表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小桜さんは義理堅い  作者: 奈瀬 朋樹
第1章:入院生活編
17/94

16話 テレビがある限り、奴等は必ず来る

「ふぅ、本日の勉強終了」


お見舞い時間の殆どを勉強に費やしたから、本当に疲れた。入院ベッド用のオーバーべッドテープルで一緒に黙々と勉強。特に小桜さんの集中力は凄まじく、その勢いに引っ張られた格好だ。


分からない部分は何処を参考にすべきか的確に示してくれて、数学の途中式をしっかり描いてくれたりと、やっぱり小桜さんの成績は上位らしく、大きなメガネは伊達じゃない様だが、教える時もやっぱり無言でした。


「今日はありがとうございました。明日もよろしくお願いします」


コクコク(首を縦にふる)


そう満足げ?に頷いた後、帰り支度を始めた小桜さんだったが、病院のテレビを物珍しそうに見つめている。


「見たい番組があるならどうぞ。これがリモコンです」


それから小桜さんがテレビをつけた後、チャンネルを回したり、テレビ横に付いてるカード差し込み口を気にしたりで、どうやら病院のテレビ本体に興味があるらしい。


「カード式テレビで、販売機で売ってるカードを差し込みます。それ以外は普通のテレビと同じ筈ですよ」


コクコク(首を縦に振る)


この言葉に、成程という感じで小桜さんが頷く。


「因みに値段は1分1円、2時間番組なら120円で、地味にたか……


ブツッ


俺の台詞が終わるより早く、テレビをシャットアウト。それから小桜さんがワタワタした後、自分のお財布から1000円札を差し出してきた。


「いやいやいりませんって! テレビ付けてたのも数分でしたから!」


フルフル(首を横にふる)


「いやでも……」


フルフル(首を横にふる)


「じゃ、じゃあそれは小桜さんの家庭教師代とか、お見舞い品の対価という事で!」


この提案に沈黙した後、納得?してくれました。やっぱり小桜さんは頑固な所があるみたいだ。今後は気を付けよう。


因みに、病院のテレビについて看護師の森谷さんに質問した事があるけど、これは外部業者の委託ビジネスらしい。病院にも利益があってテレビ設置費用・管理費の削減、そして委託業者も少ない労力で安定収入というWin-Winの関係だ。だけど無料の方が消費者としては嬉しいと進言してみたら。



無料設置だとN●K集金が来るから



という言葉にぐうの音も出ず、ひれ伏しました。因みに、ネット利用(ノートPC貸し出し・wifi利用)もオプション料金で利用可能となっている。そして俺はいい機会だから、積みゲー状態の小説消化に専念しているのだ。


そうして小説を読む準備をしていたら、今度は小説が気になる様で、各小説タイトルをまじまじと見つめている。そういえば小桜さんの趣味は読書だったっけ。


「入院で時間が有り余ってるので、本の消化をしてるんです。去年は受験で小説封印・買うだけの日々だったので、親に頼んで部屋の本を持ってきてもらってます。あと気になった本は何でも読んでみるが自分のスタンスで、友達とお互いのお薦め本を貸し借りしてました」


本の数だけ作者のメッセージがある。それを文字を通して理解し合うのが、たまらなく面白いのだ。だから小学校からずーっと図書室・図書館で本を借りまくりである。


「…………………………」


この言葉に小桜さんはやっぱり無言だったけど、何かを言いたげな感じでモジモジしている。これは、待つべきかな?


「…………………………」


でもモジモジが続いたままで、助け船を出した方がいいみたいだ。だけど急かすのも駄目っぽいし、ここは適当に会話を繋げてみよう。


「そういえば、小桜さんも読書好きでしたよね? お薦めの本ってありますか?」


「っ!! ……………っ」


あれ? 何でビックリ顔? どうやら乙女心は複雑で、俺にはまだ理解できない物とショボーンとしていたら、



「…………………………よければ、本、……貸すよ?」



という照れながらの主張を快く同意して、明日はお互いお薦めの本を貸し合う事になりました。

集金云々はネタですので

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ