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第5話 樫山 霧矢

「早く避けろ!!」

隆が美伽に向かって叫んだ。しかし夏子の拳は目の前まで迫っていた。

「駄目!!避けられない!!」

パッとある事を思い付いた。

(私の能力は飲める水や水分なら、なんでも操れる能力・・・。だとしたら!!!)

美伽は目を瞑った。夏子の手が美伽の顔面に当たったと思った。しかし夏子の手が、ツルッと滑った。

「なっ!!」

「これは・・・」

「良かった。汗って舐めるって言うけど、ある意味では飲むというのも間違いではないからね。と言ってもこの場合は人によって考え方が違うから、私が汗を操れたというのも、私の判断によって決まったという事ね」

ほんの少しの量の汗だったが、なんとか防ぐ事が出来た。しかし頬に火傷を負った。

「うっヒリヒリする」

「これがお前の能力か?」

「うん。私は水を操る能力。と言っても飲める物で、水分だったら何でも良いけどね」

「分かったわ」

夏子は攻撃するのをやめた。

「諦めたか?」

隆が夏子に聞いた。夏子は溜息を吐いて

「そうね。あなたがそんなに止めるなら。それにこの子の能力を見れたから満足だわ」

トッポを口に入れて言った。そして目の前の家に入っていった。

「お前いつ能力に目覚めたんだ?」

「昨日。隆君と夏子さんの事が気になったから、つけて行って、その後家に帰ると突然目覚めたの」

「そうか」

隆は頭を掻きながら言った。

「お前だけは巻き込みたくなかったが、能力者になってしまった以上危険な立場になってしまうな」

「え?」

美伽は隆に何で?どういう事?と聞いた。

「兄貴は俺が生きていると知ると、俺を攻撃してきたんだ。しかも兄貴は俺を襲う為なら、周りを気にしないで、誰が巻き込まれようと、関係無いと言った感じで、攻撃してきた。兄貴は俺を倒す為に様々な能力者を手下にして、俺を襲ってきた。そして兄貴は邪魔者は全て殺すという事から、自分の味方以外の能力者も殺す様になってきた。その時に夏子や、霧矢」

「きりや?」

美伽は知らない人の名前が出てきたので、隆に聞いた。

「霧矢っつうのは、この家の持ち主のニート能力者だ。でも金持ちの家系だから、働かなくても大丈夫らしい。それよりこの2人は、その被害者で兄貴を倒そうとしている俺の味方になってくれた訳だ。そして皆が集まる場所が必要になって、霧矢の家に集まる事になったんだ。つまり俺に関わるだけで、兄貴に攻撃する可能性が上がる。だからお前を今まで遠ざけてきた。だが能力者となれば、話は別だ。能力者になったら、兄貴はお前を自分の組織に勧誘するか、殺すかのどっちかをしてくるだろう」

「という事は・・・・・・」

美伽は隆の話している事が分かってきた。

「そう。もうお前は能力者の世界に入ってきた。お前もこの不条理な世界から抜け出す事は出来なくなった」

隆が美伽の顔を見て

「お前だけは巻き込みたく無かったんだがな・・・。こうなったら仕方がない」

そして左手を美伽の右肩に置いて、美伽の目の前まで顔を近づけた。

「お前は兄貴の味方をするのか?それとも俺達の仲間になるのか?」

隆は美伽に聞いた。美伽は迷う事なく答えた。

「勿論。私は隆君の味方をするよ」

隆は少し笑顔になって

「そうか。それじゃあ来い。霧矢にも紹介しなくちゃいけないしな」

隆は美伽を霧矢の家に入れた。


〜霧矢の家〜

「お邪魔しま・・・す」

汚かった。そこら中に本や何かの部品などが落ちていた。そして玄関のドアを見ると、色々と機械が置かれていた。

「これは?」

美伽が隆に聞いた。隆は答えた。

「霧矢はこういう機械系に強い奴だから、自分でいろんな機械を作っているんだ。これもその1つ。これは霧矢のパソコンで動かす事の出来る機械で、霧矢の許可がなくちゃ入らない様になっている」

「なるほどそういう事か」

美伽は何で勝手にドアが開いたのかという理由が分かった。


暫く進みリビングの方に出た。本棚や、ゲーム機、機械等が沢山あった。目の前には夏子が椅子に座って、トッポを食べながら、スマホでゲームしていた。

「おい。霧矢来たぞ」

「へいへーい」

後ろから誰かの気配がした。後ろを見ると、見たら美伽より10㎝ぐらい身長が高い人が居た。

「おや?君は?」

「こいつは雨音 美伽。俺の幼馴染だ」

「ほぉ。俺は樫山キシヤマ 霧矢キリヤ!よろしく。それにしても結構良い女じゃねぇか」

「え?良い女?」

「霧矢。お前美伽を襲ったらただじゃあおかねぇからな」

「あのな。女好きなのは認めるが、俺はそこまで屑じゃねぇぞ」

「どの口が言ったんだか」

夏子が言った。

「あのな。お前俺より4歳年下だろ」

「え?」

「霧矢は19歳だ。今年で20歳になる。まぁ俺達より4歳年上だな」

「そうなんですか。よろしくお願いします」

一応お辞儀すると霧矢は良い良いと言って笑った。

「ゲームをしたり、漫画を読んだりして良いからな」

「偶にエッチな本があるから、それを見つけたら、捨ててあげてね」

夏子が口を挟んで来た。霧矢が

「おい!!!そんな事を言うな!!!というかそんな事するな!!!」

「良いじゃん別に。確か前に言ってたわよね。この家広いし、部屋数も多いから、何室かはそういう系の本で一杯だって。別に何冊か無くなっても良いでしょ」

「お前・・・まさか捨ててないよな?」

「さぁね。そういえば昨日6冊捨てたっけなー」

「お前な!!!!」

2人は言い争っていた。それを見ている美伽は

「2人共仲良さそうだね」

「あぁ意外とな」

隆は椅子に座り、自分の家から持って来た漫画を読み始めた。

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