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第18話 ナイフと植物 その2

スッスッと目の前を早く動く小刀を必死で躱した。というより躱すしかなかった。もしちょっとでも躱さなかったら、首とかを切られるかもしれない。と言っても躱している間ずっと小さな傷だが、首や顔に傷が出来ていた。

「どうしたのかしら!!その程度なの?」

小刀が杏奈の顔を切るんじゃなく今度は、刺そうとしてきた。すぐに丸太を作って、ガードした。

「うっ!!」

「弱いわよ!」

実が小刀を少し下に動かすと、スーッと丸太から出た。そして10秒後パカっと丸太が真っ二つに切れた。

「まずい!!」

丸太で手が塞がった杏奈を小刀がまた襲った。

「まだまだ行くわよ!!」

左から小刀が来た。杏奈はしゃがみ躱すと、両手で持っている丸太で実の腹を殴った。

「うぐっ!!」

「どうよ!このまま突き飛ばして・・・」

その瞬間顔に無数の傷が出てきた。そして血もその傷から、出てきた。

「なっ・・・」

「これを待っていたのよ・・・。くっ・・・。ある程度切れたら一気に切り口を開けてやろうと思ってね。許可して傷を付けられるなら、許可さえしなければ、切れはしない。今までの傷は全て失敗したりした傷。今あなたを襲っているのは、全て深い傷よ。深く切る事が出来た傷は、ある程度溜めて、一気に放出する。それが私の仕方。まぁこの丸太は・・・予想外だけどね」

「な・・・なに・・・」

足や、腕も切れていた。そしてそのまま地面に落ちた。

「うっ・・・うぅ」

顔を両手で抑えて唸っていた。実はそんな杏奈の元へ歩いて行った。

「終わりね。このままゆっくりとお腹を切って、内臓をさらけ出してあげましょうか?」

実は小刀をゆっくりと杏奈の方へ近付けた。すると杏奈の体の周りから何か植物が生えてきた。

「なっ!何!?」

「一つ忠告してあげるわ。私から離れた方が良いわよ」

「くっ!なによ!唯草を生やして身を隠そうとしているだけじゃない」

「この草を生やしている私自体には、この植物の毒は効かない・・・」

実は必死に植物を切り落として行った。

「だけど赤の他人のあなたが、この植物に触ると・・・」

「は!あっ・・・あぁ・・・」

だんだんと痛みが出てきた。そしてその痛みはだんだん酷くなっていき、実は地面でジタバタと暴れていた。杏奈は立ち上がり植物を撫でるように触った。

「強烈な痛みが襲う・・・。最近知った植物よこれは。ギンピー・ギンピーというらしいわ。因みにこの痛みに耐えられなくなり自殺するという人も居るらしいわよ」

「あぁぁぐぅぅ!!!」

体全体で触ってしまった実は悲鳴をあげていた。すぐに植物を枯れさせて消した。

「じぬぅぅ!!!死ぬぅぅ!!!」

「大丈夫。痛みだけだから。でもまぁ本人からしたら、死んだ方がマシなのかもね」

小刀を蹴って、実から離した。

「さてと。この勝負私の勝ちね」

「くっ!!」

足から血が出た。

「え?」

その傷は刃物で切られたような傷だった。実は体を震わしながら、体を起こした。

「あれは私の愛刀というだけであって、あれ1本だけとは限らないのよ」

右手には小刀を持っていた。

「はっ!!」

小刀が首を切ろうとしてきた。避けようとしたが、足の傷の所為でバランスを崩してしまった。

「さぁ!切ったわ!!」

「うっ」

「10秒経過!!死ねぇぇ!!!!」

首がパカっと開いた。

「あがっ・・・」

実は高笑いした。

「ふふふふ!!ハハハハハ!!!勝ったわ・・・。今も結構痛むけど、こんなの大したことない・・・。毒で死なないならいつか治るでしょ」

「治ると良いわね」

杏奈の声が聞こえた。

「え?」

声の方を向くと、杏奈が普通に生きていた。

「どうして!?だってあんたは切れて、ここに・・・」

さっき切って殺した杏奈を指差そうとすると、そこには真っ二つに切られているただの木があった。

「まさか・・・」

「能力者の身体能力が高いのは知ってるでしょ?これは全能力者に共通している事。そしてその身体能力は、少し鍛えるだけで、忍者のような動きが出来るようになるのよ。あなたも体を鍛えているから、あれだけ早く動けるんでしょう。本屋の時だって私達が気付かない間に、喉を切っちゃうんだから、相当な訓練を受けているみたいね」

少し気が抜けると、また激痛が実を襲った。

「うぅがぁぁ!!」

「でも良かった。パパに『金持ちだろうがなんだろうが、体を鍛える事は大事だぞ』って言われて、専用のジムを作ってくれたから、助かったわ」

そんな事言っているうちに、実はあまりの痛みに気絶していた。

「あぁ。気絶しちゃったか。まあ良いや。目が覚めたら痛みが引いてるかもね。まぁ聞いた話だと、ギンピー・ギンピーによる痛みは、2年も続くらしいけど」

杏奈は自分の顔を鏡で見て言った。

「あぁもう。顔が傷だらけじゃない。思ったより傷があるわね。痛みが感じない程の傷も含めたら、50以上はありそう。病院行こうかな。いや。やめとこ。家に確か薬あったわよね」

杏奈は最後に実に向かって、あっかんべーをして家に帰った。


〜森山家の豪邸〜

「ただいま〜」

「あらおかえり。杏奈。!?杏奈!!どうしたの!?その顔!!」

「え?あぁ能力者に襲われちゃってね。まぁ倒してやったから。大丈夫よ。ちょっと薬ある?」

「ちょっと待っててね」

母が薬を取りに行くと、執事が杏奈の横に来て

「私も付いて行った方が良かったですか?」

と聞いて来た。杏奈は首を振って

「あんたなんか居たって意味ないでしょ。能力者じゃないのに」

「でも杏奈様よりかは動けますよ」

「それはあなたがただ運動神経がとても高いだけでしょ。能力が無かったら意味ないのよ。あくまで能力者の身体能力は、おまけのような物なのだから」

〜能力者プロフィール〜


能力者名

剣崎ケンザキ ミノル24歳


能力

小刀だろうが、ナイフだろうが取り敢えず刃物なら、いくら錆びて切れ味が悪くなっていようが関係なく、なんでも切れる。自分のタイミングでも好きな切り口を開ける事が出来る。切るものは太かろうが長かろうが、関係なく切る事が出来る。


ステータス

見た目9・頭脳8・攻撃力5・スピード9・器用10

精神6・体力4・忠誠心8・悪の心8・善の心1


弱点

切ってから10秒経たないと、切り口を開く事は出来ない。


「意外と強い能力よね。なんでも切れる能力って」

「そうね。料理に使えそう」

「料理か。夏子は何か料理するの?」

「ん?うん。まぁまぁするよ」

「例えば?」

「チャーハン、焼肉、豚カツ、親子丼、ベーコン入りの目玉焼き、ステーキ、ハンバーグ、たこ焼き、お好み焼き・・・」

「うん。もう大丈夫」

「うん?他にも色々あるわよ」

「もう大丈夫だから」

「じゃあ美伽は何か作れるの?」

「シチュー、カレー、ラーメン、うどん、そば・・・」

「なに?レトルトとか、カップヌードルとかじゃない」

「・・・それ言わないでよ」

「料理は出来ないと駄目よ?オーホッホッホ!!!」

「キャラ崩壊してるわよ。夏子」

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