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第4話 火田 夏子

〜翌日 高校〜

今日から本格的に授業・・・というわけではなく、今日は先生達の自己紹介的な感じだった。美伽はチラチラチラチラと隆を見たり見なかったりした。

(どうする?隆君には伝えるべき?そしたら前みたいに接してくれるようになるかな?隆君は能力者だから、言っても問題ないか。でも話しかけても無視するということは嫌われているということかな?だとしたら、話しかけない方が良いかな。でも私何かしたかな?)

すると突然「雨音さん」という声が聞こえた。咄嗟にはい!!と言った。その時に水筒が倒れる音がした。

(あっ。やばい)

しかし皆は特に水筒が倒れた事には興味は無さそうだった。すると先生が美伽に向かって

「1人ずつ自己紹介して下さいと言いましたよね。あなたの番ですよ」

「へ?自己紹介?」(やばい!!全然聞いてなかったーー!!!)

体中から汗が出ているのが分かった。

「わわわわわわ私ののののののの名前は、雨音 美伽ですぅぅぅ!!」

緊張し過ぎてよく分からないことになってしまった。なんか凄く恥ずかしかった。早く帰りたいと思ってしまった。


〜放課後〜

「部活かどこに入ろうかな。中学校の時と同じテニスで良いか」

そう呟きながら、下駄箱から靴を出していた。すると横を隆が通って行った。

(来た!)

今日は隆1人だけだった。

(夏子さんは居ないみたいね)

塀から少し顔を出して、隆を見ていると、突然後ろから声が聞こえた。

「はぁ。睦月君が『昨日俺達をつけてる人が居るから、今日お前後から来い』と言っていたから、その通りに来ると本当につけてる人が居たわ」

ゆっくりと後ろを振り向くと、そこには夏子が立っていた。夏子がはぁと溜息をまた吐いた。

「しかもその尾行してた人が、睦月君の幼馴染だったとはね」

「いや・・・これは・・・・・・」

「それでどうして私達をつけて来た訳?」

「深い理由は無くて・・・。ただ少し気になったから・・・」

「へぇ。本当にそうなの?」

美伽の横に立つと、左手を美伽の肩に乗せて、右手をポケットに入れた。

「本当は私達を殺しに来た刺客なんじゃあないの?」

ポケットからトッポを取り出して、まるでタバコを出すかの様に、さっと箱から1本出して、口に入れた。すると肩を掴んでいる左手が段々と熱くなっていくのに気が付いた。

「こっ!!これは!?熱っ!!」

すぐに夏子の左手を離した。左手を見ると、真っ赤に燃えていた。

「どうしたの?さぁ早く他の連中みたいに、能力を出して私を攻撃してきたら?」

(そうだ!能力・・・)

鞄から水筒を出そうとすると、中身がもう入っていない事に気付いた。

(そうだった!!使う事無いと思って、全部飲んじゃったんだった!!!どうしよう・・・これだと攻撃する以前に、身を守る事も出来ない・・・)

すると夏子が少しずつ歩いてきた。足も燃えていた。

「あ・・・いや・・・だから・・・」

怖かった。後ずさっていると、躓き後ろに転んでしまった。

「あわわわ」

「なんで攻撃して来ないのかは分からないけど、貴方を敵と見なして攻撃させてもらうわ。大丈夫殺しはしないから」

夏子が美伽を真っ赤に燃えた左手で殴ろうとした。すると目の前でその手が止まった。

「止めろ。夏子」

夏子の手をギッシリと握り締めている手を見て、その人の顔を見た。

「隆君・・・」

「お前がどうしてここに居るのかは、後で聞くとする。どうして夏子。お前は美伽を攻撃しようとしてるんだ?」

「私達を尾行していたのは、こいつよ」

「だからって理由も聞かずに攻撃する必要も無いだろ。最近は刺客が増えてるからって警戒し過ぎだ。そんなにすぐ能力を使っていたら、いつか一般人にもバレちまうぞ」

夏子はポッキーを噛みながら

「もうその美伽さんには私の能力を見せちゃったけどね」

隆は美伽を見て

「こいつは大丈夫だ。美伽は俺が能力者だと知っているが、誰にも言っていない」

「なるほどね。でも敵じゃないという証拠は?」

「美伽は能力者じゃない。そうだよな?美伽」

「いや・・・」

「ん?どうした?」

「やっぱり能力者なのね?」

美伽はゆっくり頷いた。

「!?何!?」

「なんだ能力者じゃないの」

夏子の体が全身燃えだした。

「これは・・・」

「私の能力よ。私は炎になる事が出来る能力。さぁ貴方の能力を見せなさいよ」

「チッ。全く」

隆の目に電流が何回か走った。

(どどどどどうしよう!!水があれば・・・)

美伽は焦った。体中から汗が出てきた。隆は夏子を見て言った。

「頭を冷やせ。最近刺客が多くて疲れているのは分かる。だからってすぐに決断して、攻撃するのは良くないと思うぞ」

すると夏子の燃えている右手が、美伽の目の前まで一気に来た。

「なっ!!まずい!!」

隆は体で夏子を抑えようとしたが、燃えているので、触る事さえ出来なかった。

「美伽さん!!これで終わりよ!!」

「美伽!!避けろ!!」

「こんなの避けられる訳がない!!!」

美伽は大きく叫んだ。もうすぐ目の前まで夏子の拳が来ていたので、避ける時間なんて無かった。

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