第29話 景都VS隆 その3
「なんなんだ?あの手は・・・」
「不思議だよな。兄貴。能力ってのは」
隆が床を蹴った。スピードがとても速かった。そして光った右手を景都に向けて、殴ろうとした。すぐに手を出して、ガードした。
「このパワー!このパワーは・・・まさか!!お前!!まさか!!!」
「何故かよ。自分で分かるんだな。自分の能力が強くなったというのが」
グググと隆の拳を抑えている、右腕の力が抜けている様な気がした。右腕を見ると、右腕が電気に変えられて、隆の体内に入っていっていた。
「なにぃ!?これは!!」
すぐに手を離した。
「俺は手を電気に変えていない。今は普通の手のはずだ。あいつ。能力が覚醒しているのか!?そして触れた物を無理矢理電気に変えて、それを吸収しているのか!?」
隆は自分の両手を広げて見た。
「これが覚醒ってやつか」
グググッと手を握ると、体から電気が一気に放出した。その電気は周りの電気器具を壊して行った。
「さぁ兄貴。これでもう自由に移動出来ないだろ」
「あまり調子に乗るんじゃないぞ!俺は別に電気器具なんて無くても、鉄さえあれば移動出来る!!あれはただ俺の力を増すための道具に過ぎない!!貴様なんかあんな道具など要らない!!俺1人の能力で十分だ!!!」
また光速に近い速さで移動した。壁を蹴り隆の周りを飛び回った。そして隆の目の前で止まりその勢いで、隆の腹を拳で貫いた。
「どうだ!!」
だが効いていなかった。
「なんだと!!ぐぁぁ!!」
なんと隆は、わざと景都の拳を自分の体を貫通させていたのだ。そして景都の拳が体を貫いた所を狙って、すぐに固定させた。
「はぁはぁ!!まずい!!早く抜かなければ!!」
また吸収された。手から電気が次々隆に奪われていく。
「クソォォォ!!!舐めんじゃあねぇ!!!」
景都は腕を引き千切った。すぐに腕を戻した。
「どうしたんだ?兄貴。俺には絶対負けないんだろ?絶対なんだろ?なんでそんなに焦ってるんだ?」
「くっ!!はぁはぁ」(まずい。かなり疲れている。さっきパワーを吸われたから、疲れる早さが今までより早い!早めに勝負を決めなければ・・・負ける!)
「息切れしてんのか?」
隆の体からは電気が放出されていた。これの持つ意味それは
(体では耐えられないという事だ。耐えられないから、余っている電気を、体外へ出しているのだ。ククク。つまりこのまま奴に電気を吸収させれば!!)
景都はコンセントの中へ体を入れた。すると学校の放送の様に、屋敷から声がした。
「そんなに電気を体の中へ入れたいのなら!そんなに電気が欲しいのなら!!くれてやるよ!!大量にな!!」
「なに?」
すると後ろのコンセントから景都が出てきた。しかもプラス極と、マイナス極のコードまで持ってきていた。
「食らえ!!隆ぃぃぃ!!!」
隆の体にプラス極とマイナス極を刺した。そして100、いや200万ボルトが隆の体へ流れた。
「ハッハッハッハッ!!どうだ!!死ね!死ね!!死ねぃ!!!」
普通の人では即死レベルの高圧電流。しかし隆はその電流に耐え、景都の両手首を掴んだ。
「その程度か?」
「なっ!?」
しかも耐えるだけじゃない。パワーも上がっていた。
「うぐぁぁぁ!!!」(駄目だ!!逆効果だ!!奴に電気を与えると、強くなる!!)
隆はコードを体から抜いた。
「ありかどうよ兄貴。これで俺は殆どフルパワーの力で戦える」
「なっ!舐めやがって!」
「フン!」
隆の拳が、景都の腹を直撃した。
「うぐっ!」
拳が当たっている所から電流が流れた。景都の体は吹っ飛び、壁を2枚突き抜けた。
「ガハッ!!この俺が・・・」
「ん?どうした?兄貴?」
(どういう事だ!この俺が物理の攻撃を食らうなんて、しかも電気を食らって、この俺が吹っ飛ぶなんて!!ありえない!!彼奴の能力が覚醒したのは、確かだ。だがなんて強さなんだ!ここまで覚醒で強くなるとは・・・)
すると突然隆が頭を抱え苦しみ出した。
「うぅぐぐ」
「あぁ?」
景都は壊れた壁に捕まり、震えながらも立ち上がった。
(あれは。そうか。体が自分のパワーについて行けてないんだ。ククク。多少ダメージは食らったが、あの200万ボルトもの電流を浴びせたのは、間違ってはいなかったようだ)「クククどうした?隆。随分苦しそうだな」
「黙れ・・・黙れ!黙れ黙れ!!」
「あれは!!」
隆の足が変形した。そして景都に向かって、一直線に瞬間移動した。右拳を握り締め、景都の左頬を殴ろうとした。
「うぉぉぉぉ!!!」
景都は叫び両腕をクロスさせて、ガードしようとした。しかし腕が砕け散った。
「なっ!!ナニィィィィ!!!」
「死にやがれ!!!景都ぉぉぉ!!!」
その時の隆の目は、人間の目では無かった。獣の目、殺意の塊の様な目だった。
「クソォォ!!死んでたまるか!!」
景都は左足で、隆の腹を蹴り、自分から離して、その間にどう戦うか考える事にした。が出来なかった。隆の腹が勝手に、穴が空いたのだ。
「なんだよ!!これは!!」
景都の足は隆の体の穴に入ったので、隆にはダメージが入らなかった。
「オラァァ!!!」
「うぐぐぐ!!!グァァァァ!!!」
景都の左頬に、隆の右拳がヒットした。ボキボキという音がした。
「あばぁぁぁ!!!」




