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バベルのこどもたち   作者: 苫夜
31/40

第31話・僕らは財宝探検隊 ⑥

「僕らは財宝探検隊」編完結です!

一つの謎がここで解けると思います。


どれくらい走ったのだろうか。


気づくと、4人は元の草原にいた。


「ふぅ、ふぅ……。ここまでくればもう大丈夫かな……。」


息も絶え絶えにカンタが言う。


「……でも、サヤカの以外、私たちの荷物置いて来ちゃいましたね……。」


「命が助かるだけ良いと思った方がいいんじゃない?昔あった国で、''ぬちどぅたから"っていう、命が一番の宝物だっていう言葉があったくらいだしね。」


リーンの言葉に、苦笑しながらサヤカが答える。


「もう今日は疲れたぁ!」


そう言って草原に寝転ぶジョー。

他の3人もそれにならう。


「フッフッフッ、ハッハッハ!!」


突然、泥だらけの顔をくしゃくしゃにしてカンタが笑い始める。


「いやあ、楽しい冒険だった!!」


「ほんとにそうね。フフフ。」


サヤカもクスクスと笑う。


「……もう今はなにもしたくありませんけどね……。」


そういうリーンの顔も、どこか満足そうだ。


「母ちゃんにどうやってこの汚れを説明しよう……。」


結局最後は3人につられるままに走って来たジョーが口元を緩めながら不満を言う。


やがて、サヤカも大きな声で笑い始め、それにつられてジョーも、リーンも大きな声で笑い始める。


ひとしきりみんなで笑う。


「みんな!」


と、突然カンタが叫ぶ。


「今回は結局お宝を見つけることはできなかったけど!!!」


その先を察した4人は笑いながらカンタと一緒に叫ぶ。







「「「「また冒険しよう!!!」」」」





---------------------




それから数日。


サヤカは、『学術街』から帰って来た母親に、気になることがあったので、母親にそれとなく聞く。

あの日の夜のことは、4人の間の秘密になっていたので、詳細は語らないようにする。

もう一度サヤカは1人でその入口に行ってみたが、もうそこには何もなかった。


「お母さん。ロベールって知ってる?」


「ロベール?あぁ、あの"元祖最高の科学者"ね。それがどうしたの?」


気になる称号ではあったが、ひとまずサヤカはその話を置いておく。


「いや……。ある人からその人の話を聞いて……。そのローベルって人は何を研究してたの?その人は何か黒い結晶みたいなのって言ってたんだけど……。」


あの日、鎧が降りてくる前、サヤカが光の先にごくわずかに見たのは、その黒い結晶であった。


「………!!わからないわ。彼の研究は謎な部分が多くてね……。」


一瞬はっとしたような表情を見せたが、サヤカの母親はすぐに元の表情に戻った。


「そう。」


サヤカは母親が何か知っていると気づいたが、そう言うと踵を返した。

この状態の母は、何も答えないことを知っているからだ。


サヤカは自室に戻り、机に向かって勉強を始めた。

その脇には、あの日持っていったカバンが置かれていた。


ハラリ。


開けていた窓から吹く風で、はみ出ていた紙がカバンから舞い落ちる。


それは、あの屋敷にあった家族写真であった。

どうやらサヤカがそのまま持って来てしまっていたらしい。


微笑む元主人ロベールとその家族。








そのロベールの顔は、あの(・・)階層記録作家の顔にそっくりであることに、無論サヤカは気づくことはなかった。






いつも応援ありがとうございます!


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