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第21話 能力の覚醒 その1

〜4月30日〜

この日隆、美伽、夏子の3人は霧矢の家に集まった。

「何か兄貴について分かった事はあるか?」

隆が霧矢にそう尋ねた。霧矢は答えた。

「まぁまぁだな。景都が居る所は分かっているが、どうも景都の所属している組織は大きい組織らしい。流石の俺の能力でも、組織のセキュリティを通るのは大変だぜ」

「そうか引き続き頼むぞ。お前しかハッキング出来ないんだからな」

「そうよ。こんな本ばかり読んでないで、ちゃんと仕事しなさいよね」

周りに散らかっている本を持って言った。

「それは俺の命の源だ。それを無くしてしまったら、俺は死んでしまう」

「ふぅん。本当に死ぬのか試したいから、捨ててみようかしら」

「やめろぉぉぉ!!!」

「ははは。いつも通りだね」

「あぁそうだな」

3人は霧矢の家を出た。

「それじゃあ俺は先に家に帰るな」

「了解ー」

美伽は最近新しく出来たカフェに、夏子と一緒に行くという約束をしていた。

「行くわよ。美伽。さてと何処にあるのかな」

「えっとね。I駅前だったはず。名前はプラケンタ。ラテン語で、ケーキね。あったあった!!ここよここ!!」

美伽はスマホのマップを指差した。2人はカフェへ向かった。途中でポツポツと雨が降ったので、急いでプラケンタに向かった。


〜プラケンタ〜

「何注文しようかなー」

体を部活で使っているタオルを使って吹いた。

「私はカフェオレと、イチゴカフェで良いかな」

「じゃあ私はカフェオレと、チョコレートカフェで良いや。すみませーーん!!」

「はい。なんでしょうか?」

「カフェオレ2つと、イチゴカフェとチョコレートカフェで」

美伽が店員に言った。美伽の注文をメモして、店員は次の客の所へ行った。


すると夏子が机に肘を置いて

「美伽はさ。睦月君のことをどう思ってるの?」

「へ?急にどうしたのよ!」

「別に〜。気になったから聞いただけ。特に深い理由はないけど?というか何焦ってるのよ〜。うん?好きなの〜?」

「べべべ別に!!好きとかそんなんじゃないから!!幼馴染だから一緒にいるってだけだから!!」

「あらそう。別に私はあなた達の事について口出しするつもりはないんだけどね」

カフェオレが届いた。丁度雨も止んだ。夏子がカフェオレを混ぜていると、外を眺めていた美伽の顔が少し厳つくなっているのに気付いた。

「どうしたの?」

「あそこに立っている金髪・・・。あの髪型とあの身長・・・。前に見た時よりは少し身長が高くなってたりして、変わってるけど、私には分かる。あれは・・・景都さん!!」

「え!?」

道路を跨いだ向こう側の歩道で、ズボンのポケットに手を突っ込み、こちらを見ている男を見て、美伽が言った。

「金髪ってあの男?」

「そうよ!!でもどうして・・・」

景都と思われる男は、振り返り何処かに一瞬で消えた。

「消えた?」

「何処に・・・行ったの?」

「取り敢えず睦月君に連絡しないと・・・」

スマホの画面を点けようとすると

「え?」

電池が切れていた。

「そんな!!ほんの10分前までは、電池残り60%はあったはずなのに!!!」

「え!?」

美伽も自分のスマホを見ると、電池が切れていた。

「どういう事!?」

「景都さんと隆くんは同じ能力・・・」

「え?」

「隆くんと景都さんは全く同じ能力・・・」

「そういえば確かに聞いたことがあるわ・・・。という事はあの男は!!」

「景都さん!!」

美伽は店員に向かって

「またすぐに帰ってくるので、パフェは少し待ってて下さい!!」

と言うと、すぐに走って店から出た。夏子も急いで美伽の後を追いかけた。

「何処にいるのか分かるの?」

「分からないけど、必ず近くに居る!!」

そう言って街を探しまくったが全然見つからなかった。

「はぁはぁはぁ。どこに行ったの・・・」

「ん?あれは・・・」

夏子が上を見ると、電線が漏電していた。

「危ないわね。目でも分かるぐらい電気が漏れちゃってるじゃない・・・」

「まさか!夏子!そこから離れてッ!!!」

「え?」

するとその漏れている電気が形を変え、手の形になった。夏子は首を掴まれた。

「うがぁ!!」

「夏子ォォォ!!!!」

「ん?手応えがない・・・」

夏子の首と、体が離れた。

「ふぅ。危なかった」

夏子は一瞬で首を炎に変え、体と首を分断したのだ。電気は段々と集まり、姿を変え、遂に本来の姿なった。

「景都・・・さん」

「久々だな。美伽。どうだ?弟とは上手くいっているのか?」

睦月 隆の兄である、睦月 景都が何故か美伽と夏子の前に現れた。

「どうして・・・あなた自身が・・・」

「幹部というのも暇でな。それに俺の手下はどいつもこいつも、使えん。だから俺がわざわざ出向いてやったって訳だ」

景都は美伽へ少しずつ歩いて近付いた。すると後ろから夏子の燃えた拳が景都の背後から見えた。だが

「遅いな」

そう言うと、夏子の拳を受け止めた。

「さっきはお前を触る前に、分裂したから触らなかった。だが今は触れている。覚悟しろよ」

夏子を引っ張り夏子の顔面をすぐ目の前まで近付けた。

「また分裂させて避ければ・・・」

しかし出来なかった。景都に顔面を殴られ、建物の壁まで吹っ飛んだ。

「どうして・・・。どうして夏子に物理の攻撃が・・・なんで?」

美伽は困惑していた。夏子も困惑した。

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