第3話 能力の練習
美伽は1階に降りて、冷蔵庫を開けた。そして中にあった飲み物系を持った。そして冷蔵庫のドアを閉めると、ドアの向こう側に母が居た。思わず美伽は飲み物系の物を落としかけた。
「あなた何やってるの。そんなにジュースを持って」
「え?あっ。あぁ。これね。自分の部屋で勉強する時に、喉乾くかなーと思って・・・」
「だからってそんなに要らないでしょ。全く」
母は美伽の持って居たジュースを取って冷蔵庫の中に入れて、カルピスだけ、渡した。
「これだけで我慢しなさい」
「はぁい」
仕方なく自分の部屋へ戻った。
〜美伽の部屋〜
「仕方ない。今日はカルピスで我慢するか。さて。カルピスでも能力は使えるのかな?」
キャップを開けて、カルピスに命令すると、カルピスが動き出し、ペットボトルから出てきた。
「凄い。これで分かったわ。私の能力は、飲める物を操る能力ね。まぁ簡単に水を操るって事でいいか。カルピスとかお茶も一応水分だし。纏めてという事で」
美伽はプルンプルン動くカルピスの物体に手を近付けて、乗れと命令した。カルピスはぴょんと飛び、美伽の手に乗った。
「でも能力者になった事は誰にも言わないようにしなきゃ・・・。言ったら、嫌われちゃう。はぁ・・・」
とにかくこの能力は一体どこまで出来るのか試した。まず水を移動させたりする事が出来るのは分かった。あとこの形だ。通常はこの某有名ゲームのスライムに近い形をしている。さて形を変える事が出来るのか。
「そうね。とりあえず人の形になってみて」
そう言うと、水の形は変わっていき、人の形になった。がしかし小さかった。
「あっ。500mlしか無いから仕方ないか。人形みたい。というかマネキン?カルピスだから肌白いし」
これでこの能力の弱点が分かった。というより当たり前だが、その場にある水しか操れない。つまりこの時この場所にあったのは、カルピス1本500mlしかなかった。水筒のお茶はさっき飲み干したので無かった。そして500ml分の量の水しか集められなかった。
「なるほど。という事はこれから毎日沢山の水分を持って行かなきゃいけないのか。面倒くさいな。でも使う事も無いし。まぁ良いか。あと色も変えられないのが分かった。これだと自分の身代わりにするという事は出来なさそう」
そしてこんな事も試した。水玉に消しかすを沢山ぶっかけた。カルピスなので、もしこの黒い消しかすがなかなかあったら目立つ。そして水玉を横へ動かした。すると消しかすはドンドン取れていき、また元の綺麗な白色になった。
「なるほど。つまり埃とかの汚れは付かないのか。だとしたら、喉が渇いた時に便利ね」
そしてまた消しかすの道を渡らせた。今度は汚れを回収しろと命じた。すると水玉に次々と消しかすが付いた。
「おぉ!!便利便利!!」
そしてゴミ箱に水玉を移動させ、自分に付いた汚れを全て捨てろと命じると、バッと水玉から沢山の消しかす等の汚れが落ちた。一度汚れた水を飲みたくは無かったが、試しに少し飲んでみた。
「あっ!美味しい!!カルピスだ!」
当たり前の感想だった。
「意外と能力って良いかも」
そう思っていると、トントンとドアをノックする音が聞こえた。慌てて水玉をペットボトルに入れて、勉強道具を出して、ドアを開けた。
「何かな?お母さん」
「さっきから何か音がするから何をしてるんだろうと思ってね」
「別に何もしてないよ」
「本当に?」
「本当本当!!」
「ふぅん。もうそろそろで晩御飯だから降りて来なさいよ」
「はーい」
そう言うと母はドアを閉めた。ホッと胸を撫で下ろし、カルピスを持って1階に降りた。
(とにかくこの能力を得た事は誰にも知られる訳にはいかない・・・。知られてしまうと、虐められてしまうし、これから生きていくにしてもかなり不利になる。高校を退学されるというのは無くても、大学へは確実に行けなくなる)
リビングの椅子に座り、机の上にあるカレーライスを見た。
「おぉ!今日はカレーライスなんだ!」
「えぇ。あなた大好きでしょう?今日は高校入学の日なんだから、好きな物を食べさせてあげようと思ってね」
「ヤッターーー!!!!」
ばくばくカレーライスを食べた。そして口の中で、ルーに気を集中させたが、特に何も起こらなかった。
(液体だし食べられるから、動かせるかなと思ったけど、ルーみたいな物は飲むというより、食べるだから無理なのね。そこら辺の基準がちょっと難しいかも)
カレーライスを3杯おかわりして美伽は歯を磨き、自分の部屋に行った。そして親に風呂に入る!と行って、風呂場へ行き、風呂に入った。
〜風呂〜
「ふぅ。なんか今日だけで色々あったな。隆君が夏子さんと知らない人の家に行ってたし、家に帰ったら、急に能力者になってたし・・・」
風呂場の水は一応操れた。
「ある程度練習出来た。よし!これで明日も隆君を尾行してやる!!そしてあの家の事を調べてやる!!」
美伽は明日また隆の後を付ける事を決意した。