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第2話 水を操る能力(飲める水ならなんでも可)

教室に入り自分の席に座った。隆の席を見ると、やっぱりイヤホンを付けてスマホを触っていた。

(一緒のクラスになったは良いけど・・・。話しかけても良いのかな・・・)

幼馴染とは言えど、今は殆ど他人。もし話しかけても彼を嫌な気分にするだけだ。と美伽は思い、話しかけるのをやめた。


するとある女子が隆の方へ近付いてきた。

(あれは火田ヒダ 夏子カコさん?)

火田 夏子とは中2の時に転校してきた人で、身長は167㎝ぐらい。少なくとも美伽の少し上。髪はショートヘアー。そして1番変だと思うのが、彼女はトッポが大好物。1度話した事があって、なんでトッポばかり食べてるの?と聞くと、私トッポ依存症だから、というよく分からない答えが返ってきた事があった。


夏子は隆の前の席に座り、隆と話し始めた。声は小さめだったので、聞き取れなかった。

(なんの話をしてるんだろう。もしかして付き合ってる!?いやいやそんな事無いわよね!うん!!無い無い!ありえないー)

美伽は自分の勝手な妄想を勝手に否定していた。しかしどうしても気になったので、立ち上がり隆の方へ近付いた。そしてスマホを出して、スマホで遊んでいるフリをして、2人の話に耳をよく傾けた。小さな声だったので、まだよく聞き取れなかったが、少し聞こえた。

「それじゃあ今日も・・・家で・・・」

「分かった・・・」

「えぇ!!!」

美伽の頭の中でまた変な妄想してしまった。その所為でうっかり大声を出してしまった。当然2人は美伽を見ていた。慌てた美伽はスマホを見て

「その・・・あははは。オンラインゲームで負けちゃったー。勝てそうだったのになーー」

と誤魔化した。すると教室の中に先生が入って来た。美伽は仕方なく、自分の席へ戻った。

(2人はどういう関係なの!?もしかして本当に付き合ってる・・・?いや・・・もうそれ以上の関係に!?)

美伽は両手で顔を挟み、チラッと隆を見た。


〜放課後〜

今日は入学式とだけだったので、案外早く終わった。隆は夏子と一緒に帰っていた。美伽はその2人を尾行した。

(どこに向かってるんだろう。こっちの方向は隆君の家とは違う。だから夏子さんの家かな?)

2人はある家の前で立ち止まり、その家のインターホンを鳴らしていた。美伽は塀の外から2人を見た。

(あれ?違うの?じゃあ誰の家だろう)

すると家のドアが急に開いた。

(うわっ!自動ドア!?勝手にドアがなんで開くの!?意外と金持ちの人の家なのかな?)

今度は家から声が聞こえた。

「おぉ。隆と夏子か。入れ入れー」

「あぁ」

「相変わらず汚いわね。あなたの家」

「片付けるの嫌なんだよ。良いじゃねぇか一人暮らしなんだから、自由に暮らしても」

2人が家の中に入ると、ドアがまた勝手に動き出して閉まった。

「何なんだろう。この家。隆君が出るまで待とうかな。でもいつ出てくるか分からないし・・・。今日の所は帰るか。2人は別に付き合ってる訳じゃないみたいだし」

美伽は少し安心して、自分の家へ帰った。


〜美伽の家〜

「ただいまー」

美伽が玄関のドアを開けて、家の中に入った。

「はぁ。もう疲れたわ」

自分の部屋へ真っ先に向かって、部屋に入ると、鞄を床に放り投げて、椅子に座り、頭を机に置いた。

「はぁ・・・。あの2人は何をしているんだろう。あの知らない人の家で何をするんだろう。あぁ!!気になる気になる!!」

ジタバタと手足を動かし、バッ!と体を起こした。

「喉が渇いた」

と言って、鞄から水筒を取り出した。机に水筒を置き蓋を開けると、中から突然入っていたお茶がゴボッと少し出て来た。

「おっと!!もー!拭かなきゃいけないじゃん」

直ぐに水筒を机に置いた。

(ん?待ってよ。何で炭酸じゃないのに、お茶が急に溢れ出た訳?何か可笑しいわね)

水筒の中を覗いた。しかし何も無い。普通にお茶が入っているだけだった。

(気の所為かな?)

やっぱりそうかと言って、床を見ると、今度は溢れ出ていた水が無くなっていた。

「あれ?何で?」

机の下を見ると、大きな水玉があった。

「何?これ」

試しに指で突いてみると、普通に普通の水だった。しかし形は崩れなかった。

「よく分からないけど、この色的に私の溢したお茶よね。どうなっているんだろう」

拭こうとタオルを水玉に近付けると、水玉が横にスッと逃げた。

「ん?」

美伽はタオルを水玉にまた近付けた。するとまた水玉が逃げた。

「え?どう言う事?」

一度タオルを置いて、試しに水玉を手で押し潰そうとした。すると上から迫ってくる手を、また水玉はスッと避けた。


美伽は一旦後ろを振り向いて、深く深呼吸した。

「落ち着け!落ち着け!!私。疲れが溜まっているだけよ。よし!!」

振り向き水玉を見た。

「水玉が1人でに動くはずがない。だとしたら隆君と同じ、能力者が動かしていると言う事。でもだとしたら色々と可笑しいわ。何で私なの?それになんですぐ攻撃して来ないの?」

ジーッと水玉を見た。すると水玉が美伽の方へ近付いて来た。

「あっ!やばい!!攻撃してくる!!」

しかし自分の部屋だから逃げ場は殆ど無い。壁に追い詰められた美伽は覚悟を決めて、目を閉じた。が何も起こらなかった。目をゆっくり開けると、水玉が美伽の前で止まっていた。美伽が横3メートルぐらい動くと水玉も3メートルぐらい動き近付き、そして止まった。

「え?まさか・・・」

美伽が水玉に意識を集中させた。そして心の中で命令した。

(私の肩に登って来い)

すると水玉が美伽の足からスルーッと登って行き、美伽の肩で止まった。

「嘘・・・まさか・・・これって私の能力!?でも私の家系には能力者なんて居ないわよ!?」

能力者が能力に目覚めるタイミングというのは、様々で、隆みたいに襲われて、咄嗟に身を守ろうとした時や、机から落ちた消しゴムを拾おうとしただけで能力が目覚める事がある。美伽は水筒の蓋を開ける時に能力に目覚めたのだ。


その事にすぐ気付いた美伽はとても悩んでいた。

「どうしよう・・・。私も能力者になっちゃった・・・。うぅ・・・」

美伽は机に頭を思い切り叩き付けようとしたが、水玉が守ってくれた。まるでクッションの様な弾力だった。

「はぁ・・・。能力・・・か」

美伽は水玉を触った。すると水玉はプルンプルンと揺れた。

「なんか・・・意外と楽しい」

そして何度も水玉を突いた。

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