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バベルのこどもたち   作者: 苫夜
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第26話・僕らは財宝探検隊 ①

新編、「僕らは財宝探検隊」編です!


「知ってる?このバベルには、かつて栄えた国々のお宝が眠ってるってこと。」


周囲が眠りに入った56階層のある日の夜。


4つの懐中電灯の光が動く。


「それってマジかよ、カンタ?」


カンタと呼ばれた黒髪の少年が答える。


「マジマジ。ジョーも聞いたことくらいはあるでしょ?72階層の外れの廃墟の噂。」


「あー……あの廃墟のことか……。でもそこにお宝なんてあるのか?」


ジョーと呼ばれた金髪の少年は、疑り深く聞き返す。

それに答えたのは、カンタではなく、その横にいた知的な少女であった。


「ええ、そこの元の住人が相当の吝嗇家だったらしくてね、バベルの中に存在する宝石類の3割は持っているっていうのがもっぱらの評判だったの。その人が亡くなった後、遺族が遺品の整理に来たんだけど、溜め込んでいた筈のお宝が何にもなかったんだって。だから、あの屋敷のどこかに隠したんだと思ったらしいんだけど結局見つからなかったの。」


「リンショクカ?まあサヤカの言う通りだとすると、その廃墟にお宝なんて隠されてないんじゃない?」


サヤカと呼ばれた少女の言葉に、ジョーはなおも疑り深く聞く。


「でも、近所に住む人は一度もそんな大きな荷物が出ていくのを見たことはなかったらしいよ。だから、まだ多分その中にあるんだと思う。」


サヤカの代わりに、カンタが答える。


「……でも、勝手にとってっちゃって大丈夫なんでしょうか……?」


ずっと黙っていた物静かそうなメガネをかけた少女が心配そうに聞く。


「大丈夫大丈夫。もうあそこは遺族の方も廃墟に気味悪がって所有権を放棄しちゃってるからね。だれでも今は入れるわよ。」


「ショユーケン?まあでもサヤカが大丈夫って言ってるなら大丈夫だろ、なあリーン。」


「うん……、そうだね……。」


弱々しい笑みを浮かべて頷くリーンと呼ばれた少女。


この4人、性格は四者四様なのだが、何故か妙にウマが合う仲良し4人組なのだ。


昔から、こうやって親が寝静まった後にこっそり集まって遊びの相談をしていた。


「それじゃあ、明後日の19:00にまたここに集合して、そこから72階層の目的の廃墟に向かおう。」


リーダー格でいつもこういう遊びの提案をするカンタがまとめる。


「それがいいわね。持っていく荷物を親にどうやって隠蔽しようかしら…。」


学者の娘で、やたら難しい言葉を使いたがり、4人のブレーンのサヤカが考え始める。


「インペー?まあ少しずつ外に持ち出してけば大丈夫でしょ。」


もっぱら頭で考えず体を動かす派のジョーが気楽そうに答える。


「……何持ってこっかな。夜食を忘れないようにしないと……。」


物静かな見た目だが、こう見えて案外乗り気なリーンが微笑む。


そろそろ階層照明の明かりがついてきた。

どうやら今宵の集会もこれにて終了の予感である。


「それじゃあ、明後日の19:00にそれぞれ荷物をもって、ここに集合!!」


「「「うん!!!!」」」


こうして、それぞれ自分の家へと戻っていった。


しかし、彼らはまだ知らなかった。


これが、とてつもない大冒険になるということを。





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