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小桜さんは義理堅い  作者: 奈瀬 朋樹
第1章:入院生活編
21/94

20話 犯人はヤス

「このホラー小説、終盤クライマックスまで読みましたけど、冒頭から怖いっすねー。ココとかもうぞわっとしました。伏線もいっぱいあって、こいつが怪しいなーって思ったら、突然の途中退場であっれーですよ」


コクコクコクコク(首を縦に振る×2)


勉強会がひと段落して、息抜きに昨日貸し合った小説の感想交換会をしてみたら、小桜さんがイキイキしっぱなしで、なんとこれまでに3言も喋ってくれたのだ! 俺の感想には3倍速で頷き、好きなシーンを尋ねたら、真剣にページ漁りをしたりで、こういう事自体が初めてらしい。


一緒に映画を見た後の会話が盛り上がるのと同じで、互いに好きなシーン・台詞・キャラを言い合った分だけ妄想も膨らみ続け、楽しさは無限大である。


「…………………………ココ、好き」


「やっぱり! 俺も好きです。このシーンは何度も読み返しましたよ」


ページを捲る度に、2人して一喜一憂を繰り返す。これだって人と仲良くなる1つの方法だ。かなーりマニアックだけど。ただ、何事にもルールはある訳で、価値観の押し付けや口論は当然NG、あとは……


「終盤は怒涛の展開で、目が離せないですねぇ」


コクコク(首を縦に振る)


「きっと犯人は予想外な人なんだろうなぁ」


と、まだ読んでない終盤の展開に思いを馳せていたら、



「………………………うん、先生は予想外」



あ、ネタバレされちゃった。

そしてすぐさま小桜さんが失態に気付き、固まっている。


読み終わらずの感想会で、うっかりネタバレは結構あるからなぁ。だけど事故ならしょうがない。ないんだけど、


「小桜さーん。怒らないから小説返して下さい」


ブンブンブンブン(首を横に振る×2)


取り上げた小説を背中に隠し、涙目で首を振りまくっている。


「…………………………違う。……………さっき、気のせい」


いやー、それは無理あるなー。


「じゃあ続きを読ませて…」


ブンブンブンブン(首を横に振る×2)


「いやでも、終盤まで読んでの没収で、結末不明の方が辛いです」


そう述べると、弱々しい唸り声が漏れてから、小桜さんが萎れちゃいました。


「ええっと、まだ本はいっぱいありますし、次からは全部読み終わってからやりましょうね」


「………………………………………ごめんね」


こうして初めての感想交換会は残念な結果になっちゃったけど、小桜さんとかなり喋れたし、これはこれで、面白かったかな。

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