップしますので」


それからの僅かな静寂が合図となり、自然と2人して神妙な面持ちで見つめ合った後、森谷さんが小声で語り始める。


「病院で亡くなった患者さんは清拭せいしき、つまり身体を清潔にする必要があるの。家族とのお別れ・葬儀があるからね。そして遺体に触れるのは穢れを伴うって考え方があって、遺体を入浴させる『湯灌ゆかん』、『死化粧』は女性が行うべしって習わしが今も残ってるの」


「……じゃあ、森谷さんも」


「うん、経験あるよ。それが看護師の役目だから。それに亡くなる直前まで看病した相手なら、ね」


「……そう、ですか」


確かに病院でそういう事があるのは当たり前で、当然の役回りだ。ただでさえ看護師は忙しいのに、そのうえこんな事まで……、もしかしたら接客業で一番大変な業種は、看護師なのかもしれない。


「俺、これからは看護師を最も尊敬できる職業って認識にしますね」


「あらあら、それじゃあ羽生君は、私を尊敬してるのかな?」


「当然です。てゆーか感謝しまくりですよ」


そう言うと森谷さんが微笑んでくれたけど、いつもより印象深い笑顔に思えたのは、気のせいかな? いや、気のせいじゃないって事にしておこう。


「うふふ、ありがとう。あとさっきの話題は、使い所に注意してね」


「当然です。こんな話、ホラー好きの小桜さんくらいにしか出来ません」


「えぇ~、それこそ使い所間違ってない?」


「あはは、そうかもです」


そう2人して小さく笑ってから消灯時間となり、森谷さんを見送ってから、俺は眠りについた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ